エミリの小さな包丁 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 6639
感想 : 412
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041080542

作品紹介・あらすじ

恋人に振られ、職業もお金も居場所もすべてを失ったエミリに救いの手をさしのべてくれたのは、10年以上連絡を取っていなかった母方の祖父だった。人間の限りない温かさと心の再生を描いた、癒しの物語。

感想・レビュー・書評

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  • よかった誰も死ななかった。
    物騒なプロローグはさておき、老人が生きる道標をくれるタイプのお話って最後亡くなりがちなので、用心して読んだのだった。

    だんだん田舎の生活に慣れ始め、沙耶がかき乱したあたりから一気に引き込まれた。エミリの気持ちに寄り添って涙、周りの人のあたたかさに涙、おじいちゃんからの餞別に涙、涙。
    いやぁ、デトックス効果がすごかった。

    それにしても表紙の絵のおじいちゃん、大きすぎない??エミリちゃんを子供だと思って読み始めてしまって最初少し混乱した。あらすじを忘れて読み始める、積読本あるあるかな。

    • なんなんさん
      ムク助さん、初コメです。
      表紙のじいちゃん大きすぎない?にツボりましたw
      たしかに!!
      私もエミリちゃん、読む前までは小さな子供だと勝手に思...
      ムク助さん、初コメです。
      表紙のじいちゃん大きすぎない?にツボりましたw
      たしかに!!
      私もエミリちゃん、読む前までは小さな子供だと勝手に思い込んでましたー。
      この本泣けますよね。大好きです!

      これからもレビュー楽しみにしてます。
      宜しくお願いします^^
      2023/06/25
    • ムク助さん
      なんなんさん、コメント嬉しいです。
      ありがとうございます。
      おじいちゃんの背中が大きいとか、エミリが背が低いという描写は出てくるのでこれで合...
      なんなんさん、コメント嬉しいです。
      ありがとうございます。
      おじいちゃんの背中が大きいとか、エミリが背が低いという描写は出てくるのでこれで合ってるんでしょうが、一般的なおじいちゃんのイメージってもっと小柄ですよね。
      自分の勘違いで戸惑ってしまいました。
      2023/06/25
  • 森沢さん読むのは2冊目。
    とっても素敵な温かいお話だった。
    色々あり傷ついた主人公が、田舎の海沿の家、祖父の所で過ごす一夏の物語。

    ※自分の存在価値と、自分の人生の価値は自分で判断、他人の意見は参考程度に。
    ※できるだけいい気分でいる事が心の浄化
    など、普段無口のおじいちゃんが主人公に時々語りかける会話が本当にスッと心に刺さる。

    失敗や辛い事もあるのは当然、ありのままの自分を受け入れられるかが大事という事も、今の自分に教えてくれてるかのように思えた、おじいちゃんありがとう^^

    最後の3行の手紙とアルバイトの話、泣けるー。

    心が疲れた時には疲れ果てる前に再読したい本!
    この表紙めちゃくちゃ可愛い。
    私の本棚の中で表紙部門第1位。

    めちゃくちゃ素敵な本を森沢明夫さんありがとうございます!

    プロローグ読み返して納得。
    事件でも起きるのか?と最初思ってしまった笑
    なるほどなるほど!エミリ頑張れ★

  • 都会で仕事をしていた25歳のエミリが周りの心無い噂話からうつ病になり、漁港の町の龍浦の母方の祖父のところへ旅してひと夏を過ごすお話です。
    エミリの祖父の大三は80歳ですが、風鈴づくりをしながら、毎日犬の散歩や釣りにエミリを連れていき、釣りや魚料理の仕方をエミリに教えます。
    エミリは祖父の他にも町の人のあたたかさに触れ、人間にとってとても大切なものを学んで都会に戻ります。

    出てくる魚料理が作り方から丁寧に描写されていて、とても美味しそうでした。

    以下目次より
    第一章 猫になりたい カサゴの味噌汁
    第二章 ビーチサンダル アジの水なます
    第三章 彼女の毒 サバの炊かず飯
    第四章 夜のブランコ チダイの酢〆
    第五章 失恋ハイタッチ サワラのマーマレード焼き
    第六章 やさしい武器 黒鯛の胡麻だれ茶漬け

