夜に啼く鳥は (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041081662

作品紹介・あらすじ

不老不死の一族の末裔としてただひとり強大な力を受け継ぎ、現代の都会でひっそりと暮らす御先(みさき)の前に同じ力を持つ青年・四(よん)が現れた。彼らは性別を持たず、治癒能力があり老いることもない。少女のような外見のまま150年以上の時を過ごす御先は、自分の体質を恐れ逃げるように生きてきた四と行動を共にするうちに、自らが過去に里で犯した罪と向き合いはじめる。
「わたしは誰かを愛せるのか」。時代を超えた、愛と命の物語。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『不老不死』の力を得ることができるとしたらそれを望むでしょうか?

    太古の昔から『権力と富貴を手にした者は、その状態を永遠に保ち続けたい』と願ってきました。『秦の始皇帝に不死の霊薬探索を命じられた徐福の伝説』など、歴史に名を残す権力者たちも、その力が老いや死によって奪われない方法がないものか考えられる限りの手を尽くしてきた歴史があります。それは、時が変わってもある意味万人の望むところでもあります。”若さを保つ”という言葉が踊るサプリメントの数々には、誰しも一度は興味を抱くと思いますし、実際に手にされたことのある方も多々いらっしゃるでしょう。しかし、残念ながら、その先に望んだような結果が得られることなく、失望だけを、諦めの感情と共に味わうことになるのも世の常です。誰だっていつまでも若くいたい!、歳なんかとりたくない!、そして死にたくない!、そんな感情はこの世を生きるすべての人間の究極の願いなのだと思います。しかし、残念ながら現代の最先端の科学技術をもってしてもそれは実現していません。人がこの世に生まれた限りは必ず死ななければならない、そのことに何の変化もありません。願っても叶わないこと、そのような状態が続けば続くほどに人の思いは募っていくものです。なんとかして『不老不死』を実現できないか、というその感情。でも、そんな願いが叶ったその先には本当に幸せな未来が待っているのでしょうか?『不老不死』とは、人に幸せな未来を約束してくれるものなのでしょうか?

    さて、ここに、そんな『不老不死』の人生を生きる一人の女性が主人公となる物語があります。『食べ物も飲み物も不要』で、『怪我をしてもすぐに治る』という『不老不死』の人生を生きるその女性。この作品はそんな女性が『人には不死など要らない。いや、生物には要らないのだ』と叫ぶ様を見る物語です。
    
    『小さな浜がありました』。その浜には『確かに死んでい』るものの『傷のない魚』が時折、『流れつきました』。その『魚は何日経っても腐りません』。村人たちは『小さな祠』を作って、『腐らない魚はその奥にしま』うようになりました。そんな『ある春の日のこと』、『砂浜で貝を掘っていた村の子』が『白い塊が浜に打ちあげられ』たのに気づきました。『白いものは赤子でした』。集まった村人たちの前で『激しく痙攣』し、『勢いよく海水を吐きだし』た『赤子の瞳は青緑色でした』。『股がつるりとしていたので女児である』ものの、『他の赤子とは様子が違って』いるその赤子を見て戸惑う村人たち。『鬼の子じゃないのか』、『海神さまの子だったらどうする』と結論が出ない中、『崖の上の祠へ運ばれ』たその赤子。『十日前に子を亡くしたばかりの女』が『乳を与えるよう命じられ』、『乳がでなくなると、村の人々は交代で食べ物を運び』赤子を育てました。しかし、村人たちは彼女に話しかけたりはせず、『彼女に名前はありません』。そんな彼女は『彼女の瞳と同じ色を』した『小さな虫たち』を友としていました。『虫たちと戯れ』て笑顔を見せる彼女に畏怖の目を抱く村人たち。彼らには虫の姿は見えないのでした。いつしかシラさまと呼ばれるようになった彼女は『年頃の娘にな』りました。そんな中、突然男に襲われたシラ。崖へと駆け、祠へと飛び込んだシラは『男が裂いた股の間から躰が腐っていくような気がしま』す。そんな時、『魚の山が青緑色に光り』、『無数の青緑の虫たち』がシラの躰を這い回ります。そして『下腹部を包』んだ虫たちによって『痛みが静かにひい』たシラ。虫たちは再び魚の中に戻っていきました。『それから青緑の虫たちはシラが怪我をすると治してくれるようになりました』。それからしばらくの時を経て『シラの腹が膨らみはじめ』、『赤子を産み落とし』ます。『何の変哲もない人の子』を見て、村長は『海神さまの遣い』ではなく、『そこらの女と変わらない』と、シラを罵り、その赤子を『海神さまの供物』とするよう命じて取り上げます。祠に閉じ込められたシラは、魚を食べて飢えを凌ぎます。やがて『手足を縛っていた縄』が朽ちていたので外に出られたシラは、『お腹が減らない』ことを不思議に思います。また、『いくら歩いても疲れること』なく、怪我をしても『傷口が青緑色に光り』、『傷跡さえ残』らず治ってしまいます。そう、『時が止まったまま』、『いつまでたっても若いまんま』で、年を取ることもなくなり、『わたしは死ねないんです!』という躰になったシラ。そんな不思議なシラを先祖とする御先(みさき)の物語が描かれていきます。

