座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041032787

作品紹介・あらすじ

中国は唐代、2代皇帝・太宗による統治(貞観時代の政治)の要諦が凝縮された『貞観政要』。日本においては徳川家康、北条政子も参考にし、世界最古・最高のリーダー論として世界中で読み継がれている。「部下からの厳しい言葉にこそ耳を傾けること」「組織のパフォーマンスは、リーダーの器以上にはならない」「上司は、自らの権限の及ぶ範囲を明確にし、できれば制限しなければならない」――太宗が心得た組織・リーダーシップのポイントの数々は、時代を超えて通用する普遍の真理である。
『貞観政要』を座右の書にし、現代における注目リーダーである出口治明氏が、はじめて中国の古典を深く語る。

感想・レビュー・書評

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  • 『貞観政要』とは、中国史上もっとも国内が治まった「貞観」(627~649)の時代に、
    ときの皇帝・太宗(李世民)と臣下たちが行った政治の要諦(政要)がまとめられた書物で、
    日本においては北条政子、徳川家康、明治天皇も愛読しており、「時代を超えた普遍のリーダーシップ」が凝縮されています。

    「あらゆる組織人が座右に置くべき古典の必読書です」と出口さん。

    太宗は、諫言(上司の過失を遠慮なく指摘して忠告すること)する部下を積極的に登用していました。
    世の中の上司が皆太宗みたいだったら、いいのにね…。

    個人的には、序章で中国の歴史を簡単に説明してくださったところが大好き。
    「三国志」と「唐帝国」はいちおう学んだのですが、そのあいだが曖昧だったので、とてもありがたい内容でした。

    ちょっとメモしちゃおうっと。

    ●二世紀半ばからの寒冷化により、中央ユーラシアの遊牧民が南下する

    ●天山山脈にぶつかり、東西に分かれる

    ●東へ向かった遊牧民が、五胡十六国とつくる
    (西に向かった人々がかつてゲルマン民族の大移動と呼ばれていた現象
    最近では、ゲルマン民族と総称できる共通項が見出せないため、そういう言葉があまり使われません)
    (胡とは異民族(遊牧民)の総称で、五胡のいずれかの異民族に属する大国が16あったということ。
    実際には16以上あったと考えられ、五胡も五行説の思想から五胡にしたという説が有力。
    匈奴・鮮卑・羯・氐・羌)

    ●五胡十六国の中で、最後に生き残った拓跋部(鮮卑の一部族)という部族が、北魏をつくる

    ●北魏の分裂後、楊堅が中国全土を統一し、隋をつくる

    ●李淵(楊堅の妻の姉の息子)、李世民親子が隋を滅ぼし、唐をつくる
    (楊堅の次男煬帝は初代皇帝である父を殺し、兄の皇太子を失脚させて皇位を奪った。
    李淵の次男李世民は皇太子である兄と弟を殺し、その後父を幽閉して皇位に就く)

    ●おそらく李世民はこう考えたはず、と出口さん。
    「私と煬帝のやったことはあまり変わらないから、私のことを悪く思っている人間もたくさんいるはずだ。
    悪口を書かれると、それは語り継がれてしまう、
    さて、困った。悪く書かれないようにするにはどうしたらいいだろう。
    ひたすらいい政治をして、部下のいうことを聞いて、
    人民のために尽くして、贅沢をせず、
    業績を山ほど残して挽回するしかない。
    そうすれば『李世民は煬帝とは違って立派な政治をした』と後世に残せるのではないか」

  • 名君 2つの絶対条件
    (1)「権限の感覚」を持つ 個人商店にしない 部下を疲弊させない
    (2)「諫言かんげん」を得る 皇帝は全能ではない 聞き入れる度量・柔軟性
    三鏡 銅の鏡(自分の姿) 歴史の鏡(将来を構想) 人の鏡(部下の諫言)
    リーダーの最も重要な役割 元気で、明るく、楽しい職場をつくること

    組織の強さは人材配置=ポートフォリオ
     熟慮して人材配置を決める→部下を信頼して任せる
    皇帝はむやみに権力を行使してはならない 
     権力は使わないに越したことはない 
    上司の機能 人をまとめる 方向を示す
    上司は部下の権限を代行できない 権限委譲の根幹 任せたら口を出さない
    自分の役割を忘れない 君主の役割は国を治めること 猟をすることではない

    人の成長 (1)読書 (2)文章 (3)交流
    上の人の言葉 信念と誠実さ

    管理限界 「優秀なリーダーでも管理できるのは10人まで」
    「遊牧民の十進法」モンゴル帝国 チンギスハン フビライ
    10人隊 100人隊 1000人隊
    君主といえども全てに精通しているわけではない
    太宗「あなたたちに任せたので、いちいち自分に裁可を仰ぐな