    目次の他にもたくさんの美味しそうな魚料理が作り方付きで登場します。
    私は魚をさばくのが苦手なので作るのが難しそうですが、エミリは自分の包丁でこれらの料理を全部手作りできるようになります。

    そして森沢語録
    「周りを変える必要なんてない。自分の『うら(こころ)』を変えれば、それがそのまま自分の人生を変えるということ」
    「すごい人にはなれなくても、いい人にはなれる」他。

  • 涙が気持ちよく感じる。つらい涙、前に向くための涙。いずれにしても、心が動き、身体も動く。前に向いていく気持ちと行動。自分のことは自分で考え、決めていく。そのそばに、見守っている人がいる幸せ。

  • 心がほっかほかに温まる素敵なお話でした。
    人って生きていくの結構大変ですよね。
    "普通"に生きていくのもかなりの頑張りが必要です。
    この本は、そんな頑張っている人の背中に手を添えてくれるような作品だと思います。
    決して背中を押すわけではなくて。

    内容について、個人的には少し物足りなさを感じました。
    シンプルなストーリーで複雑さが一切ないため、読み取れることもかなり限定されている感覚があります。
    まあそれが良さだったりするのですが。

    シンプルであることゆえに、読書体験としてもどこか喧騒から離れたところにある気がして、落ち着いて読むことができます。

    ---
    「つらいときでも鼻歌を歌っていればさ、世界は変えられなくても、気分を変えることなら出来るからさ」
    ---

  • これ程さめざめ泣いたのはいつぶりだろう。
    思い出したのは小学校低学年の時に読んだ「クイール」で号泣した記憶。笑
    あー、明日絶対目腫らすなぁ…

    おじいちゃんの、寡黙な中に寄り添うやさしさと愛情が、とにかく切なくて。哀愁という言葉がピッタリ。
    なんだか父と重なって、感情移入しすぎてしまった。

    すべてから逃げ出したくなって。
    唯一の繋がりのおじいちゃんの元へ。
    毒を浄化してくれる風鈴の音。
    自然たっぷりな田舎町と久しい手料理に癒されて。


    酸いも甘いも、挫折も成功も、色んな経験が全てデータになって自分の中に蓄積されて「時合い」がわかるようになる。
    大人になっても、結婚や子育てや離別は初めての経験で、失敗もする。

    80年の「経験」を持つおじいちゃんの言葉ひとつひとつが、重みを増して私の心にもストンと落ちる。


    「幸せになることより、満足することの方が大事だよ」

    「自分の存在価値と、自分の人生の価値は、他人に判断させちゃだめだよ」

    「周りを変える必要なんてない。自分の『うら』を変えれば、それがそのまま自分の人生を変えるってことだからな」

    「釣れないね」と、わたし。「釣れないな」と、おじいちゃん。  釣れないときに、付き合ってくれて、ありがとう。


    森沢さんの紡ぐオノマトペがいつもおしゃれ。
    たぷん、ひた、ぺたぺた、ひらひら、そよ、つるり、ぴょ〜ろろろ、……
    音楽があるお陰か、映像を見ているように思うほど、情景の浮かぶ書き味がすごく好き。

  • 小説の舞台は、まさに自分が生まれ育った「海辺の街」そのものです。釣りの描写、海の近くの生活など思い当たることばかり。ゆったりした時間の流れとか爽やかな雰囲気が作品を包んでいます。エミリとおじいちゃんのやりとりがあたたかくてなんともいえずよかったです。さりげなく癒しのあるストーリーも。心地よい読後感が後からじわじわとくる一冊です。

  • なんてあたたかい本なんだろう。

    読んでてお腹が空く絶対美味しい数々の料理。

    海無し県在住の私の頭でも浮かんでくる作中の素敵な情景。
    そしてなによりおじいちゃんやその仲間のあたたかさ。
    田舎の良さだけじゃなく、田舎ならではの悪い面もちゃんと書かれてるのに、すべて前向きにしてくれる。

