妖奇庵夜話 ラスト・シーン (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041115244

作品紹介・あらすじ

《鵺》によってゲームを持ち掛けられた伊織。それは期限までに「小鳩ひろむ」を伊織と青目で奪いあい、奪い取れたほうが勝ちという、悪趣味すぎるものだった。青目と、父である《鵺》との最終対決が始まる!

感想・レビュー・書評

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  • 榎田ユウリ×中村明日美子「妖奇庵夜話」初のオリジナルグッズ、本編決着を記念し(コメントあり) - コミックナタリー
    https://natalie.mu/comic/news/442158

    「妖奇庵夜話 ラスト・シーン」 榎田 ユウリ[角川ホラー文庫] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322103000575/

  • シリーズ最終話。

    父親と弟の伊織に対する執着が異様。で、解決があれというのはちょっと甘い気がするが、伊織の情に弱いところが素直に出たといえばそうなのか。

    最後の彼の活躍がいい。騙されました。

  • 妖奇庵夜話シリーズ、第9作にして最終巻…
    読み切ってサブタイトルの意味を、涙とともに噛みしめる…

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    「おまえにすべて差し出せたらと思うんだがーそれはもうできない。
    したくてもできない。この身体も、命も、記憶も感情も、自分のもののようで、実のところそうではないからだ。自分が自分であるためには、どうしても他者が必要で、そうやって人は生きている。よくも悪くも他者の影響はあまりに大きく、この身に食い込み、外せない。自分から過去を切り取れないのと同じように。」
    (5ページ)

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    “鵺”が、青目と伊織にゲームを提案してきた。
    弁護士の小鳩ひろむを、青目は奪う、伊織は守る、そんなゲーム。
    しかし、あの事件以降、脇坂刑事は未だ目覚めない。
    Y対は解体され、鱗田刑事も動けない。
    動けるのは伊織、夷、マメ、甲藤のみ。

    “鵺”の、本当の狙いとは…?
    そして青目は、なにを欲し、なにをおもうのか…?

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    ついにきました、最終巻…
    冒頭から26ページまでで、8巻までの事件がうま〜くまとめられ、9巻における状況を再確認できるようになっていました。

    今回は事件そのものの推理、というよりも、それを通してのそれぞれの胸中の推理に、重きが置かれています。
    そのため、謎解き推理ものとして読むと、いささか物足りなくなってしまうのではないでしょうか。

    口を開けばネタバレになってしまうこの状況下…書けることは少ないのですが、なんといいますか、最終巻にしていや最終巻だから?!こその、二転三転するそれぞれの真相が、まさに“凄絶”でした。
    ※凄絶(せいぜつ)→息をのむほど、すさまじい様子。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    表紙絵は横顔の伊織、そして手だけの青目ですが、この表紙を見たときに「なんで伊織、横顔なの??しかもなんか、髪型の雰囲気、違くない??」と違和感がありました。
    しかし、最後まで読んであらためて表紙を眺め…「そういうことだったのか…」と納得…、そして涙。

    それでも☆3つとしたのにはいくつか理由があります。
    まず、“鵺”という人物が、おもったよりもあっさりしていたこと、そして“鵺”がその最終目的になぜ至ったのかが今ひとつ腑に落ちなかったこと。
    そして“鵺”との最終対決のシーン。
    その結末は“わかる”けれども、それによって目には見えない傷を負った人がいるという、事実。
    また、ラスト近くで青目についての発言に、一部伊織が言い淀むシーンがあるのですが、その理由が未だに推測できないこと(266ページ)。(←どなたか考察お願いします(汗))
    そして青目の、“今”は…??

    推測しきれない謎を含んだまま、物語が終わってしまったこと、そして過去の番外編は書けても、この最終巻の先をえがく物語は、出ないだろうということ。
    だからこの謎は永遠に謎のままであり、永遠にこたえを得られない…
    知りたい気持ちと、それ以上知ってどうなる?という気持ちとのせめぎ合いが、苦しい終わりになりました。

    そして、その状況を“理解”はできても、やはり様々な人たちが追った“傷”の重さ、深さをおもうと、他に道はなかったのだろうか…と考えてしまうのでした。

  • シリーズ9作目。前作で脇坂さんと夷さんが負傷し、緊迫した状況のまま始まった今作。
    2人とも命に別状はないものの、重苦しい雰囲気が漂うなか、鵺から伊織にある“ゲーム”が持ち掛けられる。

    シリーズ開始から10年余りでついに完結。
    兄伊織に執着する青目が、兄の気を引きたいがために事件を引き起こす、という構図が定番となっていたけれど、作を追うごとに、青目の過去を知るごとに、青目をただ悪と思えなくなってきていた。その思いは、鵺の登場によって、ますます顕著になる。

    やっぱり最後まで伊織は真っ直ぐで優しくて強い人だった。”家族”である夷さんやマメのことはもちろん、たくさんの人を傷つけ殺してきた青目のことも、弟として放ってはおけなくて、自分一人で背負ってしまうところが、痛々しくて哀しい。
    ここ数作、重い話が多かったので、“本編完結”という言葉を信じて、次はほのぼのとした妖奇庵の面々の話に期待したい。

  • 最終巻?
    鵺の最期があっけなかった感
    青目の落とし所は心情展開的にそうかって納得しつつも、できれば伊織に傷をつけないでいてほしかった

  • 終わってしまった(/ _ ; )

    よかった…ホントよかった…

    もうラストのシーンが明日美子先生の美しい絵で脳内駆け巡りました\(//∇//)\

    青目がどうなったか…読者の思うようにどうぞな終わりかた?

