泣き童子 三島屋変調百物語参之続 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041039915

作品紹介・あらすじ

おちか一人が聞いては聞き捨てる、変わり百物語が始まって一年。三島屋の黒白の間にやってきたのは、死人のような顔色をしている奇妙な客だった。彼は虫の息の状態で、おちかにある幼子の話を語るのだが……

感想・レビュー・書評

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  • 生者の魂と死者の魂は共鳴している。そんなことをこの本から感じた。その境は薄皮一枚しかなく、行ったり来たりしているのではないか⁈
    「まぐる笛」のみ「荒神」を彷彿させる異質さがあったが、さすがの怪異譚。
    宮部みゆきと重松清は何を読んでもハズレが無い安定のストーリーテラーだ。

  • コミカルだったり ぞくっとしたり

    話の幅が広いので

    飽きないで一気に読ませます。



    タイトルの 泣き童子の結末が

    一番恐ろしかったです

    イヤミス感あります。



    好みだったのは

    まぐる笛

    もののけ姫を思わせる

    山の主との不思議な関係。



    どの話にもキレがあり

    外れなし

    さすが 宮部先生です!

  • 語って語り捨て。
    聞いて聞き捨て。
    三島屋変調百物語の第3弾。

    おちかの聞き役としての様子も段々と慣れてきた本作は、スケールアップ(?!)してきたというか「何でもあり」になってきた。なんせ怪獣が出るし、殺人犯も出てくる。怪獣ともなれば「日本むかし話」と「もののけ姫」を合わせたようなおどろおどろしくも珍妙な話になっているが、これまでの作品で徐々に読者を慣れさしてきたものだから、それほど違和感なく読めたところが面白いというか、宮部みゆきの上手さだろう。

    さて、こうなると次回作はどんな話が出てくるのやら。更に何でもありになるのか、それとも毛色の違う話になるのか。いずれにせよ少しずつ心の傷が癒えて成長していくおちかと一緒に、この変調百物語を楽しんでいきたいと思う。

  • 読み終わった。
    読み終わるのが嬉しいよな、名残惜しいような、

    間に他の本を入れながらー
    多冊読みだから。

    宮部みゆきの時代ものに取り憑かれてしまった。
    三島屋変調百物語参之続
    まだまだー

    魂取りの池、くりから御殿、小雪舞う日の怪談語り
    まぐる笛、節気顔
    の中でやはり泣き童子がよかった、
    怖いよう〜

    怪談とか怖いと言うことがあるのはいい。
    今あまりにも人にはとって怖いものがない
    というより
    人間が人間以上になり、
    神、仏や人間以上のものを認めない

    どんなに悪事を働いても、わからなければ何でもいい、ないと同じと思ってる

    恐れるーお天道様が黙っちゃいないー
    ということを知らない。
    怨みは怖い、身から出た錆を知るべき。

    本文よりーお話を語って語り捨て、こちらは聞いて聞き捨てが決まりです。

    もう一つの楽しみは
    漢字、日頃現代ものではなかなか目にしない。

    剣呑、椿事、手妻、耳胼胝、白底翡、左見右見
    検見、手練、禍祓い、
    まあこんな感じ。漢字好きにはたまりません。
    左見右見ーこれは読めなかった。
    皆さんは読めるでしょうね。
    次は?もう手元にあります。

    本文よりーおちかさん曰く
    「様々な不思議話を耳にしているうちに、目が開けるような思いがしてまいりました。この世には本当に思いがけないことが起こります。人が生きる道もなくなってゆく道も様々でございます。」




  • 怪談話に感動の要素があるところが、読み続けられる秘訣だと思う。
    ゾッとする場面ももちろんあるけれど、親子愛や友情、恋情、寛大な愛情がどの話にも埋め込まれている。

  • このシリーズは、結構心の隅っこの涙スイッチみたいなところをピンポイントでついてくる。電車の中で読んでたら、うっかり大ピンチです。
    それにしても、それぞれ独立した不思議語りでこんなにバリエーションに富んで感動させてくれるのがすごい。

  • 今よりも闇が濃かった頃の江戸を舞台に、三島屋の小町娘おちかが、訪問客の語る怪異談を聴く短編集。
    何年か前に読んだけれど、シリーズのどれにどの話が出てるか分からなくなり、備忘録をつけるために再読。
    やはり面白い。突飛と思える話も時代を遡ると、真実味を増す。宮部さんの時代モノは本当に面白い。2019.6.23

  • 語って語り捨て。
    聞いて聞き捨て。
    このフレーズがいいですよね。
    『泣き童子』が切なく恐かった。
    『くりから御殿』は3.11の後の発表なんだな。

  • 三島屋伊兵衛の姪であるおちかは、様々な出来事を経て黒白の間で“変わり百物語”の聞き手を務める。
    可愛らしい恋バナから人を殺めた話、さらに物の怪話まで……様々な“不思議な話”が集められた三島屋シリーズ第三弾。→

    「くりから御前」は関東大震災後に発表された、山津波で生まれ故郷を無くした男が語る優しいお話。これは、泣いた……。宮部さんの鎮魂話なんだろうな。とても良い。
    「小雪舞う日の怪談語り」は4本の怪談が入っているんだけど、私はおちかちゃんに起こった不思議なお話が大好き。これ、かわいい→

    「節気顔」は「怪談」っぽいお話。江戸という風景とよく合う。おちかちゃんの因縁の相手も出てくる。
    人間(以外も)片側だけ見ていたらあかんのよなぁ、とか考えちゃうねぇ。
    「魂取の池」は後味良くて楽しい。
    「泣き童子」はツラくて痛い。
    「まぐる笛」はとにかく怖かった!
    今回も楽しかったー!

  • 変わり百物語の3作目。変わり百物語の趣向と語られる内容にバリエーションが出て、シリーズものながら飽きがこずに常に新鮮でおもしろい。
    印象に残ったのは恐ろしさに震える『まぐる笛』と何ともやりきれない『泣き童子』。特に『泣き童子』は、初めて読んだときは不気味に感じたけれど、自身が親になって読んだ今はやりきれなさの方が強い。自分自身の状況次第でこれまでとは違った読み方ができることも、読書の醍醐味なのだと思わされた。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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