ウォーター&ビスケットのテーマ1 コンビニを巡る戦争 (角川スニーカー文庫)

  • KADOKAWA
3.84
  • (6)
  • (11)
  • (7)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 115
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041060308

作品紹介・あらすじ

8月をループする街・カミサキ。この街に迷い込んだ人は特殊能力を与えられ、限られた食糧を巡る戦争に身を投じる――だが《臆病者》の高校生・香屋と幼馴染み・秋穂は、戦闘に全く役立たない能力を選んで……?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 臆病者を自称する高校生・香屋と幼馴染の秋穂は
    8月をループする街【架見崎】に招かれる。
    まるでゲーム世界のような陣取り合戦が勃発する架見崎において,
    人々は自分に特殊能力を設定できる。

    攻撃,護身,情報収集…,
    しかし臆病者の香屋はその中のどれでもなく,
    まさに”「世界」と戦うための能力”を手に入れた。

    「臆病者の準備に,過剰なんて言葉はない」

    たとえどんな理由があろうと自分が死ぬには足りない。
    自分の身に降りかかる全ての恐怖がかえって彼を大胆にさせる。

    そんな例外的な能力を持つ彼は,闘うよりも護られることを選んだ。

    「ヒーローになるつもりですか?」
    「違う。僕はお姫様になりたい」


    本書の帯にある言葉に,読み終えてから深く納得する。

    「ゲームに勝つためには,ルールに精通しなければならない。
    しかし,『世界』と戦うには,ルールの向こう側に辿り着かねばならない」

  • ウォーター&ビスケットの引用セリフがとにかく胸に刺さる。
    生きろと強く訴えられている感じがした。
    主人公3人の関係がまだよくわからないので、続きが楽しみ!

  • 図書館で。
    異世界転生モノなんだけれども、能力が限定されていたり食物が潤沢にある訳でもなく割とシビアな世界。

    特殊能力を利用したバトルとかこの作者にはピッタリな感じ。で、物凄い不穏な所で終わっているから続きはよって借りようと思ったらウチの市、2巻入ってなかった…
    仕方ないから続きは自力で買うか…

  • 箱庭世界×異能力という作者お得意の限定的シチュエーションで繰り広げられる陣取りサバイバル。異能力バトルで軍師ポジションという主人公の立ち位置も面白いが、誰よりも臆病な主人公が選んだ能力がこれほど戦闘に役に立たないというのも珍しい。Q&Aという運営に質問することができ、確実な解答を引き出すことのできる能力、というのは実に河野裕らしく、運命とルールはこの世界では同義である。ルールに抗いながら枠外の解決法を探るというのが基本的な河野裕作品のスタンスなのだが、今作は他の作品と比べてより直接的で、戦闘描写も若干多めであるが、それでもこの能力を選び取るというのはある種のこだわりなのだろう。中盤の身体強化+シールド展開という蟻踏みアズチがモロに戦闘タイプのキャラなので対比としても抜群だった。死に様にショックを受けるシーンも非常に素晴らしく、バトロワものとしては王道シチュながらも「いや、消えろよ。ゲームみたいな世界なんだろ。死体なんか、ゲームみたいに消えろよ」という台詞は主人公の浮いた感覚を端的に表している名シーンだと思った。

    天才ではあるが臆病に近い狂気という主人公造形も、今までの平熱系主人公とは違った趣で面白く、ヒロインとの甘々ではないドライかつ強固な信頼関係という距離感も良い。総じて今までの作者らしさを失わないままで、新たな境地に踏み出している作品であるといえよう。根底に流れるリリシズムも相変わらず魅力的。トーマが実は女の子という三角関係は実にらしくて笑ってしまったが、引きとしては抜群である。新境地も垣間見えたため、次作も楽しみなシリーズである。

  • サクラダリセットを彷彿とする異能系ですが、今作はバトル小説にメーターを振ってあるように思いました。
    流れるような言葉の応酬は健在です。詩的なうつくしく哲学っぽさもある表現もいつもどおりで心地よく読めます。
    ギミックもトリックも多くちょっと混乱しますがおもしろいです。謎がまだまだたくさんあるので、どうやって解いて行くのか楽しみです。
    まだまだ続きそうなので続きが気になります。

  • 作者と絵師のせいもあるけどサクラダリセットの臭いがする軍師系の話。
    最後のトーマはずるいなぁ。まさかそういう話になるとは。

    なんか続くみたいだし。
    …続くのか?これで?

  • ゲームにおいて最強の人物は誰か。言うまでもなく、ルールを作る人間だ。だが最強がいつも勝つとは限らない。ルールの外にいる人物をプレイヤーにしまった時、最強は最強から転げ落ちる(かもしれない)。

    なんか禅問答のような感想だけど、そんなロジカルふうなことを口にしたくなる作品。異世界らしきところでゲームに参加させられる主人公たちは、そのルールを乗り越えようとしてくる。やや説明が難しい点もあるが、その穴をつくスタイルは痛快。そして、作中作の台詞がいちいちカッコいいのも良い。

  • どこかサクラダリセットを彷彿とさせながらも、違う世界設定、人物。早く続きが読みたい!

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

徳島県出身。2009年に『サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY』で、角川スニーカー文庫よりデビュー。若者を中心に人気を博し、シリーズは7冊を数える。他著作に「つれづれ、北野坂探偵舎」シリーズ(角川文庫)、『いなくなれ、群青』(新潮文庫)に始まる「階段島」シリーズなどがある。

「2023年 『昨日星を探した言い訳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

河野裕の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×