敗者たちの季節 (角川文庫)

  • KADOKAWA
3.65
  • (8)
  • (19)
  • (18)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 270
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041054796

作品紹介・あらすじ

夏の甲子園地方大会、決勝戦9回の攻防。あと、一人打ち取れば延長にもつれ込む……と、その瞬間、サヨナラホームラン。敗者となった海藤高校の投手直登は、試合後も悔しさから立ち直れないでいた。そこに、思わぬ報せが届く。優勝した東祥学園が、出場を辞退したというのだ。繰り上がり甲子園出場が決まるが、それはどちらのチームにとっても重い結果だった。「敗者のままでは、終われないんだ!」少年たちの熱い思いに、思わず胸が高鳴る、著者真骨頂の青春野球小説!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • バッテリーを読んでいたので、似たようなクールなピッチャーの主人公を想定していたが、色々な登場人物が敗者としての背景や想い出が描かれた小説。どの登場人物も敗者であり、その面では重いテーマになりがちだが、淡々と描かれているので深刻にならずに読めた。
    県予選での決勝戦。サヨナラ負けのホームランを打たれた海藤高校が相手校の不祥事で代わりに甲子園に行く。海藤高校のキャプテンはレギュラーでは無いが、全員の推薦でキャプテンとなる。他にもレギュラーにならなかった選手が何人も出てくる。不祥事の高校の内部の選手達の想いであったり、代わりに出る海藤高校の一人ひとりの想いとか、児童文芸を得意とするあさのあつこ先生が丹念に描いてくれている。大昔の青春を甘酸っぱく思い出させてくれる。

  • 私も部活動の大会などで敗北を経験したことはあるが、「これほどの悔しさを感じたことはあっただろうか」と考えさせられた。
    選手だけではなく、家族や恋人、新聞記者などの様々な視点から物語が語られていくことで、内容がより深いものになったと思う。
    「眼差しの向こう側」には、少しキュンとしてしまった。


  • いい言葉がたくさん出てきて、しみた。負けこそが、青春だと思う。その苦味がずっと私を支える。負けるもんかと、もっと伸びようとする自分の力になる。

  • 甲子園出場をかけた一戦に、惜しくも敗北。しかしひょんなきっかけから、甲子園出場できることになり…と言う青春野球小説です。

    久しぶりに読んだあさのあつこさんの小説でした。作者の作品は好きで、バッテリーやTHe MANZAIなども全巻読みました。
    やっぱり思春期の少年の微妙な心を描くのは上手いと感じます。生意気で、素直じゃない少年の姿は読んでいて懐かしい気持ちになりました。

    それに文章の流れも巧みだと思います。突然、過去の話に戻ったり、ある人物を深掘りしたり、話が飛ぶことがあるのですが、違和感なく読めます。上手いなぁと思いました。

    ただ、やっぱり話が散りすぎだと思います。主人公の投手、敵チームの投手、キャプテンの彼女、監督、主人公の母親などなど、本当に色んな人に視点が変わります。一つ一つのエピソードはつまらないわけではないですが、あっさりしていて深く感情移入はできませんでした。
    あと登場人物が多いので誰が誰かわからなくなります。

    思うに、ひょんなことから甲子園出場を決めた主人公というテーマが、それほど強くないために、色々なエピソードを出さざるを得なかったんじゃないかなぁと。

    主人公だけに視点を絞って短編なら楽しく読めた気がしました。

  • 野球の世界の最高峰は、イチローさん?大谷翔平さん?
    競技スポーツである以上、努力さえ重ねれば誰もが彼らのレベルに達することができるわけじゃない。
    どんなに頑張っても、あいつのああいうのには絶対かなわない・・・そんな気持ちを抱く瞬間がやってくる。
    それでも、もう少しその競技を続けてみる?それとも、きっぱりやめて違う道を探してみる?競技に真剣であればあるほど、悩みも思いも深くなる。それでも、きっと、その人その人の答えがあるのだろう。

    何かに真剣に向かい合うことのすごさ、美しさ。
    真剣であるということは、全力でぶつかって負けることを知ることなのだろうか。

    きっとこの物語は敗者への賛歌、生きることへの賛歌なのだ。

  • あさのあつこさんのスポーツ小説。胸があつくなること間違いないだろうと手にとりました。

    予想を裏切らない。
    もっと長編で読みたかったーーーと思うほど。

    敗者という定義は難しいな、と思った。
    ただ、試合に負けるっていうだけのことでは、ないんだな、と感じた。
    野球チームで、志を一緒にする仲間がいるのは、輝いていていい。

  • 2019.11.18~11.24
    「遠い閃光」が一番好き。監督の「好きだから野球をやっている。勝手なことを言ってくれるな」ということば。そうだよね。でも、人間って勝手だから、そんな風に思っちゃうんだよね。「がんばれ!彼らの分も!」みたいに。ダメだよね。
    ラスト、本当は違うのを期待していたのに。ま、仕方ないか。「敗者」だもんね。

  • 夏の甲子園地方大会でサヨナラホームランを打たれ、敗者となった海藤高校の投手直登は、試合後も悔しさから立ち直れないでいた。しかし優勝した東祥学園が出場を辞退し、繰り上がり甲子園出場が決まった。エース、キャプテン、監督や選手の家族、記者、過去に甲子園を目指した者など、いろいろな視点から物語が進みます。高校野球が好きな人におすすめしたい一冊です。

  • 表紙のイラストが明らかに高校球児×作者があさのあつこさん=即買い、の方程式
    この小説を読み終えて、「甲子園出場を果たすこと」という出来事の周りに、それはもうたくさんの人と、その人達を取り巻くドラマ……なんて安直な言い方はしたくないんだけど、喜びや悲しみといった感情、歴史なんてものも含めて、多くの人生が絡み合って存在するんだってことを、あらためて分からされた。最初は出場校の選手達だけの話で進むとばかり思っていたから、視点が多岐に渡っていけばいくほど「でもそうか、そうだよな……」って気持ちになった。
    自分も高校まで野球やってたので、今でもこの季節になるとついついチャンネルを野球中継に合わせてしまう。で、「今年はどこそこが行ったかー」なんて思ってるわけだけど、その出来事にはグラウンドに立つ選手達はもちろん、ベンチ、スタンドで見守る部員達、監督やマネージャー、野球部に関わっている家族、親族、その学校の生徒、地域の人……なんて、挙げてったらきりがないほどの人が繋がっていて、それだけ多くの人の心を激しく、仮に僅かだったとしても、少なからず揺さぶっているわけで。最後まで読んだときに、やっぱ野球っていいなって、野球が好きだなって思いました。
    最後の方にエースの母親のエピソードが入って来たところで、個人的には「いやそれより気になるのは試合の方……!」って思っちゃったので悩んだ末に星4なんですが、出会えて良かったと思える一冊でした。
    ていうかね、読み終えた後に気付いたんですが俺バッテリー最後まで読んでないじゃん。アホか!今すぐ買ってこい!

  • 夢の甲子園に届かなかった敗者たちのその後を知りたいとは思いませんか?ザ・青春。

    所蔵登録
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=B17634

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

岡山県生まれ。1997年、『バッテリー』(教育画劇)で第35回野間児童文芸賞、2005年、『バッテリー』全6巻で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。著書に『テレパシー少女「蘭」事件ノート』シリーズ、『THE MANZAI』シリーズ、『白兎』シリーズなど多数。児童小説から時代劇まで意欲的な執筆活動で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『NO.6〔ナンバーシックス〕(8)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

あさのあつこの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×