天使・雲雀 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.22
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本棚登録 : 209
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041092682

作品紹介・あらすじ

生まれながらに特殊な「感覚」を持ったジェルジュは、オーストリアの諜報活動を指揮する権力者の配下となる(「天使」)。特殊な「感覚」を持つ工作員たちの闘いと青春を描く、姉妹篇2冊をまとめた決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 戸惑いの「天使」と、手に汗握る疾走感の「雲雀」。
    話がいきなり飛んで、多数の人物の名が入り乱れたため「天使」を読み終えた時は混乱をきたし、星2だと感じていたが「雲雀」の中盤からどんどん話と登場人物が収斂してきて最後の100ページは一気読みだった。
    ストーリーは抜群に面白いが、文体、構成、いきなりの登場人物名などから、読み手を選ぶ小説かもしれない。

  • 第一次世界大戦前からハプスブルク王朝崩壊とその後までのオーストリア=ハンガリー帝国を舞台に、人の頭の中を覗いたり触ったりできる特殊能力を具えている間諜の話。
    特殊能力は置いておいても、歴史の陰にはこんな間諜の働きがあったんだろう。彼らは好きに仕事を辞められないし、後の時代に生きる私の感覚では、時代に翻弄されたと思いがちだ。
    でも読みながらその時代の中に入り込んでしまうと、ただ選んだやり方で生きただけなのだと感じた。働いたり恋愛したり、敵対する相手がいたり友達が出来たり、何も特別なことはない。
    上手くいけばニヤッとするけど、生き残れるのか、というざわざわした気持ちがずっとついて回る。ラストが好きだ。

  • 意志の自由は手放さない特殊な〈感覚〉を持つ青年の半生 | レビュー | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/review/article/639888

    名もなき青年が、たった一人で“国家”に立ち向かう――佐藤亜紀の『天使・雲雀』に寄せられた熱狂的な興奮をお届け!『スウィングしなけりゃ意味がない』の熱狂を再び味わってください。 | カドブン
    https://kadobun.jp/feature/readings/1itdzxzogkxw.html

    天使・雲雀 佐藤 亜紀:文庫 | KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/321912000256/

  • 主人公は『感覚』という異能が使える。

    相手の心を読んだり、相手を動かしたり、相手の心と頭脳を壊したり・・・

    そんな彼はオーストリア帝国の間諜として働く。そして舞台は第一次世界大戦のヨーロッパ!!!


    主人公ジョルジュのサクセスストーリーと言ってしまっては言葉が軽すぎるかもしれないが、読んでて痛快なのは間違い無し!


    本書の著者の作品は二作品目になるが、油断していると放り投げられてしまいそうになる文章使いは読書疲労は貯まるものの読み切った後の達成感は 計り知れない!
    なんだか知らないが賢くなった気分になれます!

  • 舞台は第一次世界大戦前後のヨーロッパ。
    サイキック集団が跋扈する魑魅魍魎の中を泳ぐように生き、したたかに漂流するゲオルクエスケルス。
    登場人物が全員オーストリア人とかロシア人とかだから名前が覚えにくい事おびただしい。
    人物相関図付けてあげようとは誰も思わなかったのか。
    何回もコイツ、誰だっけ?と読み返した。
    でも読み返すことで面白さは倍増する。
    ギゼラが最後の最後に出てきた時は快哉を叫んだ。
    初登場から一体何年経ってる設定なの?
    そしてちゃんと結ばれるのね。
    ハッピーエンドなんだ。其れにも吃驚。
    読み応えあります。
    読んだら疲れます。でも心地よい疲れです。
    500頁以上有りますがオススメです。

  • 私には、わかりにくい小説だった。第一次大戦の頃のドイツやオーストリア、ロシアなどが舞台だが、世界史の苦手な私には、今一つ状況がつかめなくて残念。セリフも時々誰なのかわからなくなってしまった。
    この時代の雰囲気をイメージできないと、無理かなぁ。

  • エネルギーを要する作品でした。歴史的な背景がわからないと迷子になる。知らない用語が当然のようポンポン出てきて「ちょっとまって、これ何のこと言ってんの?」ってなる。検索しながら読んだ。

    主人公たちの使う特殊能力を脳内で再現するために五感を総動員して第六感的な感覚を何とかして創り上げるという作業が必要だったんだけど、これが癖になるほど楽しかった。(私としては泥酔したときの感覚がいちばん役立った)

    登場人物がやたら多いがみんな魅力的なのでさほど混乱しなかった。小狡いキャラクターすら心から憎むことができない魅力を持っており2作品を通してそれがジワジワ漏れ続けいつの間にか何となく好きになっている。
    主人公を始め基本的にみんなこれでもかと言うくらい気取っているのだが時折出て来る間の抜けたキャラクターが殺伐としたストーリーを和ませている。
    そんなお間抜けキャラが内面も含めとても傍観者的な視点で淡々と描写され、何とも言えないおかしみを誘う(かわいい)
    人物描写に関してはこの二点がツボだった。

    そしてとにかく終わり方がいい!頑張って読んでよかった。 

  • 特殊な〈感覚〉の表現が凄すぎる…。分かりやすい名付けはないのに、〈感覚〉のイメージが掴めるという不思議さ。その奇妙な手ざわりが面白くて、〈感覚〉が駆使される場面だけ、繰り返し読んでしまった。
    物語は、第一次世界大戦前の不穏な政治情勢のなか、〈感覚〉を武器に間諜として動くジェルジュの、同じく〈感覚〉を具えた者たちとの攻防、いくつかの情事、そして明らかになる波乱の生い立ちと、揺さぶられ、ぐいぐいと引っ張られる強い引力があった。
    佐藤亜紀さんって、ほんとすごいな。

  • ある青年の青春と恋をまぁこんなにとっつきにくく書けるなんて凄い!!
    深謀遠慮渦巻く奇奇怪怪な物語
    疲れたー

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著者プロフィール

1962年、新潟に生まれる。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。2002年『天使』で芸術選奨新人賞を、2007年刊行『ミノタウロス』は吉川英治文学新人賞を受賞した。著書に『鏡の影』『モンティニーの狼男爵』『雲雀』『激しく、速やかな死』『醜聞の作法』『金の仔牛』『吸血鬼』などがある。

「2022年 『吸血鬼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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