    六つの短編が連作短編の形式を取る「夜に啼く鳥は」というこの作品。そんな作品の冒頭は『小さな浜がありました』という村の浜に『確かに死んでい』るものの『傷のない魚』が時折流れつくという不思議な事象が提示されることから始まります。そんな冒頭の短編〈シラ〉は、『…ました』、『…でした』と結ばれる文章が大半を占めていて、まるで”むかしむかし”から始まる昔話の一節を読んでいるかのような気分に陥ります。そんな昔話のような最初の短編では、この物語の大前提となる『不老不死』の力を得ることになるシラの人生が描かれていきます。昔話には、その主人公となる人物自体に最初から何らかの力が備わっているものと、何らかの力によって人生に影響が及ぶ主人公に分かれると思います。一寸法師や桃太郎は前者でしょうし、浦島太郎やわらしべ長者は後者でしょう。この作品は『白い塊が浜に打ちあげられ』たというファンタジックな登場の仕方とはいえ、『腐らない魚』を食べたことがきっかけとなって『不老不死』の力を得たシラが主人公となる物語です。無理に分けるとすると昔話としては後者に属すると思いますが、尋常ならざる神秘性がどこまでもシラを、そして物語を包んで独自の魅力を放つ現代の昔話という独特の立ち位置に立つ物語だと思います。私の中には、上記したような有名な昔話と同様に、”私が知っている昔話の一つ”として、この短編〈シラ〉が強く刻まれました。この短編だけでも、皆さんに知っていただきたい、そう強く感じた非常に良くできた現代の昔話だと思いました。