    素敵なフレーズも沢山あったけど、なんでもないような描写でも泣けてしまった。
    それだけ今の自分があまりにも疲れてたからかな?笑
    そうじゃなくても心が浄化されるようなそんな気分になれた。
    風鈴が鳴る場面だけでこんな気持ちになれるなんて本当にすごい。
    ちょっとずつ読み進めようと思ってたのに結局また気づいたら朝。泣きすぎた。
    すごく良かった。

    同じ日本にこんな素敵な場所が本当にあるなんて知らなかった。行ってみたい。美味しい魚が食べたい!笑

    わたしは、わたしの人生を作る神様

    周りに巻き込まれて自分を見失ってた今の私にはすごく響いた。
    辛い時でも鼻歌は歌っていようと思う!

    もう本当に素敵な1冊だった。色んな人に読んでほしい。
    素敵なこの1冊を教えてくださったフォロワー様、心から感謝します!ありがとうございます☆

    • ちゃたさん
      みたらし娘さん

      お読みになったのですね。素敵な読書体験が伝わってきます!うらやましいです。確かに何気ないシーンに感動してしまいますし、情景...
      みたらし娘さん

      お読みになったのですね。素敵な読書体験が伝わってきます!うらやましいです。確かに何気ないシーンに感動してしまいますし、情景が心に残りますよね。
      舞台は、勝浦市?鋸南町竜島?と思ってはいるのですが、どちらも美味しいお魚が食べられますよ。

      私は仕事帰りに、春はイカ、夏秋はアジ、サバ冬はスズキといったように晩御飯釣って帰ってました。作中の食事の描写は間違いなく美味しいやつです
      2022/03/06
    • みたらし娘さん
      ちゃたさん

      こんにちは!コメントありがとうございます。

      まずは
      もう本当に素敵な本すぎて、出会わせてくださったちゃたさんに感謝しきれませ...
      ちゃたさん

      こんにちは!コメントありがとうございます。

      まずは
      もう本当に素敵な本すぎて、出会わせてくださったちゃたさんに感謝しきれません!
      ありがとうございました!

      理由は違えどエミリの逃げ出したい気持ちが今の私とシンクロしすぎたのも相まって、本当に泣きっぱなしの1冊でした
      そしてめちゃめちゃお腹が空きました笑

      ちゃたさんご自身も、本当に素敵な場所でお過ごしになっていて羨ましい限りです!
      仕事帰りに夕飯をしかも新鮮で絶対美味しいやつを調達して日々過ごせるなんていいなあ…

      海のあるところでの生活をしたことがないのですが、エミリの小さな包丁や虹の岬の喫茶店を読んで頭に浮かぶキレイな風景や料理と、ちゃたさんのお話からも千葉県の魅力がすごく伝わってきました。
      旅行じゃなくてしばらく住んでみたいとすら思いました。

      釣りの経験はあまりありませんが、作中にあったキス釣りのアオイソメはゴム手袋はめてつけられるのできっと私も釣りを楽しめるかと勝手に思っています笑

      本当に素敵な1冊の紹介ありがとうございました!
      ちゃたさんのレビュー、これからも楽しみに待っています。
      またオススメがあったらぜひ教えてください。
      今後ともどうぞよろしくお願いします。
      2022/03/06
  • 最初の1ページから良い話だったんだと、読み終わってもう一度最初を読み返しました。辛い事があっても温かく迎えてくれる自然と人がいるって素敵な事です。原田マハさんの「生きるぼくら」と重なりました。そして、おじいさんの作る自然の素材の料理の美味しそうなこと!羨ましいです。

  • 都会の生活で傷ついたエミリ(25歳)が港町で一人暮らししている祖父の家に身を寄せてひと夏を過ごす物語。

    海辺の風景、温かい人々、風鈴の音、柴犬のコロ。
    新鮮な魚や野菜を使ったおじいちゃんのお料理。
    夏の情景が目に浮かぶようです。

    無口でシャイだけど穏やかで最高に優しいおじいちゃんとの丁寧な暮らしに、読んでいる私も癒されました。
    おじいちゃんの言葉はじんわりと心に沁みます。
    私自身おばあちゃん子だったので、祖父母と孫の温かい触れ合いの話には泣かされてしまいます。
    よくまとまった素敵な物語でした。

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著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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