水曜日の手紙 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.82
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本棚登録 : 2205
感想 : 122
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041117743

作品紹介・あらすじ

水曜日の出来事を綴った手紙を送ると、見知らぬ誰かの日常が記された手紙が届くという「水曜日郵便局」。主婦の直美は、職場や義父母との関係で抱えたストレスを日記に吐き出すだけの毎日を変えたいと、理想の自分になりきって手紙を出す。絵本作家になる夢を諦めて今後の人生に迷っていた洋輝も、婚約者のすすめで水曜日の手紙を書くことに。不思議な縁で交差した二人の手紙は、かかわる人々の未来を変えていく――。『夏美のホタル』『虹の岬の喫茶店』の著者が贈る、ほっこり泣ける癒やし系小説!

感想・レビュー・書評

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  • 「目に見えないモノー たとえば、やさしさやしあわせは、誰かに分ければ分けるほど増えていき、しかも、自分の分は減らない。いや、むしろ増えさえする」
    水曜日の手紙の内容が、嘘でも本当でも、この二人の本心が表れている。なりたい自分が、なりたかった自分がそこにある。
    それを受け取った二人が大いに誤解し、新たな一歩を踏み出すきっかけになればいい。

    「遺書」という言葉にまんまと騙された。
    嬉しい裏切りがあたたかい。
    誰のために何のために表現するのか
    それを考えるきっかけになった。

    ありがとうございます。
    森沢明夫さん。

  • 2023.6.16 読了 ☆9.5/10.0
    2023.10.31 再読

    "誰かの言葉があなたを変える。
    あなたの言葉も誰かを変える。
    そうして世界は変わっていく。
    今日はどんな言葉を口にする?"


    "水曜日の出来事を綴った手紙を送ると、見知らぬ誰かの水曜日が届くという「水曜日郵便局」"

    この本に出会った時、1ページ目と裏表紙のそんな言葉を見ただけでワクワクしたのを覚えてます。




    "家の近所を歩いている猫も、花の上で花を休めているてんとう虫も、道端に咲くタンポポも、大海原でジャンプするイルカも、もちろん僕たち人間も–
    ただ生きているだけで誰かとすれ違い、大なり小なりこの世界に影響を与えているのだ。
    そして、そのご縁がどこまでも連鎖していって、この地球の見知らぬどこかで、見知らぬ誰かに影響を与えている。"




    この本の物語も、水曜日郵便局から送られてきた手紙が、そんな見知らぬ誰かの手紙が、どこかに住む見知らぬ誰かの悩みを解決する手助けをし、彼ら彼女ら自身が自らの人生を変えていくお話です。


    そんな、日常の延長にあるようなファンタジーに、心温まるし勇気をもらえます。


    〜〜〜〜〜〜〜心に響いた言葉たち〜〜〜〜〜〜〜



    "きっと、どれを選んでも正解なのだ。
    大切なのは、どの道を選ぶかよりも、むしろ選んだ道を自分たちがどう感じ、どう生きるか
    そして、誰と一緒にその道を歩むのか。"




    "人間っていう生き物は、ちょっと賢すぎるから、ついつい頭で損得ばかりを考えて行動しちゃって、その結果、後悔することが多いんだって。

    大切なのは、頭じゃなくて、心に従って行動すること。
    そうしていれば、物事がうまく行っても失敗しても、後悔することはないんだって。

    自分の心に耳を傾けて、その感情に素直に従って生きてさえいれば、死ぬ時も、きっと晴れやかな気持ちでいられるよ"
      


    "人生をいちいち深刻に考えている奴は深刻な人生を送ることになるわけだし、人生なんて遊びだと思って楽しく考えていたら、人生そのものが遊びになるわけじゃん?

    せっかく生まれてきたからには遊ばなきゃ損だと思うわけよ。やりたくないことばかりやっているうちに人生が終わっちゃうなんて、絶対に嫌じゃん?"




    "目に見えるモノを誰かと分け合えば、自分の分は減ってしまう。でも、目に見えないモノ- たとえば、やさしさやしあわせは、誰かに分けるほど増えていき、しかも、自分の分は減らない。いや、むしろ増えさえする。"

  • うーん…残念ながら好きになれませんでした。
    嘘の内容が書かれた手紙で感動したり、本来ランダムに送るべき手紙を恣意的に操作したり。何より友人の境遇を妬み自己嫌悪に陥るくだりが長過ぎて。

  • 率直に言えば、登場人物である直美も洋輝も芯の強い人たちだなぁって感じました。

    まずはそれぞれに夢を持っている。そして水曜日の手紙が届いたきっかけで、その夢に向かって進んでいく。到底、私なんかにはそこまでの夢もなければ、あったとしてもそこまでの度胸はないだろう。

    しかし、作中の手紙が登場人物たちの人生を変えたように、この作品を読んで、少しでも自分を変えられたら、少しだけでも素敵な未来が見えてこれたらいいなぁと感じさせてくれる作品でした。

