ドッグファイト (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 294
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041082102

作品紹介・あらすじ

物流の雄、コンゴウ陸送経営企画部の郡司は、入社18年目にしてはじめて営業部へ異動した。担当となったネット通販大手スイフトの合理的すぎる企業姿勢に反抗心を抱いた郡司は、新企画を立ち上げ打倒スイフトへと動き出す。そのために考え抜いた秘策は、買い物難民を救い、商店街を活性化するとともに、世界に通ずるものだった――。運輸界最大手企業と世界的通販会社、物流の覇権を巡る戦いの火ぶたが、いま切られる!

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった
    ワクワクして読めました。
    Amazon VS ヤマト運輸
    そして、語られる新しいビジネスモデル

    「再生巨流」、「ラストワンマイル」と、ビジネスプランを紹介してきた楡さんですが、本作では、世界通販会社(スイフト)にやられそうな、運輸最大手会社(コンゴウ)の新たなビジネスの活路を語った物語です。

    悪役と正義役がきっちり分けて語られているので、最後は気分爽快(笑)

    そして、アマゾンのビジネスを分析したうえで語られるスイフトの合理化経営戦略。それに対抗する運送会社の新たなビジネスモデル。
    ケーススタディを読んでいるようでした。

    どうしたら、このようなビジネスプラン、ビジネスモデルが考えられるんだろう?
    自社だけでなく、社会的課題をも解決するビジネスモデル
    買い物難民を救い、地元商店街の活性化を実現

    とてもリアルで今すぐにでもビジネスが始められそうな感じです。

    とってもお勧め!

  • 外出のお供にコンパクトな本を持っていきたかったので、
    安定の楡さんの本をチョイス。
    結構最近、文庫になった本です。

    テーマは物流。
    ラストワンマイルなどで、楡さんが最も得意とする分野のビジネス小説です。

    ※ラストワンマイル
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4101335745#comment

    amazonをモデルにしたネット小売り企業と
    ヤマト運輸をモデルにしたその配送を受け持つ物流企業のドラマ(というか戦い)。
    いい具合に、ネット小売り企業が悪者にされていて、
    ジェフ・ベゾスをモデルにしたCEOやその取り巻きが
    悪代官のようないい味を出してくれています。

    確かにここでフォーカスがあてられた部分は、
    amazonの闇の部分でしょうし、
    著者も色々な関連書籍や記事を参考に、
    悪役モデルを作り上げたのだと思います(だからこそ物語にリアリティーがあって面白い)。
    ちょっとこの小説を読むと、amazonでお買い物をするのが、
    イヤになってしまいますが(笑)、
    amazonの磨き上げられたビジネスモデルも
    フラットな気持ちで合わせて読むと、
    立体的にこの業界の光と闇が理解できるかと思います。
    例えば「amazon 世界最先端の戦略がわかる」などを合わせて読むことをお勧めします。

    ※amazon 世界最先端の戦略がわかる
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4478105057#comment

  • 一気読み。良かった!
    物流業界と高齢社会問題
    オチが想像できても面白かった。

  • 読後感はまさに爽快という感じ。
    池井戸潤の小説を読んでいるような。
    読み進めながら、宅配業者の現状を知り、結構なんでもかんでもネット通販を使ってしまうことに反省。
    自分の全然知らない業界が小説という形でクローズアップされていたのが良かった。

  • 大手物流会社の企画部で働く主人公は営業に異動になり、外資のネット通販会社の担当となる。
    物量に物を言わせ物流会社を言いなりにさせるクライアントに忸怩たる想いを抱きつつも、どうにもできない現状。さらにたたみ込まれるようにクライアントの新規事業に巻き込まれ、彼らの配送部門に成り下がりかねないという会社の危機に起死回生のアイデアを思いつく。
    それはクライアントであるネット通販会社に反旗を翻すと言っても過言ではない策だった。

    ヤマト運輸とAmazonの戦いをベースにした攻防。
    誇張している部分は大いにあるだろうが、現場の臨場感などはそうかけ離れた物ではないと思う。
    勧善懲悪的な要素もあり、物語としてはわかりやすい。利益を追求するのは企業の使命てあるが、やはり世の中のためになることを行うというのが根底にあってほしいと思う。

  • アマゾンvsヤマト みたいな小説です。
    どこまで本当なんでしょう?!
    引き込まれました。最後の顛末にはびっくり。

  • ヤマト運輸とAmazonのドックファイト。
    やられっぱなしコンゴウ運輸が牙を向くところはほんと痛快。事業拡大の糸口の伏線はわかりやすかったけれど、それでもこんなに血が熱くなるとは。
    肩入れしやすい登場人物、善悪がきっちりとわかれていたのも入り込みやすくなった要因だね。
    企業小説も色々とあるけれどこういった類いのものものは大歓迎。
    楡周平さんもう少し極めたい。

  • 実際に巷で起こっている動きを深く参考にした筋書ながらも…「現実もこういう具合に?!」という、少し痛快な結末に向かって事態が推移する。そして考えてみれば、自身を含む多くの人にとって身近と思えるような事象が関わる、非常興味深い内容の物語だ。
    物語はネット通販の会社と宅配会社との話しで、「これは?あの会社?」というように感じられる会社が作中に登場はしているが、飽くまでも「作中の会社」だ…
    本作は、膨大なシェアで宅配会社にネット通販の大手が圧力を掛けて値下げをさせているような状態を少し図式化したような作中世界で物語が展開しているのだが…何か商品を売る側、配送する側、販売を利用する側と「関わる全ての人達」が一定程度以上に満足というのでもなく、「自分達が好ければ、後は知ったことではない」という「近年の風潮?」とでも呼ぶべきモノをエンターテイメント形式で告発した物語かも知れない…
    因みに「ドッグファイト」とは「戦闘機の空中戦」を指す訳で、ここでは<コンゴウ陸送>と<スイフト>との間に生じる競り合いのことを指しているようだ。
    本を紐解き始め、「誰のために?」と自分達の仕事に疑問を抱く状況の中で奮戦する主人公・郡司の様子に引き込まれ、頁を繰る手が停まらなくなってしまい、あっという間に読了に至った…

  • 大手物流会社と世界的外資系ネット通販の壮絶な空中戦が始まる!
    みたいな帯で煽っていますが、楡周平の企業系の話はハードボイルド系同様、相変わらず面白い。
    最後のオチ?はなかなか良かった。

  • なかなか面白い企業小説だった。

    スイフトは常に事業の拡大を目指し、実にビジネスの弱肉強食を思わせる姿勢だが、対するコンゴウ陸送は社会に目を向け、事業拡大によって職を失う人が出ることを危惧し、地域に寄り添ったビジネスを展開した。

    実際にこんなに上手くいくものか…と思ってしまった気持ちは少々あるが、小説の中でぐらい社会を想う企業のどんでん返しがあっても良いなとも思う。

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著者プロフィール

1957年生まれ。米国系企業に勤務中の96年、30万部を超えるベストセラーになった『Cの福音』で衝撃のデビューを飾る。翌年から作家業に専念、日本の地方創生の在り方を描き、政財界に多大な影響を及ぼした『プラチナタウン』をはじめ、経済小説、法廷ミステリーなど、綿密な取材に基づく作品で読者を魅了し続ける。著書に『介護退職』『国士』『和僑』『食王』(以上、祥伝社刊)他多数。

「2023年 『日本ゲートウェイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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