拝み屋怪談 逆さ稲荷 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041030158

作品紹介・あらすじ

如何にして拝み屋と成り得たのか。霊を霊と認識していなかった幼少期から拝み屋開業にいたるまで、人ならざるモノと付き合い続けた恐怖の半生記。取材をもとにした怪異譚も併せて収録する、かつてない怪談実話集!

感想・レビュー・書評

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  • ただの実話怪談集で終わらない!
    私が怖がるドンピシャなシリーズなんだよなぁ…(꒪ᗜ꒪ ‧̣̥̇)‎‎

    拝み屋シリーズ第3弾!!



    前巻『拝み屋怪談 花嫁の家』ですっかり拝み屋シリーズにハマってしまった…。
    めちゃクソ怖かった……。(-_-;)

    今回も、1巻の『拝み屋怪談 怪談始末』と同じような形式で、郷内さんの体験談や相談者さん達の実話怪談がたくさん載っています。

    中でも印象深かった作品をいくつか挙げます。


    【やぶ寿し】

    小学2年生の双子の兄妹が夏休みに広大な雑木林へ。
    そこは親に絶対入るなと止められている場所だった。
    昆虫採集に夢中になり、兄弟はどんどん奥まで足を踏み入れる。
    道に迷って彷徨っていると「えいらっしゃい!」と威勢のいい男の声が。
    そこには『やぶ寿し』と書かれた看板が掛けられていた——。

    これ嫌だ〜(;´Д`)
    こんな体験したくない〜!
    入っちゃダメって言われている場所は危険!


    【離魂病】

    夫婦が居間でくつろいでいると、風呂場から高校生のひとり娘の悲鳴が。
    気付くと丸裸のまま娘が居間へ駆け込んできた。
    「風呂にあたしがいる!あたしがいるのよ!」と叫ぶ娘。
    話をよく聞くと、シャワーで頭を洗い終わり浴槽に戻ろうとしたら、もうひとりの自分が湯船に浸かってこっちをみてニィーッと笑ったと言う—。

    ドッペルゲンガーの話の中で、これが1番怖い……。
    お風呂で髪洗って目瞑っている時が1番怖いですよね(;´Д`)


    【幽霊神輿】

    男が茶の間のこたつに入ってうたた寝をしていると、突如仏間の襖がばーん!と蹴り倒され、白装束に三角頭巾を頭にまいた男女が十数人、どっとなだれこんできた。
    次に気付くとそこは——。

    こえぇ!!
    こんなん急に現れてこんな仕打ちされるなんて……。
    おちおちうたた寝もできん(༎ຶ⌑༎ຶ)



    【同じものを見ている】

    著者が体験した怪談話。
    家族に話すと、父も弟も妹も…。
    著者の家に纏わる因縁が続く。

    やばい。
    これ以降の短編、全部怖い…((((;゜Д゜)))

    郷内さんが拝み屋になるきっかけとなったお話です。
    こんなに色々な体験をしていたら、拝み屋になろうというのも納得する…。

    郷内さんの小説の良い点は、怪異を根拠もなく全面的に肯定するだけではない所。
    自分の幻覚だと思っていて、最初は否定していたという所。
    徐々に否定するだけでは説明がつかなくなる現象にぶち当たる事もあるのですが(-_-;)
    最初から全肯定されると、自分としては引きますからね…(^▽^;)


    この『逆さ稲荷』を読んで再度気付いたのですが、実話怪談にたまに出てくる怖い体験の中に、
    「自分の近くで複数の人がコソコソと小声で会話している描写」
    があります。

    これ、私学生時代によくありました。
    眠りに入る(醒める)狭間、私の頭の周囲で何人かの人が会話している…。
    たまに笑ったり、ほんと普通の会話なんだけど、不思議と内容は頭に入ってこない。
    で、ザワザワ〜ってなって目が覚めたり。

    これって、私が霊現象を体験しているのか、はたまた、誰もがする体験で、怪談に寄せていた方が霊現象だと勘違いしているのか……( ≖ᴗ≖​)
    謎は深まるばかり。

    続けてシリーズ第4弾
    『拝み屋怪談 禁忌を書く』読みますヽ(´▽`)ノ

  • 短く怖いので、手軽に怪談を楽しめる。かと思いきや、序盤のちょっとした違和感が終盤にゾッとする結末に繋がっており、一気に読み通しても面白い。まさかあそこまで恐ろしい事態だと思わなかった。伏線回収的な快感もあるけど恐怖の方が圧倒的に勝つ。
    『超子猫』絶対に可愛いので出会いたい。結末が悲しい。
    『どちらにしても』幽霊の方がよっぽどマシ。
    『トシコさん』どんな姿になっても帰りたかったんだろう。切なくなる。
    『逆さ稲荷』お狐様はお茶目。
    『便所奇譚』完全に同意。あんな空間に出てくる奴は1番厭だ。
    『田んぼのおじさん』洒落怖の「ん〜〜〜〜〜」を思い出した。映像が浮かんで怖い。
    『体験願望』罰は当たる。
    『同じものを見ている』この話以降、読むのがやめられなかった。

