発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041092910

作品紹介・あらすじ

味噌、醤油、ヨーグルト、日本酒、ワインなど、世界中にある発酵食品。著者はあるきっかけで“発酵”に魅せられ、日本だけでなく世界各地に伝承された美味なる食品を求めて旅をした。発酵とは、見えない自然を捉え、ミクロの生物と関係を結び、暮らしの中に喜びを埋め込む。この総体が発酵文化であり、そのローカル文化を通して人類の不思議を解くのが「発酵文化人類学」。発酵には、オーガニック、美容、ライフスタイル、イノベーションへの発展の側面があり、単なる食品にとどまらず、人間にとっての未来の可能性があり、歴史・文化を見直すきっかけになる。発酵は、今、人類の未来を左右する最も注目を集めている分野のひとつと言える理由がそこにある。
著者は発酵のしくみや人間と微生物との関わりを学ぶ中で、発見した。発酵には未来と過去があり、“微生物と人間の共存”は社会を見直すキーワードそのものだということを。
生物学、哲学、芸術、文化人類学などの専門用語を平易に解説した待望の文庫化。参考文献満載。解説・立花ケンチ(EXILE)

感想・レビュー・書評

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  • おもしろかった。かつて学んだ文化人類学がこんなふうに立ち上がってくるのはとても楽しい。特にPART2の風土と菌のブリコラージュは、著者の考え方が伝わってきて興味深く読めた。
    ただ、読みにくい。本書がおもしろくてわかりやすいこととは別である。ブログを元にしているということだからか、体系的ではなく(そこは著者も冒頭で述べている)、見出しがないのも難点だろう。大文字が見出しかと思いきや違ったり、所々に1行空きが挿入されるのもブログの名残りか。図と文章の連携も甘く、これは著者のせいというよりは編集者のせいとも言える。
    日本各地の醸造文化の紹介にはワクワクさせられる。続刊に期待!

  • 作家さんにはよく「この本を書くために物書きになったんだな」と思うようなズバ抜けて突き刺さる一冊があるけど、この本がヒラクさんのそれではないかと思う。
    世界が広がる、何度読んでもためになる、大好きな本です。

  • これに感化されてもやしもんが気になっている。表紙が可愛くて手に取っただけだったが、単なる発酵の仕組みを学ぶような本ではなく、人間と自然の関わり等まさに人類学的な部分もあり、著者の一見バラバラに見える興味関心(デザイン・発酵・)が線でつながった様子は、まさにconnecting the dotsなのかな、と。

  • 著者の文章の書きぶりは至って口語的でちょっと軽めなのだが、内容はしっかりとタイトル通りに「発酵×文化人類学」をやっていて、かなり読み応えがあり、面白い。『もやしもん』が好きだった人ならまず間違いなくハマる。騙されたと思って読んでみてほしい。

    『もやしもん』を知らなくても、味噌、醤油、日本酒やワインやビールなどの醸造酒あたりが好きだったり、ちょっと興味があるけど詳しくは分からん、という人なら、それらを扱っている章のみ読むだけでも、相当いろんなことが分かる。「発酵」という事象の奥深さ、その「発酵」をキーワードにして人類の文化や技術について学んでいく「文化人類学」の面白さがミッチリと網羅されていて、「発酵で作られた食材・酒」も「文化人類学」も好きな自分としては、楽しめないわけがないという本だった。

    400ページ近くあるが、急がずゆっくり読むのがいい。急ぐ気がなくても、面白いと感じる場所にさしかかったら、あっという間に一章まるまる読めてしまうから。

  • 文化に根付いてきた発酵が分かりやすく書かれていた。技術を時系列(というほど難解ではないが)で追っていくのは、ただ知識を垂れ流されるよりも頭に入る。
    さらにそれを踏まえた上で現在発酵を用いてどのような取り組みがされているのかについて触れられているので、内容がするすると入ってくる。
    また、著者のデザイナーという経歴もあってか、美術や音楽を食品やそれに携わる人々の比喩として用いることもあり、知識が多い人は物事を説明する時、類似する事柄をいくつも思い浮かべられるんだろうなと思った。

  • 【カビとともに生きるロマン】

    柑橘類には緑のカビ
    いちごには毛(?)の長い白黒のふさふさしたカビ
    メロンは黒斑のカビ
    うんうん、カビって生えるものとの相性があるよね。
    おもしろいよねー。

    昔、酵母汚染!という主張に関わることがあって
    そのとき初めて酵母や乳酸菌のこと調べて
    実際問題、酵母や乳酸は味方にするととても心強く
    そして逆に敵とみると超やべえやつ
    という知識があった。
    だって当たり前に存在するものですよ。
    それを人間の生きる環境下から除去するって、
    …how?

    発酵と腐敗は同じもので、
    要は人間がその状態をよしとするかどうかであって。
    ちなみに確か乳酸菌数の上限値縛りがあるのは
    浅漬だけだったかな、そんなんもあるみたい。

    発酵すてき!
    やっぱロマンがある。
    手前味噌文化にふれたい!
    …味噌スープ、うちの娘大好きなのよ。
    みそから一緒につくったら絶対楽しいよねとか。

    自然界からもらい受け、利用し、共生し、…
    というか生かされてるよね。
    というのを改めて本書で感じました。
    ありがたや。
    そして発酵文化を生業とするの、うらやましい。
    厳しいだろうけどロマンがある!



    パイナップルを切りました。
    2日後に食べたらシュワシュワするよー
    さて発酵か腐敗かどっちかな?

  • 親しみやすいユーモラスな文章。お酒に関する章、最終章が好みだった。最後まで読んだときに、タイトルが『発酵文化人類学』たる意味が深く理解できた。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    発酵という言葉で最初に思いつくのは日本酒やワインのような醸造だったが、本書を読むと味噌や醤油、世界に目を向けると様々な場所で発酵が起きていることがわかる。
    これは日本史、いや人類史が発酵とは切っても切り離せない関係性を持っているのだと改めて感じた。
    また、発酵意外に最新の生命科学にも触れられており、そちらの分野に関しても興味を持ったので参考文献の中からなにか読んでみたいと考えている。

  • 発酵が人類の生活を向上させている。しかし発酵と腐敗は表裏一体。人間がコントロールするためには未解明なこともたくさん。醸造家は微生物とのコミュニケーションしている。それを頂きながら醸造家とコミュニケーションする。生きる意味に踏み込めるテーマ。面白かった。

  • いいねえ。環境大善のきえーる

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著者プロフィール

小倉ヒラク(おぐら・ひらく)発酵デザイナー。「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作、ワークショップを開催。東京農業大学で研究生として発酵学を学んだ後、山梨県甲州市の山の上に発酵ラボをつくり、日々菌を育てながら微生物の世界を探求している。絵本&アニメ『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014受賞。2015年より新作絵本『おうちでかんたん こうじづくり』とともに「こうじづくりワークショップ」をスタート。のべ1000人以上に麹菌の培養方法を伝授。自由大学や桜美林大学等の一般向け講座で発酵学の講師も務めているほか、海外でも発酵文化の伝道師として活動。雑誌ソトコト『発酵文化人類学』の連載、YBSラジオ『発酵兄妹のCOZYTALK』パーソナリティも務めている。

「2017年 『発酵文化人類学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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