    そんな物語は、二編目の短編以降、舞台を現代に移します。『地下に潜り、幾重もの分厚い金属の扉を通過する』という、最初の短編〈シラ〉の昔話を読んでいた身には違和感しかない突然の描写。そして、そんな場所を『ここは表向きは環境問題に取り組む国際的な公益財団法人の本部ビルだ』と説明する二編目〈はばたき〉への展開の落差は衝撃的です。それは、うらしま太郎やわらしべ長者が現代に現れた物語が展開したとしたら違和感しかないのと同じようなものです。そんな二編目では、『未だに自分がなにものであるかわからない。男でも、女でも、人でもない』と自身のことを語る御先(みさき)が、実質的な主人公となって進んでいきます。『蟲に選ばれた者だけが不老不死の力を得る』と、一編目のシラと同じ力を持つ御先。そんな御先は、『蟲の飢えを満たすために施術と称して病人や怪我人を治す』という日々を生きています。ビルの地下にある施術室で、『肺癌からの骨転移』など現代の医学の力をもってしても治癒できないような病や、普通なら回復不可能な交通事故に遭った人を治癒させるなど、現代にあってもまさしく魔法、奇跡とも呼べる力を操っていく御先。しかし、物語自体は、御先視点ではなく、それぞれの短編ごとに登場する、そんな力を持たない一般人の視点で展開します。『新しいおかあさんはあたしに興味がない』と『お腹の赤ちゃんとおとうさんだけ』にしか目を向けない継母との暮らしの中、『おにいちゃんがああなったのはね、あたしのせいなの』と痛々しいまでの日々を必死で生きる小学生の鈴子が主人公となる〈ひとだま〉。『あー死にたい。さいきん、そればっかり言っている』と感じ、『私の記憶の中の父は優しかった』と感じるのは『私が都合良く捏造した記憶なのかもしれない』と今の自身を憂い『なんでも治せるのなら、この世界を作りなおしてよ』と御先に訴える なつめが主人公となる〈かみさま〉など、各短編で展開される内容は如何にも現代社会の人々の苦悩を描く物語です。そこに一編目の昔話の面影は微塵もありません。しかし、時代が変わってもその根底に流れるのは『不老不死』の力へと繋がるファンタジックな世界観の上にある物語です。狭い世界の物語が、読めば読むほどに圧倒的な奥行きを感じさせる深い物語世界に変わっていく、恐怖すら感じさせるダイナミックさで物語は進んでいきます。

    そんな物語の主題は『不老不死』であることには違いないと思います。『どんなに富や権力があっても人は死や病からは逃れられない』という通り、これは古の時代から変わらない人の定めでもあります。しかし、『権力と富貴を手にした者は、その状態を永遠に保ち続けたい』と、数多の権力者は『不老不死』の力を得ようと手を尽くしてきました。この作品の中心となる御先はそんな力を得た存在ですが、その力は後天的なものであって『歳をとらないのは、身体に蟲が宿っている間だけ』という条件は付きます。しかし、『自分は百五十年ほど生きている』はずが、十代の少女のような見た目のまま生きる御先は、一般的には『不老不死』の存在と言い切れるものだと思います。あなたは、『不老不死』の力を得ることができるとしたらそれを望むでしょうか?この作品で描かれるそんな力の発現は圧倒的です。
    ・代謝というものがないわたしは汗をかかない
    ・疲労は蟲が喰ってしまうのだから、眠る必要はない
    ・御先さまには食べ物も飲み物も不要
    ・どんな傷もこの通り消える。病とも無縁
    蟲たちの力を操ることのできる御先の力は、まさしく『不老不死』といってよいものです。歴史の権力者たちが何をしてでも手に入れたいと願ったその力。他人の怪我や病気さえも治癒させていくその力の圧倒的な発現を見ていると一見そんな力を持つ存在に憧れる気持ちが湧いてきます。この万能感は何物にも変え難いと思う感情も湧き上がります。しかし、そんな御先はこんな風に自らを語ります。

    『わたしたちがなにものか教えてやろうか。死なない化け物だよ』。

    私たち人間は、そしてすべての生き物は限られた時間の中を生きています。楽しい時間も、永遠に続いて欲しいと願う時間さえ無常にもいつか終わりを告げていきます。これには誰も逆らうことができません。でも、だからこそその限られた時間を大切に思い、一分一秒を無駄にしないように精一杯生きていく私たちの暮らしが、人生があるのだと思います。『一族史上最高の力を持つと言われるわたしは確かに特別な存在』だと、自らを認識する御先。しかし一方で『特別とは他とは違うと』感じ、『特別という孤独をひしひしと痛感』しながら永遠を生きる、否、生きなければいけない御先の生き様を描く物語を読んで、『不老不死』という力への憧れの感情に変化が生じるのを感じました。そして、そんなものと無縁の有限の人生を大切に生きていきたい、改めてそう感じました。

