- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041125380
作品紹介・あらすじ
北陸のコンビニで高齢ドライバーによる死亡事故が発生した。
86歳男性の運転するトラックが店舗に突っ込み、店員を轢き殺したのだ。
アクセルとブレーキを踏み違えたという加害者は認知症の疑いがあり、警察は責任能力を調査している。
事故に違和感を覚えたライターの俊藤律(しゅんどう・りつ)は加害者の村を訪ねるが、村人の過剰な緊張に迎えられて――
「この村はおかしい。必死で何かを隠している」。
取材に乗り出した律は、目撃者の少女をきっかけに、続々と予想外の事実を知ることに……。
横溝賞出身作家が放つ最先端の社会派サスペンス!
感想・レビュー・書評
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続きが気になりグイグイ読んだ
地方のコンビニで、高齢者がブレーキとアクセルを間違え
店内に突っ込む
そして、店長が即死
警察は高齢者が認知症で判断を謝り事故と言うが
ルポライターは、違和感を感じ独自に調査
すると、奇妙な風習のある村の隠された秘密が暴かれていく
ちょっと宗教的な感じの風習に驚いた
そんな村が、ひっそりと今でもあるんじゃないかとも思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高齢ドライバーによる死亡事故発生。
認知症を疑われる老人のアクセルとブレーキの踏み間違えによりコンビニ店長を轢き殺す大惨事…と思われていたが、ライター俊藤律が取材の為加害者が住んでいた村を訪ねると何やら不吉な違和感をおぼえる。
取材を進めたどり着いた真相は…
初読み作家さん。
高齢者の運転は社会的にも物議を醸している。
こうした社会問題をテーマにどんな展開が待っているのか…と思いきやストーリーは違う方向に…。
重たいテーマながらももう少しリズムがある方が自分的には読みやすかったかな。
気になるテーマだけに読み進めたいがなんとも進みが悪かった。
リズムだけでなく、主人公、俊藤律!彼が嫌だったぁ〜^^;
ライターさんはこの位執拗でなければ仕事にならないんでしょうが、ん〜、子供相手に…あの場面は本当に嫌だったなぁ。
ラストは彼の言うところの彼の良心に従ったのでしょうが…難しいところです。
ストーリーの結末を読者に託す形になったのでしょうが、自分の答えは出ず…。
高齢者の運転問題にも答えは出ず…。
「あとがき」で作者が語っているように自分の運転能力、感覚が普通でなくなった時…その時自分がその事に気づけるのか?気づいて認められるのか?返納後の生活が一変してしまう諦めと決心はつくのか?
それが出来ないからこうして社会問題になっているのだろうと考えている。 -
私は女性作家さんを読むことが多いけど男性著者さんの中でも上位に入る読み応えと面白さ。
それぞれの登場人物が自分の【震える天秤】にかけ選択していく事を書いてある。
面白い。
私なんて運転免許取り立てたばかりの時、アクセルとブレーキ踏み間違えて人こそ引かなかったけど消火栓壊したことがある。その時から車の運転を止めた。18歳の冬。
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あっさり感とモヤモヤ感。
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昔の習俗が現代に残るおどろおどろしい村(金田一耕助を連想とさせます)と昨今、ニュースにもたびたび登場する高齢者の運転による凄惨な事故。ミステリーと社会問題の要素を取り入れると、こんな面白いのか!と。
でもそれだけではなく登場人物がそれぞれに持つ良心、正義を通してそれらの問題を読む側に突きつけ、考えさせる良作。 -
染井為人『震える天秤』角川文庫。
社会派サスペンス小説。何が正義で、何が悪か。今の世の中は正義と悪の境目が曖昧になってきているように思う。
議員の多くは壷で有名なカルト団体と親密に付き合い、組織票を集めて当選するや、まともな政策は行わないし、企業は不正や不始末の隠蔽を重ね、警察官や教師も淫らな行為で不始末を重ねるという世紀末のような昨今。もはや清廉潔白な人間は絶滅してしまったのかも知れない。
本作は、そんな正義と悪の境目の曖昧さを逆手に取り、サスペンスミステリーに仕立てている所に面白さがある。
福井県のコンビニに86歳の老人が軽トラで突っ込み、店長が亡くなる事故が発生した。老人には認知症の疑いがあり、アクセルとブレーキを踏み間違えたのではないかとみられた。
高齢者による交通事故をテーマに取材をしようと福井県を訪れた週刊誌の契約ライターである俊藤律は、この事故に違和感を覚え始める。
そして、俊藤律が被害者と加害者について調べていくうちに予想外の事実が判明する。ラストに明らかにされる驚愕の真実と考えさせられる結末。
母親がカルト宗教にハマり、家庭が崩壊したことを怨んでいた男が、元総理大臣を射殺した事件とシチュエーションが酷似していることに驚いた。
本体価格780円
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高齢者のブレーキ踏み間違え事故という社会問題から、だんだんと村vs個に変化していく。認知症が故の事故なのか、故意に引き起こされた事件なのか。本筋はもちろん、枝葉のエピソードも良いアクセントで面白かった。
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染井為人さんの作品を読むのは本作が2作目!
前作の悪い夏は生活保護を題材とした物語で、本作は老人の起こす交通事故を題材としている!
まさに、社会派ミステリーの超新星!
本作を読み、今後も著者の作品は積極的に読んでいきたいと思わされました!
高齢男性の運転するトラックがコンビニに突っ込み店員を轢き殺してしまうという事故が発生!
主人公でフリージャーナリストの俊藤律は週刊誌からの依頼で現地を調査する事に!
しかし、調査するにつれて被害者とその家族の人間性に疑問を持ち始め、さらに加害者が住んでいる村の隠蔽体質に疑問を持ち始める!
この事故には何かある?と思い始めた俊藤律は己のジャーナリスト魂に従い事故の真相をゆっくりと抉っていく・・・ -
「良心」と「正義」のどちらに天秤が傾くか。
うーん、難しい問だ。自分だったら、里見さんと同じ選択をするかもなぁ。
どの作品も面白いのが凄い。本作は終盤から一気にたたみ始めたので、そこだけ惜しかった。 -
高齢者ドライバーのテーマをこういう話の方向に使って欲しくなかったなと正直思った。
前半は、高齢者がなぜ車の運転をやめられないのかという背景が描かれていてのめり込めたが、後半は村ぐるみの復讐劇が描かれていて、主人公の判断(良心)を苦しめる(天秤にかける)という流れに読了感がモヤモヤした。
高齢者なら殺人が許されるのか...
隠蔽は、やっぱり良くない...