跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041068991

作品紹介・あらすじ

「僕は、二十二歳の自閉症者です。
僕の口から出る言葉は、奇声や雄叫び、意味のないひとりごとです。
普段しているこだわり行動や跳びはねる姿からは、僕がこんな文章を書くとは、誰にも想像できないでしょう」

会話ができない著者の「考える歓び」に満ちた清冽なエッセイ。
自分にとっての障害、人との絆、自然との一体感、かけがえのない幸福。
生きることの本質を捉えて大きな驚嘆と感動を呼んだベストセラー、待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • なんて美しい言葉を紡ぐんだろう、と惚れ惚れした。
    私は福祉関係の仕事をしてるゆえに自閉症のお子さんと関わる機会が多いのだけど、これからも敬意を持って接していこうと思ったよ
    一緒に生きていきたいな
    それを望まれない時も多々あるけれど(過剰に構いすぎることは相手を嫌な気持ちにさせてしまうから)、それでも、あの子達が美しいと感じるものとか、大切に思ってることを教えてもらえることが、私はすごく嬉しいんだよね
    「この世界がどんな風に見えているんだろう」と想像を巡らせることがあったのだけど、その答えの一つを教えてもらった気分
    泣いてしまうほど素敵な本だった!

  • 自閉症の2歳の子供がいる自分にとって、
    今まで自閉症の本を読む時は
    「自閉症とは?」「こんな声掛けをしよう」
    みたいな解説の本を読むことが多かった。

    でも自閉症って検索した時、評価も高く
    上の方に出てくるこの本は、

    自閉症の子供にどう接すればいいかといった本ではなく、

    自閉症の子供だって、繊細な文章を書けるということが分かるし、脳の中を少し見せてくれたような気持ちになるものでした。

    自分の子供が自閉症と診断されたあと、初めて読む本は解説の方がいいかもしれないけど

    いくらか知って、自閉症とは何かわかった後に読むと、

    こんなに素晴らしい世界を、普通の人となんら変わりなく見えていて、それを表現することができるんだと教えてくれる本です。

    著者は直接スラスラ会話できるようではないですが、PCでは文章を打つことができるみたいで、

    うちの子は喋れないから〜と思ってる親たちに
    PCでの文章でならコミュニケーションを取れるかもと
    希望を与えてくれますね!

    著者のTwitterアカウントでも
    普通にツイートされているし
    チェックしてみてもいいかもしれません。

    私はこの本の
    一部分に感動したというよりは
    全ページを通して、見た目で脳の中までは判断してはいけないのだなと教えてくれた事実に感動しました。

    こんなとき自閉症の子はどう思ってるのかな?
    ちょっと知ってみたい人はぜひ読んで見てほしいし

    自分の子供にも、どう思ってるのか時々聞いてみようと思いました。

  • 会話ができない=こちらの言葉は通じていない
    という考えだったことを激しく反省しました。
    そういう意味では本当にこの本に出会えたことをありがたく思います。

  • 自分が理解できる範疇を超えている。
    著者の思考回路がまるで理解できない。

    それなのに、ものすごく共感できる瞬間がいきなり訪れる。もっともっと彼の考えや思いを知りたいと思わされる。

    自閉症が故の特別な気づきや思い、考えだと思いきや、普遍性を孕んでいる。

  • 自閉症の方が実はほとんど健常者と同じことを考え悩んでいたという事実に驚く。著者の東田直樹が本を書くまで世界中の人たちがそう思っていたのだろう。自閉症の方たちはどれだけつらい思いをしてきたことか。本書でも「養護学校では、発達検査や見かけの言動で僕の知能を判断されたため、自分が望むような勉強はできませんでした」と書いている。教育界でさえ、見かけの言動に惑わされていたのだ。会話の中に引っかかるキーワードがあると別のことを連想して口に出したくなることや、嫌な思い出がフラッシュバックのように襲ってくることは私自身もよくある。それを人にわからないようにしていられるかどうかだけの違いだ。自閉症と普通の境は、緩やかな程度の差なのだろう。差を認めあえる世の中でありたい。

  • 書き残しておきたかったところ
    ・質問がうまくできなかった人も、普段の会話で困ることなどないでしょう。同じように、自分の気持たをきちんとつたえられないからといって、話せない障害者が、心の中に言葉を持っていないと、簡単に判断してはいけないと考えています。

    ・養護学校では、発達検査や見かけの言動で僕の知能を判断されたため、自分が望むような勉強はできませんでした。(p132)

    僕は知的障害があると診断されたのにもかかわらず、みんなと同じような教育を受けることができました。
    それが僕にとって幸運だったと思います。
    人生にとって重要な学びはふたつあるのではないでしょうか。ひとつ目は、勉強をして、考える力を身につけること。ふたつ目は、自分の幸せに気づくことです。

  • 綺麗な文章

  • 自閉症に関わらず他の障害、障害がない人でもこだわり行動とかあると思う
    障害を抱えてるからと理由で勝手な決めつけや行動制限はよくないと思う
    重度の自閉症抱えながら他者と文字盤使ってコミュニケーションや勉強するのはいいこと
    自閉症などの障害があっても1人の人間として関わって助け合いやサポートができやすい環境に少しでもなってくれたらなと思う
    まずは自閉症に関わらず他の病気や障害について学んでその人にとってどうサポートしていけばいいかなって考えていきたいと思う

  • 本人がずっとしているので、相当好きなんだろうなと思っていたこと(例えば水遊びや砂遊び)は、好きということ以上に、自分を守るために必要なことだったのかもしれない。こちらからみたらやめてほしい行動(ドアの開け閉めなど)も、本人の心の拠り所なのかもしれないと思った。

    東田さんはもちろん、お母さん、ご家族が本当に素晴らしいなと思った。
    自分が泣いてきたのと同じくらい、家族も一緒に泣いてくれたという言葉にぐっときた。

  • 人は行動だけでは考えてることは分からないなぁと改めて実感。

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著者プロフィール

1992年生まれ。重度の自閉症でありながら、パソコンおよび文字盤ポインティングによりコミュニケーションが可能。著書『自閉症の僕が跳びはねる理由』が現在30か国以上で翻訳され、世界的ベストセラーに。

「2020年 『世界は思考で変えられる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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