    『死にたい、と思いました』と言うシラ。『けれど、どうやって死んだらいいのか。どんな傷も病も治ってしまう。飢え死ぬこともない。一体どうしたらいい?』と苦悩するシラ。そんなシラは『そもそも死とはなんだ』という根源的な問題を自問します。私たちは人生を生きていく中で、何かしら躰に不調を感じ、また、怪我をすることも避けられません。そして何よりも、日一日と、生きれば生きるほどに死へと一歩ずつ近づきながら毎日を生きています。死のことを考えることは恐ろしいことです。その先に何があるのか、考えれば考えるほどに恐怖は増します。そして、今の人生をいつまでも生きたい、そんな風に思いが集約されるのはある意味自然な感情の成り行きなのだと思います。しかし、それが無限に続くものだとしたら人はそこにどんな思いを抱くのでしょうか?どんな思いに苛まれるのでしょう?『時間なら飽くほどある』という毎日。それは、なにを意味するのでしょうか?

    「夜に啼く鳥は」というこの作品。『不老不死』の躰を保つことができたなら…というファンタジーな物語には、一方でリアルなまでの”生”を感じさせてくれる人の苦悩が描かれていました。印象的なまでの昔話な物語を起点に現代を生きる人々の生き様を映し取ったこの作品。千早さんの筆の力をまざまざと見せつけられた圧巻の一作でした。

  • 初読みの作者さん。

    歴史に隠された、ある里に一族がいる。
    長は青緑色に光る蟲(むし)を宿し、悠久の命をもつ。その蟲をつかい人間の病や傷を治す力をもつ。
    この物語は、創始者シラとその祖先の御先(ミサキ)を語る。

    稀有なる力をもつのに作品中にはずっと悲しさが漂う。
    一族のなかでも力を持つものは僅かで、力をもった者は周りの者が死んでいくのを何回も見送り、一人残されて時代を過ごしていく。

    またこの力を守るため、一族内での婚姻を続けていき、血の濃い間の子は健全な身体で生まれてこない……
    一族を守るためが、一族が先細っていく……

    男性でも女性でもない御先に、両性具有の四、二対あるはずの臓器が片方しかない者、健全な身体のものは子孫を残すために子作りを任される。

    見た目の違いや身体の不完全さを、人々は怖れ蔑む。
    傷や病を治す力には、すがってくる。

    各話ごとに語りが変わるのと、夢のなかでほかの人物の追体験が起こるので、読み手は翻弄される。
    身体や命を傷つける残虐性にも目を背けたくなる。そして心への傷も深い。

    まったくタイプの違う四が現れて、御先は自分の道を選んだ。
    長身で縮れ髪に黄色い目、鷲鼻という日本人離れした四は、感情が爆発するほうで良くも悪くも御先の人生に変化を起こしてくれるだろう。
    なにより、初めてこれから御先に寄り添っていける人が現れたのだ。

    きっと今も二人がどこかの神社佇んでいると思えてならない。

  • 不老不死の一族を描いた物語。
    登場人物が魅力的で惹き込まれる。
    不思議な力を持ち不老不死の御先は、
    人知を超えた存在であるのに
    何故か一番人間らしさを感じた。

    この世界観がとても好みなので、
    続編を是非読みたいです。


  • 夜に啼く鳥は

    シラ
    はばたき

    ひとだま
    かみさま
    躑躅
    全六編

    愛しい人を失った不老不死の身体をもつシラは
    死ぬこともできず、生きる意味もわからないまま、
    愛しい人を探し求め時を超えて彷徨い続ける。

    長く長く時は流れ、地図にも載らない秘された里に
    不死の一族はひっそりと社会から隠れて生きていた。

    驚くほど強い力に選ばれた御先(みさき)は、
    一族でもずば抜けた治癒の能力を持っていた。

    愛する人は人間だから先に死んでしまう、
    永遠に一人で生き続ける不老不死の身体をもつ
    美しい化け物の切なくて哀しい物語。


    **
    人間は命に限りがあるから不死を望み願う。
    でも、反対に不老不死の体をもってしまったら
    どう感じるのだろう。
    老いない体、繰り返し勝手に癒える傷や怪我、
    大切な人はみんな自然の流れと共に老いて、
    死んでいく中で自分だけが取り残される。
    そんな孤独は哀しみ以外にないのかもしれない。