    魏徵「人生意気に感ず 功名誰かまた論ぜん」
       人生は相手の心意気に感激して応じるもの 功績や名誉の問題ではない

    リーダーと部下の違い
     リーダーは自分で考え、自分で決断する力が必要 
     トップリーダーをさせてみる 実際にさせないと資質は判らない 育成もできない
    組織はトップの器以上のことはできない
    リーダーに必要な力
    (1)強く思う力
    (2)共感する力
    (3)統率する力
    (4)正しく決断する力

  • ビジネスパーソンとして、いつかは読みたいと思っていた「貞観政要」。その入門書として。

  • 自分のチーム力の向上やリーダーとしてのあるべき姿を学びたくて、この本を読んだ。

    リーダーとは組織の中で、たまたま割り当てられた機能である。部下より偉いと勘違いしないように常に謙虚でいる必要がある。

    また、周りの人間がリーダーに対して間違いを指摘しやすいようなチーム環境や信頼関係を普段から築き上げることが大切。

    リーダーに必要な3つの鏡については、常に心に留めておきたい。
    ・銅の鏡
    人が自然についてくる。いい表情しているか
    ・歴史の鏡
    将来に起こる事は誰にもわからないので、過去から学ぶしかない
    ・人の鏡
    あなたは間違っているとはっきり言ってくれるのかを、自分の隣に置く事

    ・組織は、リーダーの器以上の事はできない。リーダーの頭を空っぽにして、新しい価値観や部下からのアドバイスを吸収する。

    ・物事が順調に進んでいる時こそ、気持ちが緩みがちになる。その気の緩みが事態の悪化を引き寄せる。

    常に謙虚で誰よりも心がつよいリーダーにならなければいけないと感じた。

  • 自分に対して正しい助言をしてくれる部下を持つことの大切さ。

  • 帝王学を学ぶには「貞観政要」が良い教科書であるとネットにあり、比較的読みやすそうな本書を購入した。
    難しい古文があって読みにくいことはなく、スラスラ読める。
    耳が痛い話や新たな視点や気づきを与える話などが多くあった。
    何度かこの本を手に取り、筆者同様、貞観政要に叱られるのだろう。

  • タイムリーな内容。
    貞観正要。
    人の器は大きくならない。ショボショボである事を自覚。
    そして部下を信じる。
    簡単な言葉だけど簡単じゃないことだ。

  • 唐の2代皇帝・太宗による統治の要諦が凝縮された『貞観政要』に書かれいている組織・リーダーシップのポイントの数々は、時代を超えて通用する普遍の真理であると説いた本。
    唐代に至るまでの歴史の過程も併記されていてよかったです。
    諫言に関しては年上からだろうと年下からだろうと、傾聴する必要があるというのは間違いないでしょう。

  • 著者の出口氏は、ライブネット生命を立ち上げ、今は後任にゆずり、会長職についている。
    本著では、自身のサラリーマン時代と起業時代に得たマネジメントの方法や、道理を中国古典に習い記している。

    中でも、貞観政要というタイトルにあるように、唐の第二代皇帝である太宗・李世民時代に記された書物を参考にされている。

    感想

    中でも、印象に残ったのは、部下は信と誠が無い上司の指示では動かない。思いつきで出した指示を部下は見破るという内容でした。部下は、上司が自分を、好きか嫌いかは分かっている。ただ、上司は部下を選べない。嫌いでも部下には平等に接しなければいけないと、本著では出口氏は述べている。

  • 気になっていた『貞観政要』。出口さんのまえがきが素晴らしかったので思わず購入。

    その後寝かしていたが、2019年7月の人間塾で課題図書の参考文献として読了。

    唐の第2代皇帝 太宗・李世民の言行録。
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    太宗とは、太祖(創業者)に継ぐ功績のあった皇帝に贈られる廟号(死去した後に贈られ、廟に乗せられる名前のこと)です。(p.2 はじめに)
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    <キーフレーズ>
    ・名君と呼ばれる人の「2つの絶対条件」=権限と諫言
     太宗がリーダーとして傑出している理由
     ①「権限の感覚」をもっていたこと
     ②臣下の「諫言」を得たこと

    ・三鏡(銅の鏡、歴史の鏡、人の鏡)
     リーダーは3つの鏡を持たなければいけない、という教え
     #出口さんが座右の銘の一つにしている

    <きっかけ>
    店頭で発見

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著者プロフィール

出口 治明(でぐち・はるあき):立命館アジア太平洋大学(APU)学長。ライフネット生命創業者。1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒。日本生命入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退職。同年、ネットライフ企画(株)を設立し、代表取締役社長に就任。2008年4月、生命保険業免許取得に伴いライフネット生命株式会社に変更。2012年上場。2018年より現職。著書に『全世界史(上・下)』(新潮文庫)、『0から学ぶ「日本史」講義』シリーズ(文春文庫)、『歴史を活かす力』『日本の伸びしろ』(文春新書)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)、『一気読み世界史』(日経BP)、『ぼくは古典を読み続ける』(光文社)等多数。

「2023年 『人類5000年史Ⅴ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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