AID 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041029435

作品紹介・あらすじ

腐乱自殺死体の爆発事件を皮切りに、続々と起こる異常な自殺事件。捜査に乗り出した比奈子ら「猟奇犯罪捜査班」は、背後に「AID」という存在が居ることを突き止めるが。大人気・藤堂比奈子シリーズ第三弾!

感想・レビュー・書評

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  • 果てしないスローペースで追っている藤堂比奈子シリーズ第三弾「AID(エイド)」。今回は残念ながら(小声)グロテスクさが極めて抑えられた、ステエンタメ全振りなお仕事ミステリでした。
    控えめとは言いましたが以後、グロテスクな表現が続きます。ご容赦下さい。
    ーーーーーーーーーーーーーー

    腐り果てた体から首がもげた孤独な縊死死体。
    死に腐りゆく姿を撮影し、その後腹部のガスが爆発し無惨な姿となった一酸化炭素中毒死体。
    この動画は自殺志願者が集うサイトにアップされ、自殺の抑止力となっている。
    いらん臓器を捨てた(雑)死神女史のお見舞い帰り、病院にて比奈子の前に現れた、ドナーカードを握り締め複数の錠剤を吐き出し意識を失った服薬自殺未遂の女。
    更に各地で頻発し始めるパラコート(農薬)自殺。パラコートを体内に吸収するとジワジワと細胞が溶かされ長い時間をかけて苦しみながら死に至るか、植物状態になる、らしい。

    この一連の自殺は全て事件性はない。
    自身で自らを殺した。他人の介入は一切存在しないはずだ。そこに絡まる自殺志願者を集うサイトの神的存在「AID」。しかし捜査を進めて明らかになるAIDの行動には矛盾がある。一体AIDとは何者で何が目的なのだろう。

    上記凄惨がよりどりみどりな自殺体達からは予測出来ない、比奈子とキャラ立ちが過ぎる愉快な仲間たちの存在は、丁度よく警察小説の堅苦しさを破壊してくれて、これがとても読み易い。
    のくせに終盤のスピード感溢れる危機的状況に、まったりモードの眼が覚醒。このエンタメ性とサスペンスの融合に面白いが暴走を辞めてくれない。

    まだ三作目だが、ひっそり好きだったオタク鑑識官 三木さんが大活躍な本作が一番好きだ。東海林刑事命名「ドレスを着たゴリラ」の彼女が出てきたのも嬉しい。
    しかしガンさんと死神女史の過去は興味深かったのだが、発展途上な比奈子と野比先生の安めなラブストーリーは、未だに受け入れられない。今後に期待...しておくべきなのだろうか(笑)
    読み返して思うが、作品を知らない人からしたら、はてなマーク全開だろう。兎に角、人物達が魅力的だという事が伝わったら嬉しい。

    とは言え、題材は「自殺」
    この重たいテーマと比奈子と愉快な仲間たちのギャップに眉間のシワを寄せる人も少なくないと思う。ので、脳内は初期段階でエンタメに切り替えた方が良いかもしれない。
    ついでに、サスペンス溢れる展開と、AIDの正体と悲しい動機に心臓をキュッと絞られるので
    心のプロテクターもお忘れずに...。

  • 自殺を願う人の話を受け止め、何とか思いとどめようとするサイト。しかし、さらに自殺幇助のサイトに導いて、安らかな自殺方法を教えているように見えて、実はむごい死に方をさせているのではないか。農薬のパラコートを飲んでむごたらしい死に方をする自殺者が続出したのだ。捜査班の藤堂比奈子はいつものように事件に入れ込んでしまい、全力で駆けていく。捜査班のメンバーたちの描き方に引っ張られて読んでしまう。結末は、うーんいつものように悲しい。

  • 今回のテーマは自殺。

    ただ事件として表面化していない状態で猟奇班が動いてるので、あまり派手さはないのと被害者?に対しても踏み込む様子はなかったです。

    このシリーズは結構身内が危うい状況になるので、比奈子さんを思うと切ないです。

  • 第3弾!
    自殺した腐乱死体の爆発から始まる。
    (インパクトあるけど、爆発までさせんでも…^^;)
    それから、自殺事件が、あちこちで。
    それには、自殺関連のサイトが関連する。自殺系サイト…旬ですな。言い方悪いけど^^;
    相変わらず捜査班、こんなグロい中、イキイキと頑張ってる感じ。
    その中で、一番光ったのは、三木捜査官の彼女 麗華さんやな。私は遠慮したいが生き方は羨ましい。
    最後は結構切なくて、悲しい。
    今回は、更に捜査班としての結束感が出て来た感じ。
    こういう仲間ってええな!

