サブカルの想像力は資本主義を超えるか

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041056721

作品紹介・あらすじ

歴史上、「資本主義の危機」は何度も言われてきた。
しかし、資本主義は幾度もその危機を乗り越えてきた。
これは、その想像力が私たちの想像力よりも勝ってしまっているからではないか。
資本主義が終わった後の世界を私たちは“構想”することが出来ていないため、資本主義は続いてしまっているのではないか?
いったい、これまでとは違う世界を私たちは見いだせるのか? 
社会現象を起こした有名作品(フィクション)を手がかりに構想力を鍛えあげる、白熱の講義録!


有名作品を入り口にして、資本主義社会の“その先”を考える。
第一部 対米従属の縛りを破れるか
取り上げる作品 『シン・ゴジラ』『木村正彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』他
第二部 善悪の枷から自由になれるか
取り上げる作品 『デスノート』『OUT』『薔薇の名前』他
第三部 資本主義の鎖を引きちぎれるか
取り上げる作品 『おそ松さん』『逃げるは恥だが役に立つ』『バートルビー』他
第四部 この世界を救済できるか
取り上げる作品 『君の名は。』『この世界の片隅に』他

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったー!
    これまで見てきた映画や読んできた本を、資本主義や戦後に位置付けるとこう解釈できるんだって本。
    このタイトルの答えとしては「超えられていない」になるのかな。

    もともと早稲田の講義なだけあって、語り口調で読みやすい。
    この人の本他にも読みたくなった。


    シン・ゴジラ
    ウルトラマン
    砂の器
    力道山と木村政彦
    敗戦という事実への関わり方の失敗
    初めは相撲だったのに、終わってから柔道のルールで勝ちにすり替えちゃうような。

    あさま山荘事件
    善も、深く関わりのめり込み、狂信的になると悪に転換する

    地下鉄サリン事件
    誰もできないようなことをやることが、価値観に縛られない崇高な行為。悪を善に転換。

    アイロニカルな没入=「そんなことは悪いことだとわかっているけどさ」

  • エンタメ作品を分析することで見えてくる、資本主義後の社会とはーー。日本を代表する社会学者による白熱の講義録。

  • 前半は面白かったが後半『君の名は。』『この世界の片隅に』あたりになると急に内容が薄くなった。学期も後半になって集中力が切れたのかしらん。
    「資本主義」なんていうタームはそれほど出てこなかったと記憶しているが、特に前半部は面白かった。

  • ここに取り上げられていた作品、ほとんど見たり読んだりしたもので良かった。マイナーなものが好きかと思っていたが、基本はミーハーなので、話題作は映画もアニメも漫画も押さえているのだなぁと自分で感心?した。
    「われらが背きし者」は見たいし、ずっと気になっていた「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」は是非読みたい。

  • ふだんなにげなく、「あれ?」と思うようなことに、みたことのあるドラマや映画、マンガを使って解説してくれる。面白くて刺激的だったな。あの映画が面白かったのは、こういう感覚があったからなんだ、なんて納得するところもあったりして。

    サブカル、つまり映画であったり、マンガであったり、ドラマであったり、エンターテインメントなものによって、対米従属であったり、資本主義であったり、善悪であったり、世界と自分との関係といったものを考える。こういう話しが聞けるなら、大学の授業面白いと思うだろうなぁ。

    対米従属ということばも、すっかり定着した感があるけど、このあたりは今後、どういう社会的な変化をもたらすんだろう。

  • 「シン・ゴジラ」から日米安保。「おそ松さん」から働き方改革。「君の名は」「この世界の片隅に」から宗教観や人生感を読み取り、考察する。
    シン・ゴジラを見たときに感じた、安保への違和感を、この本は上手く解説してくれる。
    おそ松さんは、未見なのだが、丁寧に解説してあり、作品を知らなくても楽しめる。
    君の名はとこの世界のコンセプトが類似しているのは、この本に指摘されて、初めて気付いた。
    エンターテイメントを見て、このような次元まで、考察することが出来るなら、さぞ楽しく見られるだろう。羨ましいものだ。

  • 2018年7月、平成最期の夏、オウム真理教の教祖と事件の中心人物らの死刑が執行された。

    たまたま読んでいたこの本でもオウム真理教の事件の話がしばしば出ていて、とてもタイムリーに感じた。(この本自体は数年前の本だけど)

    普段あまり映画を見ない自分が、シン・ゴジラ、君の名は。この世界の片隅に、はちゃんと見ていて、映画の当たり年だなぁと思っていたけど、その辺の作品が話題に出ている本書は面白く読めた(拾い読みだけど)

  • 社会学者の著者による、2016年にブームになったサブカル作品を中心に取り上げた講義をまとめた1冊。

    社会的ブームになるくらいの成功を収めた文化作品は、何らかの社会に受け入れられる要因があって、そのありかを考察するのがサブカル批評だけど、本著もそれを2016年作品を題材に試みていた。どの作品も視聴済みだったので興味深かったし、哲学、心理学、社会学、経済学などの引用もあって、少し難しい部分もあったけど、面白く読めた。

    個人的には、日本の対米従属と関連させて展開した「シンゴジラ」「ウルトラマン」の話と(これに関しては既に他の批評家や研究者も言及していそうだけど)、「おそ松さん」の面白さのありかに関する考察が面白かった。
    「君の名は。」や「この世界の片隅に」に関してはちょっと物足りない気もした。魅力のありかを掘り下げるならもっと色んな視点から考察できそうだし(著者が意図したテーマの範囲から外れるのかもしれないが)、そうしたらさらに面白そう。

  • 「おそ松くん」、「ウルトラマン」
    ぐらいまでの体験(?)しかなく、
    「デスノート」、「君の名は」、「シン・ゴジラ」
    等…の最近の有名なモノに全く興味なく、
    観ていない私にとっては、
    (当たり前ですが)
    ほぼわかりにくいものでありました

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著者プロフィール

大澤真幸(おおさわ・まさち):1958年、長野県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。思想誌『THINKING 「O」』(左右社)主宰。2007年『ナショナリズムの由来』( 講談社)で毎日出版文化賞、2015年『自由という牢獄』(岩波現代文庫)で河合隼雄学芸賞をそれぞれ受賞。他の著書に『不可能性の時代』『夢よりも深い覚醒へ』(以上、岩波新書)、『〈自由〉の条件』(講談社文芸文庫)、『新世紀のコミュニズムへ』(NHK出版新書)、『日本史のなぞ』(朝日新書)、『社会学史』(講談社現代新書)、『〈世界史〉の哲学』シリーズ(講談社)、『増補 虚構の時代の果て』(ちくま学芸文庫)など多数。共著に『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』(以上、講談社現代新書)、『資本主義という謎』(NHK出版新書)などがある。

「2023年 『資本主義の〈その先〉へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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