娘役 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041057162

作品紹介・あらすじ

宝塚歌劇団の若手娘役・野火ほたるは新人公演でヒロインに抜擢され、一期上の憧れの男役・薔薇木涼とコンビを組むことになる。ほたるの娘役としての成長と、バラキとのコンビ愛。そんな彼女を遠くから
ひそかに見守り続ける孤独なヤクザ・片桐。大鰐組では若頭のことを二番手と呼び、兄貴分のことを上級生と呼び、引退のことを卒業と呼んでいた。組員には全員愛称がついていた。それが宝塚の風習を踏襲したものだということを知っているのは片桐だけだった――。決して交わるはずのないタカラジェンヌとヤクザの組長、それぞれの十年を切なく濃密に描く。『男役』に続く、好評の宝塚シリーズ第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 任侠物語を読んでるのかな?と途中から思ってしまった。
    宝塚とは縁のないヤクザの片桐と娘役ほたるの10年。
    面白かったんだけど、任侠小説なのか、なんなのかわからなくなるし、ラストはいただけない。でもなんか引き込まれるし、レオンが出てくるのはうれしい。

  • そうそう、中山可穂さんは時に意地悪なほどに読者を平穏無事にはしてくれないんだよなー!ということを思い出した。
    すぐにでも「銀橋」を読みたいけれど、判型が揃わないので躊躇するところ。「男役」「娘役」を単行本の時に読まなかった自分を後悔するけれど、その当時は宝塚にハマっていなかったので、今このタイミングで読んで良かったんだと思うし、アンビバレンツ。

  • 宝塚歌劇と言う独特の世界を知っていないと分かりにくい部分があるかなぁと思いながら読了。
    夢のような世界でありながらその舞台裏は何処までも厳しく過酷。
    男役も娘役もそれぞれ大変でそれぞれ芸を磨くことの厳しさを感じながら生きていく。
    舞台を見て美しく夢のような世界を知ったヤクザの青年が一人の娘役の成長を通して自分自身も変って行く物語。
    あり得ない部分もあるけれど、それを内包する大きな世界観が宝塚歌劇にはあるのではないかと思う。
    何でもアリ! 夢のような美しい世界。それが宝塚なのかも。
    第三弾があるそうなので楽しみです。

  • 実在する宝塚について書くからこそ、ファンタジーであるとわかる仕掛けを取り入れないといけない。それが、男役でのファントムであり、娘役ではヅカファンのヤクザだった、とのこと。

    中山さんの筆力がやっぱりすごい。斬新な設定にもかかわらずこんなこともあるかもしれないと思わせられた。

    最近は宝塚について、マイナスな面で話題になってしまっているけれど、いつかちゃんと見に行ってみたいと思う。

  • 月並みな感想になってしまいますがヤクザと宝塚の異色の組み合わせがいい味を醸し出していてよかった。男役と娘役をライオンとキリンに例えた文章もまた美しいです…。前作から読んでいますが終始美しくてはぁっとため息がでてしまいます。ムッシュから受け継いだ片桐の宝塚愛やコレクションも組のだれかに受け継がれてほしかったな……。

  • 2022/03/21-03/23

  • 片桐が野火ほたるに惹かれてファンになった時から、もう大筋の展開と結末はほぼ見えていたし、果たして想像通りであった。にもかかわらずページを捲る手が止まらず、どうしようもなく切なさが込み上げる。それはこの物語の世界にそれほどに惹かれたからだ。ヤクザなんてとても好きになれないのに、こんなにも強く片桐というキャラクターに惹かれてしまうのも、著者のキャラクター造形のすごさの証左に他ならない。
    前作『男役』との対比もあり、男役と娘役の違いの描写も面白かった。中でも肉食動物と草食動物に喩えた部分は素晴らしかった。

  • 前作に引き続き、宝塚愛に溢れた2作目でした。
    ヤクザ×宝塚という現実では恐らく交わることのない世界の組み合わせで宝塚ファンとしては初見の時は少し驚きました。シンプルに宝塚の世界だけで2作目を作っていただいても良かったのではないかなというのが率直な感想ですが、一般的には中山さんの宝塚シリーズの中でもこの2作目が特に評判が良いみたいですね。読み返すごとに味が出てくる気もしますので、これからも読み続けます。

  • 前作に引き続き作者の宝塚愛を存分に感じられる作品だった。
    ヤクザ×ヅカという変化球は面白かったけど、片桐のヤクザ人生がうまく行きすぎてて違和感。まさか顧問になっても30歳前だとは思わなかったし、あり得ないんじゃないかしら……?そっちの人ではないので知らんけど。
    ラストは予想通りでした。そりゃ、うまく行き続けるわきゃないよなぁと……。
    でも外道をぶっ叩いた薔薇の花束を神聖な自分の女神様に届けたらあかんやろと思ってしまった。
    バラキとほたるのコンビ愛には涙しました。キリンとライオンの例えも幻想的でよかった。
    読み終わってYouTubeでリフトの動画を探して観ました。こういうのなんだ。すごいなぁ……。

  • 本当にめちゃめちゃめちゃめちゃ良い。細切れじゃなく没頭して一気に読みたいけど勿体なくてゆっくりゆっくり味わいながら読んだ、最高。こんなの読んだら宝塚の世界を愛さずにはいられない。「男役」も良かったけど期待を超えてきた「娘役」。続く「銀橋」も確実に最高でしょ。
    そして中山可穂のすべてを読みたくて順調に集めているけど読み終わってしまいたくない気持ちも強い。こんなに好きになった作家は初めてだよ。

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。

「2022年 『感情教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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