    名言(麗華さん)
    「世の中、美女とイケメンだけで回ってると思うなよーっ!」

  • 藤堂比奈子シリーズ、3作目。
    この人が犯人でありませんようにと思ってた人が犯人で悲しかった。
    今回は三木&麗華さんのカップルにすべて持って行かれました。麗華さんつよい(笑)
    比奈子も、後輩の新人君を叱り飛ばしたり、最初の頃に比べたらずいぶんしっかりしてきて、好感が持てるようになってきた。
    それぞれがよりキャラ立ちしてきて、面白くなってきました。

  • シリーズ3作目。
    過去作に登場したキャラも出てきます。
    今回のテーマは自殺。
    死にたいと本気で思っている人の手伝いをすることは犯罪。
    物語はどんどん加速していく感じがして手が止まりませんでした。
    一つ一つほどけていく感じ。
    良い人間でも悪い面がある。
    人って怖い。
    面白い。ただ後味の悪い作品でした。

  • ON、CUTに続く三作目、主な登場人物は比奈子の上司ガンさんこと厚田、先輩の武闘派東海林、オタク鑑識官三木、死神女史こと石上検視官そして、1作目の事件で連続殺人で逮捕された野比のび太先生こと中島保。 保と比奈子はお互いに恋愛感情を持っているが、将来の無い関係である。

    今回は死神女史の病が発覚、もしかしてこれが題名の由来に関係するのだろうか?
    今回のテーマは自殺、ただし本当に自殺なのか他殺なのかも紐解いていく。30年前の事件とのつながりもわかってくる。
    善意で自殺を止めようとするサイトを悪用する者もいる。ネットの世界は猛烈なスピードで拡がる事はメリットである点とその反対に大きなリスクを孕んでいる。現代では・・・。

    治療の臨界点、腹部の爆発、強皮症、これらの症状や自殺企図ドナー、パラコートがキーワードとなる。比奈子が北斗の拳を知っているのが驚きだった。驚きというと三木捜査官の彼女西園寺麗華である。また黒い三木捜査官には微笑んでしまったが、すぐに青ざめてしまった。

    AIDとは何かも終盤に判明する。訓練を受けていない一般の人がカウンセリングのような行為をすると、本人が大きなダメージを負いかねない、ニーチェ曰く、汝が深淵を覗くとき、深淵もまた汝を覗きかえしている。負のオーラに抗うには相当な精神力が必要となるのだろう。その点、SNOOPYは強い精神力を持っているのかもしれない。

  • 数冊まとめて買ったものの、一気に読むとダークサイドに落ちそうでよけていました。藤堂さんの周りはいいんです。犯罪者側がしんどい。でも藤堂さんのキャラに中和されつつなんとか読み終わりました。
    三木さん死なんでよかった。佐和さん元気そうでよかった。
    亜希さんも再登場したらうれしい。

  • 今回は自殺事件のはなし。変な自殺が相次ぐ。やはり死体の記述は生々しい。でも事件のテンポが良くて、おもしろい。まさか1日で読めてしまうとは…。もう完結しているシリーズらしいので、じっくり読み進めていきたいな。

  • シリーズ第3弾。
    今回も、グロイです。
    でも、読みやすいから、読んでしまうのですよ。
    メインキャラ達はいつも通りに活躍してくれましたが、
    目立ったのは、オタク鑑識課の三木と、その彼女でしょう。
    この二人、大好きになりました。
    そして、定番というのか、ラストは切なかったです。

    知らなかったんだけど、眠ってるうちに死んでやろうと
    睡眠薬飲んで、排気ガスを引き込んでも、濃度によっては
    苦しさのあまり目が覚めて、逃げようとしても身体は動かず、
    結局、悶絶しながら死ぬそうだ。( ̄O ̄;)

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著者プロフィール

2月20日生まれ。長野市出身、在住。長野県立長野西高等学校卒。デザイン事務所経営。2014年、日本ホラー小説大賞読者賞受賞作『ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』でデビュー。ほかの著書に『ON』につづくシリーズの『CUT』『AID』『LEAK』『ZERO』『ONE』『BACK』『MIX』『COPY』『BURN上・下』、スピンオフ『パンドラ』『サークル』『OFF』、「東京駅おもてうら交番・堀北恵平」シリーズ『MASK』『COVER』『PUZZLE』『TURN』など著作多数。

「2023年 『LIVE 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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