  • 始まりは、日本昔ばなしみたいだなぁと思った。
    残酷な話であっても、淡々と進んでいく感じに既視感があった。

    そこから時代は現代へ移り、シラの末裔、御先が主人公へと変わる。
    水が流れるように描かれる世界に、息を呑んだ。
    蟲たちの輝きや、御先の肌の白さ、四が流した血の色…そして真っ赤に咲き誇る躑躅。

    冷静で淡白で、涼やかに生きているように見える御先。でも、本当はその皮膚の下に静かに燃える想いを持っていたのではないだろうか。

    私は雅親の真っ直ぐさ、盲目さ、愚かさが愛おしい。それは限りある命を持つ人間だからこその愚かさだと思うから…

  • 激情はないのだけれども、緩やかに話が進んでいく不思議な世界観。途中でその緩やかさが、不老不死の一族という長い時間を生きていく中で感情が消化され、人の世への諦めがあるから生まれている感情の起伏の無さから来ているのかと感じた。が、終盤にかけて人との関わりの中でまた希望を見出しほのかな温かみを感じさせる読後感で、何とも言えない穏やかな気持ちで読了。他の作品も読んでみたい。

  • 100年単位で長生きなんてしたくねえ!

    美夜子が何を思って死を選んだのか、幼い御先と美夜子の生活はどんなものだったのか、前日譚を読みたい。

    四もかわいそうな生い立ちっぽくて、御先と出会えて良かったねって思う。

  • とても好きなお話でした。
    千早茜さんの幻想小説は久々だと思うのだけどもう…大好き。
    物語の中心となる一族の、不老不死となった初めの人物を描く「シラ」から惹き付けられました。昔話や神話みたいでした。愛した人を探し続ける何百年…そしてラストに泣きそうになりました(職場の休み時間だったので堪えた)
    その次の「はばたき」からは一族の末裔・御先の物語でした。不老不死で、強大な治癒力を持つ、人ではないもの。「肉体は若いままであっても、心は老いる」という言葉通り、人形のような外見ですが老成しています。
    御先と、同じ能力を持つ四のやり取りに笑いました。四のツッコミが。。
    御先も四も、周りが先に消えていく…というのはとても辛いだろうと思います。ラストの「躑躅」での、幼少の御先が「お前も消えてしまうのか」と言って泣いているところに胸が詰まりました。
    不老不死とは苦しみなのですね。でも、僧はシラに「苦しみを背負うあんたが悪しきもののはずがない」と言いました。人ではないけど、化け物ではない。では、何だろう。。
    ずっと浸っていたい物語でした。切なくて綺麗。
    皆川博子さんの解説もさすがでした。皆川さんも色々なものを見られていらしたのだなぁ。。

  • 千早さんの世界、好きすぎる。
    色々な愛のかたちに胸が温かくなりました。

  • 短編集。好きな感じだった。
    妖艶で耽美でダークな感じ。

    海から流れ着いた女の子はその村では気味悪がられた。やがて大人になるが彼女はそれ以上老けることがない。傷も治ってしまう。やがて彼女を愛してくれる人が現れるが彼だけが歳をとっていく。

    命さえあればどんな傷でも蟲を操り治してしまうわたし。
    わたしは里を出て治療をしている。
    わたしは歳を取らない。お付きのものも暮らしたり同じ里から出ている人と出会う。

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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