    番外編?後日談?なんでもいい楽しみです♪

    もう☆5つしかないのが残念です笑

  • ラストシーンの意味。
    ずっと青目と洗足の決着だと思っていた。何なら青目の死に際だと思って、そのつもりで読み進めていた。
    けれど決着は決着でも、決着のさらに向こう側だった。
    そういう意味か。
    洗足が最後に見るもの。今生で、目に焼きつける最後のもの。そういう意味なのか。はぁ…エモい。
    初回封入特典のリーフレットの話題が《最後に食べたいもの》なのも、そういう事…だよなぁ…。エモい。

    あと、洗足は今後は夷やマメに世話をかけると言っているけど、本当にそうかな。
    夷に関しては、むしろ……。
    そりゃあ最初は怒りもするし、悲しみもする。命に背いてでも探さなかった自分を責めるし、悔いもする。でも一通り怒って後悔した後はむしろ…。
    夷は青目に負けず劣らず、洗足に執着してる。脇坂や甲藤のような《憧れ》からの子どもじみた独占欲ではなく、自分の命そのものだと言って憚らないほどの偏執的な執着。主のためなら、捨て駒にされることすら厭わない、そんな重たい執着心。
    洗足の目が見えなくなったことで、洗足が今後生きていくためには、生活のほぼ全てにおいて自分を頼らなければならない。自分の命より大切な主が、自分に依存して生きていく。
    夷にとってこの状況は、作中に出てきた《縛り上げて監禁したい(未遂)》と近いのでは…?執着心が満たされる以外の何物でもないのでは…?エモすぎか?

    ただ青目も青目で、そんな夷のことを分かってそう。
    2人が互いに殺したいほど嫌いあってるのは、同族嫌悪かつ同担拒否だからだもの。
    だからこその青い義眼。
    伊織の目が見えないからって、これでお前だけの主になったと思うなよ。伊織の顔を見る度、伊織の1番は俺だと思い知れ、みたいな。青目からの牽制。
    その牽制(マーキング?)を分かっていながら、呆れつつも受け入れたのであろう洗足。義眼の色を知った時、きっと困ったように微笑んだんでしょうよ。仕方の無い子だね、と。
    はぁ…エモすぎて情緒がおかしくなる。

    【本編完結】だから、外伝的な続編が出ることを期待したい。
    甲藤の主問題とか、マメとトウの今後とか、脇坂とひろむの新婚生活とか、夷の甲斐甲斐しい世話焼きとか、色々見たいのあるのよ。
    お願いしますよ本当に。

  • 雰囲気としては徹頭徹尾まるごとエピローグのような、推理小説の解答編だけを読んでいるような雰囲気だった。
    そんななか、鵺への決定的な一撃を洗足に担わせず"警察官"脇坂の手によって決着をつけられたというのは、考えてもみれば平家物語に於ける源頼政による鵺退治に準えられているのだろうな、と勝手に腑に落としている。
    シリーズ通して幕間に洗足と青目の幼い日のやりとりが挿入されてきたが、全て集約されたうえでの左目の話で結びとした優しさがある

  • ああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁ!!!!!!


    …と本当に叫びそうになりました。

    ラスト・シーン
    最後の景色。

    なんだこの感情は。
    エモいってやつか。

    榎田ユウリ作品はこう、ぎゅううううっと胸を締め付けられるけど不快じゃない
    笑顔のはずなのに涙が溢れそうになる
    そんな終わりが印象的。

    そして耽美なラストが中村明日美子さんのイラストで脳内再生される……
    描かれていないところが妄…想像をかきたてる……
    ああああああああぁぁぁ!!!!!

    これ、本編完結ってところに期待をしていいんですよね!?!?
    なにかが始まるんですよね!?
    中村明日美子による青目先生のイラストも見たい…絶対美しいな……

    楽しみにしてます!!!!!

  • 終わってしまった!
    なんて壮絶な物語だったのだろう。
    読んでいて結構痛いし、グロい部分もあるんだけど伊織の柔らかいはんなりとした口調と、脇坂のキャラのおかけで、それを感じさせない。
    登場人物がみな、それぞれ魅力を持っていて何度も読んでも飽きない。
    あれだけ恐ろしい青目でさえ、鵺と比べると可愛く思えるほどだ。
    青目にはバックグラウンドもあるし、伊織への執着もなんだか切ないんだけど、鵺は根っからの怪物だった。
    ハッピーエンドで良かった。

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著者プロフィール

東京都出身。おもにライトノベルにて活躍する気鋭。代表作は「カブキブ!」シリーズ、「魚住くん」シリーズ(角川文庫)、「妖き庵夜話」シリーズ(角川ホラー文庫)、「宮廷神官物語」シリーズ(角川書店ビーンズ文庫)など。榎田尤利名義でも著書多数。

「2023年 『妖奇庵夜話 千の波 万の波』 で使われていた紹介文から引用しています。」

榎田ユウリの作品

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