傘をもたない蟻たちは

  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041028339

作品紹介・あらすじ

無限の悲しみはどこまでも僕を埋め尽くす――。いまを生きる人々の「生」と「性」を浮き彫りにする6編の物語を収録。累計20万部のデビュー小説『ピンクとグレー』の映画化で注目の加藤シゲアキ、最新刊!

感想・レビュー・書評

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  • 6つの短編集のうち3つ目の話が好き。中には非現実的な話もある。

  • 今を生きる人の「生」と「性」をテーマにした6編の物語。
    割と後味の悪いものが多かった印象です。

    「染色」
    「undress」
    「イガヌの雨」
    「恋愛小説(仮)」
    「インターセプト」
    「にべもなく、よるべもなく」

    「undress」~「インターセプト」は「世にも奇妙な…」を観た後のような読後感。
    恋愛、青春、SF、心理サスペンス、といろいろなジャンルが詰め込まれていておもしろかったです。よく考えて書かれていて、実験的、挑戦、という言葉がすごく浮かぶ一冊でした。書く幅を広げているのだなぁ。
    文章に若干のかっこつけは感じちゃいますが…(笑)
    「イガヌの雨」の食事の描写がとてもおいしそうで…イガヌは気持ち悪いけど、食べる描写がとてもうまいと感心しました。

    「インターセプト」は終わりでかなりぞくぞくしましたが、お話の構成がとてもおもしろかったです。

    一番いいなと思ったのが、「にべもなく、よるべもなく」です。中学生の幼馴染同士の葛藤、少し重めの内容でした。ケイスケと純の海でのシーン、お互いを想う気持ちの尊さを感じるとてもよい場面でした。
    現実的な終わり方に少し切なさを感じつつも、爽やかな気持ちで読み終えました。

    描写がとてもきちんとしていて、いい意味でとても読みやすいなと思いました。

  • ほとんどの話に「別れ」があって、その寂しさの中で、「そう簡単にうまくはいかないよ」という感じがすごく好き。現実的、というか。

    特に、「染色」と「にべもなく、よるべもなく」が良い。

    「にべもなく、よるべもなく」は、友達を理解しようと努めて、でも難しくてどうしたらいいのかと悩んで苦しむ男の子が切なかった。
    たくさん考えすぎてなんだかわけが分からなくなってしまう気持ちと葛藤が、うまく言えないけれど、よく分かる。

    「指をしゃぶり、手のひらや甲を舐めてきれいにしてもう一度右手をかざす。手は元どおりに見えたけれど、でも本当にきれいになったかというと実際はそうでもなく、僕の唾液で濡れた手は、さっきにも増して汚いように感じた。」

    性描写が生々しくてきれいな表現じゃないところもある。でも、汚く描くことで人間の汚さをちゃんと表しているのかも。

    スプレーで腕に色を塗ったり、汚い自分にカビが生えてきて海に入ったり。
    モチーフが何だかおしゃれな感じ。


    「僕は忘れたくても忘れられない。今もあの日を引きずっている。
    暗くなっていく空の下で、ケイスケの男らしい背中がどんどん遠くなっていく。
    どうして僕だけが置いてけぼりになっているんだろう。」

  • バッドエンドが多めの短編集だったが、
    後味の悪さも良い余韻でテンポも良くスラスラと読めた。

  • 恐るべし加藤シゲアキ。
    彼の作品を初めて読んだけど、かなりの面白さに度肝を抜かれた。
    最近読んだ中ではダントツ面白い。
    短編集なんだけど、どれも毛色が違って凄い。
    全てが面白かったけど「イガヌの雨」「インターセプト」が斬新。
    加藤シゲアキの作品は、これからも期待。

  • 人ってのはな、喜ぼうと思っても限界はあるが、悲しもうと思うと際限なく悲しむことができる。だったら最初から悲しまねえことだ。なにがあってもわしは悲しんだりしない。ただの出来事として受け入れる。

  • 加藤シゲアキの短編集~~~!
    染色は切ない、undressは衝撃的、恋愛小説(仮)は悲しい、イガヌの雨は不思議、インターセプトは天才、にべもなく、よるべもなくはオチが最高でそれぞれ全部良かった~~~!加藤シゲアキ2冊目!あと2冊目あるから次もその予定。
    にべもなく、の喜びは有限悲しみは無限。ただ出来事として受け入れるって言葉が天才過ぎた…!

  • 短編集。今回は芸能界ものはなく、恋愛、不条理、SF的な設定等、いろんなジャンルがあって、なかなか楽しめました。

    私がいちばん面白かったのは「イガヌの雨」。まず「イガヌ」って何?ってとこから気になるし、想像の斜め上をいく設定でこの発想は素直にすごいと思った。

    意気揚々と脱サラしたはずの男が、信頼していたありとあらゆる人の裏切りを知って追いつめられていく「Undress」もなかなかブラックでスリリング。「インターセプト」も似たタイプの話だけれど、こちらもよくできていて感心。

    「恋愛小説(仮)」は自分で書いた小説を夢で実現できる話で、映画『ルビー・スパークス』を思い出した。

    逆に「染色」「にべもなく、よるべもなく 」といった恋愛、青春もののほうが私にはイマイチで、必要であれば性描写は全然かまわないけれどちょっと背伸びしすぎのような、アイドルだってセックスについて書くんだぜと無理して入れた感じがして逆に違和感。

    「にべもなく、よるべもなく」のほうは収録作品中ではいちばん長く、書き下ろしになっていますが、長編むきの題材をよく練らないうちに短編に詰め込んだような印象だし、やや唐突なBL展開はちょっと微妙。あまり推敲する時間がなかったのかな?と思うような部分もちょいちょい目につき、まあこういうのは著者だけでなく担当編集者や校閲からちょっと注意してあげればいいのにと思ったりもしますが。

    ※収録作品
    染色/Undress/恋愛小説(仮)/イガヌの雨/インターセプト/にべもなく、よるべもなく

  • 作者初の短編集。少しSFと言うか、ファンタジーチックな作品が多く、作者としての力量を感じる。デビュー作の「ピンクとグレー」でも感じたが、普通に楽しめる。これをアイドルが書いていると思うと、なかなかすごいと感じる。

  • 鼻水が止まらんw

    ってな事で、加藤シゲアキの『傘をもたない蟻たちは』

    染色
    Undress
    恋愛小説(仮)
    イガヌの雨
    インターセプト
    にべもなく、よるべもなく

    の6つの短編集。

    やっぱり加藤シゲアキは凄ぇなぁ!

    それぞれ短編じゃけど引き込まれる内容。

    恋愛、サスペンス?、SF、ホラー恋愛(笑)、BL と幅広い内容で楽しませてくれる♪

    ホント天才じゃないかな。

    映画の監督とかもしたらええ作品が出来るんじゃないかなぁ

    ってか監督してもらいたい♪

    2019年7冊目

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著者プロフィール

1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。NEWS のメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。以降『閃光スクランブル』、『Burn.-バーン-』、『傘をもたない蟻たちは』、『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』 とヒット作を生み出し続ける。2020年刊行の『オルタネート』で、21年に第164回直木三十五賞候補、第42回吉川英治文学新人賞受賞、第18回本屋大賞第8位、第8回高校生直木賞受賞。アイドルと作家の両立が話題を呼んでいる。

「2022年 『1と0と加藤シゲアキ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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