  • *自分の心に嘘をつかない
    *良かれと思うことはどんどんやる
    *他人を喜ばせて自分も喜ぶ
     
    幸せになる三つの法則です

    水曜日の郵便局から来た手紙で、人生が変わる
    人生の変化は手紙を読んだ人の心が変わったから

    森沢明夫さんの本を読むと、人と人との思い遣りがとても大切なことを再度思い出させてくれます

    • まいけるさん
      MRさんの影響を受けて読見ました!
      芯からあったまるいい話でした。
      3つの人生訓、守れるかな?笑
      MRさんの影響を受けて読見ました!
      芯からあったまるいい話でした。
      3つの人生訓、守れるかな?笑
      2024/04/04
    • MRさん
      まいけるさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます♪
      森沢明夫さんの本は心に響く良い本ですよね!
      まいけるさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます♪
      森沢明夫さんの本は心に響く良い本ですよね!
      2024/04/04
  • 良かったです。
    単純ですが、自分も手紙を書いてみたいし受け取ってみたい。
    実在していたのに参加出来ずに残念です。
    それぞれ繋がりのある短編集でどれも良かったのですが、水曜日の手紙を書いた女性の話が1番読めて良かったです。
    人のずるい所、優しさ、妬み等が丁寧に書かれていて始めはあまり好きになれなかった彼女に共感出来ました。旦那さんも優しく素敵な、、、と思ったら他の作品にも登場されていた方でした。
    この先どうなるのか分からないけれども温かな結末でした。

  • 今日は水曜日。
    何かいいことが起こりましたか?
    それとも、つらいことがありましたか?
    あなたが水曜日の物語を書いて送ると、
    世界のどこかであなたの水曜日の物語を読む人が生まれます。
    そして、世界のどこかで暮らす、知らない誰かの水曜日の物語が、あなたの手元に届きます。

    『水曜日郵便局』実在しているそうです。

    登場人物は、
    パン屋をやりたい夢を持っていたナオミさん。
    絵本作家になりたい夢を持っていたヒロキさん。
    そして、水曜日郵便局の職員、健さん。
    それぞれの日常が描かれています。その中には誰もが経験をしたことがあるであろう暗く醜い感情も描かれています。
    それでも、読んだ後は爽やかで、
    「あぁ、私も前を向いて歩いていきたい」と思えた作品でした。

  • 「ぷくぷく」を読んで、森沢明夫さんの小説をもっと読みたいと思い購入し、すぐに読み終えました。

    序盤は、愚痴や妬みで読むのがつらかったのですが、中盤からは夢に向かって歩き出す登場人物の心の変化や、お互いを思いやる優しい言葉での会話に癒されました。
    個人的に、水曜日郵便局の局員さんの話を、もっと読みたいなと思いました。

    実在する水曜日郵便局を検索したら現在は閉館しているようで、とても残念です。いつか再開することがあったら利用してみようと思っています。

    この小説も「ぷくぷく」と同じで、「レモン色の朝日」などの空の描写がすごく好きで、登場人物が空や月を眺める場面は特にお気に入りです。もっと森沢明夫さんの小説を読みたいと思います。

  • 凄い読みやすい一気に読んでしまった、途中から行けるなこれって思うたから。そして満足感があふれたと、久々の森沢明夫さんのやっぱり面白い。出だしから3人だけなのでどんな繋がりがあるのかな思うてて、そんな重大事件もないし、接点ないし、でも繋がる。水曜日の手紙が全てなんだけど、本当にあるとは、そして物語に作り上げたとは、この題材だけでも惹かれるし、綺麗事だけじゃないのも良いです。ただ伊織のその後が全く描かれず、水曜日の手紙を教えてくれた伊織ももっと出して欲しかったイヤイヤ出すべき。震災をサラッと描く胸を突く

  • 感想
    「大事なのは、頭じゃなく、心に従って行動すること」良い言葉だなぁ。しみじみ感じた。

    あと物語は虹の岬の喫茶店とリンクしてるんだなぁ。読んでいて優しい雰囲気を感じた。

    本当にある水曜日郵便局。見知らぬ誰かからちょっと背中を押されて、新たな決心できるかも。ちょっとホッコリする話。

    あらすじ
    井村直美は、子供が二人いる主婦。義父母と夫が経営する工場の業績は悪く、義父母との関係も上手くない。中学と高校に行く息子とは話すこともあまりない。自分の人生に疲れ果てた直美の口グセは「最悪」そんな直美が友達に紹介された水曜日郵便局に手紙を出してみることにした。

    水曜日郵便局はそこに集まった手紙をシャッフルして届けるサービスで、他の人がどんな水曜日を過ごしているかが書かれている。直美は自分の理想の水曜日をしたため、投函した。

    今井洋輝は文房具会社に勤める課長。昔はデザインの仕事をしていたが、営業職に異動になり、イラストレーターの夢を追えずにいた。同期で早々に会社を辞めて、ギリギリの生活ながらもイラストレーターの夢を追いかける友を眩しくも感じていた。モヤモヤした気持ちを手紙にぶつけ水曜日郵便局に投函する。

    光井は水曜日郵便局に勤める元漁師。妻を震災で失い、高校生の娘と暮らしていた。彼は夢を叶えた井村の手紙と夢を追いたい今井の手紙を交換することにした。また、娘には夢を諦めてほしくないことからこの手紙を読んでもらうことにした。

    今井からの手紙を受け取った直美は、少しずつでもいいから自分を変えようと、パン作りを始める。夫に夢を打ち明けたところ、夫も工場をたたみ、自分の夢である喫茶店がやりたいと語り、ちょっぴり家族が幸せな方向へ転換した。

    直美から夢を叶えた手紙を受け取った今井は、決心してサラリーマンを辞めてフリーのイラストレーターとして活動する。絵本作家になるため作品を描き、息子のために自分の遺書となるような絵本を描くことを決意する。

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著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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