  • 夏の暑さが終わり秋の涼しさを感じる季節に読みました。なんとも良いタイミングで、風の涼しさや、季節の変わり目に敏感になる感度が、物語に没頭させてくれました。

    本書は、一つ一つのエピソードは短編になっているのですが、著者の幼い頃から拝み屋になろうと決心するまで年を追って書かれているため、続けて読むと1人の青年の物語になっている。

    ホラー小説としても、私の求めていた世界観だった。
    子供の頃のあやふやだけどずっと覚えている不可思議な体験、ただ怖くて泣いた思い出、山などの自然が身近で、読んでいると土から立ち昇る湿気が感じられるような、身近なようで遠い世界。ホラー小説というより、怪異譚、でも良いけどもしれない。

    印象に残った情景
    初めて恐ろしいものを見た幼い頃の著者が曽祖母に大泣きする。曽祖母は吐き捨てるように「なんとも勘の鋭い子だ」とつぶやいた。 初めから始まりまで

    コンビニのアルバイトに転職し、そこで出会った女性に心を開いたころ、2人で異形のものを見る。
    自分が見るものは幻覚だと自身を追い詰めていた著者だったが、彼女も同じものを見たことを知り、彼女はお化けだと言った。怖いものは素直に怖いと思えば良いと、著者の心が軽くなった話。 おばけなんかないさ

    今までの話に出てくる曽祖母というのは、どの人なんだ? ぞっとするシーン。ここで、著者の幼少期に曽祖母がお前は何を拝んでいるのかわかっているのかと曽祖母が言っていたことを思い出す。 暴かれた影

    姓も変わり、名も変わり、進む道も大きく変わった。まるで生きながらの転生だな。 この後、著者はもう今までのようには戻れない、もう普通には暮らせない。と書いているが、著者がはっきりと意思を決めた印象的なシーンで、心が澄み渡っていくような静謐な雰囲気を感じた。 虚しき流れ

  • 本当に怖がりなんですが、怪談話って面白い。
    拝み屋になる経緯面白かったです。この作者の伏線が僕には丁度ツボ。

  • ラストヘ向かうにつれて怖さがジワジワと増してくる。
    曽祖母、超怖い。一体何なのだろう。

    拝み屋になるきっかけが語られている。

  • 拝み屋の作家の体験談がメイン、読みやすい
    「透明人間」「幽霊神輿」「体験願望」あたりが好みだった
    タイトルの「逆さ稲荷」は逆立ちしてる狐のイメージだったけど、
    お米の中にあげがうまっている逆稲荷寿司ということでした

  • 郷内さんが拝み屋になるきっかけの事件を書いた「逆さ稲荷」。
    合間合間に拝み屋として、経験・収集した怪談が挟まれています。箸休め。
    その中では、狸に化かされる話が好きですね。やりこめるオチが民話のようで。

    曾祖母の霊が起こした怪異の数々。幻視で経験した惨劇。
    郷内さんの先祖の行状と思われていたことが、そうではなかったというのであれば、なぜその怪異が起こることになってしまったのか、なんだよなぁ。
    先祖の悪行の報いを受けている、という祟りではないらしい。

    因果は解明できないまま、怪異が起きなくなり日常が戻ってきた。そして、自分と向き合うために、拝み屋を始めることにした。
    雑にまとめると、そういうことか。

  • ノンフィクションかフィクションか分からず読み進める。ホラーというより、どこかほのぼのとした、子供の頃には誰もが感じてた感覚を描いた小品が多く懐かしく読んでいた。

    後半は一転して筆者が拝み屋となった経緯が描かれているが、イマイチ、パンチにも説得力にも欠けており残念であった。ただ、またまだ続いていく感じなので期待したい。

  • タイトルと中見はあまり関係なかったけど
    面白い!

  • "実話"だからやはりハッキリとした落ちやどんでん返しはないのか~と読み進めていたら……。楽しませていただきました。

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著者プロフィール

1979年、宮城県生まれ。郷里で拝み屋を営む。
2013 年、「調伏」「お不動さん」の2作で第5回「幽」怪談実話コンテスト大賞を受賞。受賞作は『怪談実話コンテスト傑作選 お不動さん』に収録されている。著書に、最新刊の『拝み屋念珠怪談 緋色の女』(角川ホラー文庫)、『拝み屋備忘録 怪談火だるま乙女』(竹書房怪談文庫)のほか、『拝み屋怪談 怪談始末』をはじめとする「拝み屋怪談シリーズ」、「拝み屋備忘録シリーズ」、「拝み屋異聞」シリーズ(イカロス出版)がある。「拝み屋怪談」シリーズはドラマ化された。

「2021年 『拝み屋奇譚 災い百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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