(面白さ)の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041027530

作品紹介・あらすじ

『ワンピース』『進撃の巨人』『奇生獣』『スターウォーズ』『半沢直樹』、そして宮崎アニメ。現実と異なる「世界」を「人間」より優先して描く大作エンタメはなぜ成立する?なぜ<面白さ>は伝わるのかを徹底解析!

感想・レビュー・書評

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  • 人類が古代には土地を奪いあい、現代ではエネルギーを奪いあい…さて次は「時間」なのでは。というのが面白かった。
    確かに、落語などの1時間、30分のお笑いが、テレビによって5分、3分と短縮され、さらに動画アプリなどで1分、20秒とわかりやすいインパクト重視のエンタメになっている現状を見るとこの先、どうなってしまうのだろうと心配のほうが大きい。

  • ちょっと難しい…と感じた

  • スターウォーズ、半沢直樹(小説、TBSテレビ系)、踊る大捜査線(フジテレビ系)、となりのトトロ、エヴァンゲリオン、ワンピース、千と千尋の神隠し、失踪日記、寄生獣、精霊の守り人、進撃の巨人
    などの作品(世界観エンタメ ; 作品世界を優先している作品)を分析。

    著者の都留泰作氏は、漫画実作者、かつ、文化人類学者(京都精華大学マンガ学部准教授)。

    [目次]
    序章 エンタメの研究--文化人類学から考える
    第1章 空間感覚の研究--「スターウォーズ」「となりのトトロ」「精霊の守り人」
    第2章 時空感覚と社会空間の研究--「千と千尋の神隠し」「ワンピース」「進撃の巨人」
    第3章 人間の世界の研究--「踊る大捜査線」「半沢直樹」、そしてゾンビ
    第4章 "居住空間の外"の研究--「Jホラー」と「寄生獣」
    終章 私小説的な"世界観エンタメ"の研究--「エヴァンゲリオン」と「失踪日記」

  • 再読。

  • 映画やアニメやドラマや漫画のヒット作のエンタメ性(面白さ)を、感性からではなく様式的に言語化を試みた本。著者は漫画家兼文化人類学者である。空間・時間・人間関係・人間内面・異界といういくつかのパースペクティブから、ヒット作の「世界観」を分析し意味づける。ヒットの理由を、無理やり後付けするような感じもなくはないが、それなりに納得できる内容だ。分析の対象に、「小説」がないのがちょっと不思議であるが、エンターテインメントの将来を、《人間感覚を土地や都市や農地のように「資源」として開拓していく》と表現したのが印象深い。

  • この世界観エンタメはこうして考察をするからこそより面白いし、それを文化人類学者であって漫画家である筆者がするだからその光の当て方は面白いし興味深かった。

  • うーん、イマイチ。
    ストーリーよりも登場人物のキャラを重視するキャラクター小説やアニメの勢いがある今、あえて「世界観」という切り口でエンタメを考察する、というコンセプトは面白い。
    が、いかんせんふわふわしているのだ。
    本当に学者なの?とツッコミたくなるような話が延々と展開される。エンタメを文化人類学に引き付けるのはいいが、全体的に説得力に欠ける。アイデアは面白いのだけど。

    いわゆる考察厨がブログや掲示板に書いているのと大差ない気が、というイメージがどうしても拭え切れないまま読了。
    まあ新書なので、肩肘張らずにさらっと読むにはいいんじゃないでしょうか。

  • 「スターウォーズ」、ジブリ作品シリーズ、「精霊の守人」シリーズ、進撃の巨人、ワンピース、踊る大捜査線、始め、国内外問わず、エンタメ界を牽引するヒット作品の考察。どれも自分の好きな作品だったので興味深く読めた。
    ワンピースの、外の世界に出ようとする設定と、進撃の巨人の、ウォールの中に何としても留まろうとする設定の比較など。
    ワンピースは幾何学的に組み替えることによって、世界空間を平面方向に向けて東から西へ階層化している、との考察も面白い。
    著者の興味の持たせ方が大変うまく、「寄生獣」が読みたくなった。
    掘り下げていくと、こういったエンタメの設定って面白いんだよね。ネタは尽きることが無いと思う。これからも世の中に多くの素晴らしい作品が生まれますように。そして私もいつかそれにどんな形であれ、携われると良いな。
    興味のない部分は飛ばしたけど。
    ・ワンピースの世界観のミソは、それぞれの島が他から切り離され、次にどんな島があるかわからないというところにある。
    ・中盤以降の盛り上がりの舞台となる「グランドライン」は、地磁気が乱れて方位磁石が使えないという設定。しかし個々の島は、ある種の神秘的な磁力のようなもので他の島と引き合っており、この磁力はそれぞれの島に一定時間留まることで「ログポーズ」に蓄積され、
    次の島への航路が主人公達に差し出される。
    ・多くの巨匠達に共通するのは、彼らが謙虚な「アーティスト」だということ。

  • エンタメコンテンツを登場人物のキャラの掘り下げではなく、【世界観】から分析した本。
    文化人類学者がどうエスノフラフィをしてきたのか、それをもって世の中を観察し世界観を構築するとはどういうことかがよくわかる。
    なぜこのエンタメ(映画、漫画、小説)は面白いのか、を時間感覚やひとつのセリフからの世界の広がりなど多様な面から分析している。
    エンタメの考え方の基礎となる良書。何度でも読み返して噛み砕きたい。

  • <目次>
    序章  エンタメの研究~文化人類学から考える
    第1章 空間感覚の研究~『スター・ウォーズ』『となりのトトロ』『精霊の守り人』
     1.「宇宙空間」に挑戦する
     2.異世界をめぐる感覚論
    第2章 時空感覚と社会空間の研究~『千と千尋の神隠し』『ワンピース』『進撃の巨人』
    第3章 人間の世界の研究~『踊る大捜査線』『半沢直樹』そしてゾンビ
     1.社会的時空の「面白さ」
     2.社会的時空を描く
    第4章 ”居住区館の外”の研究~『J・ホラー』と『寄生獣』
    終章  私小説的な「世界観エンタメ」の研究~『エヴァンゲリオン』と『失踪日記』
    おわりに

    <内容>
    文化人類学者にしてマンガ家の著者による、映画・マンガ・アニメ・小説・ドラマの「面白さ」の研究。学者なので表現が小難しい部分があるが、ホントにこうした絵回が好きなのだとよくわかる。特に文化人類学の研究の仕方が、小説や漫画などのフィールドとよくマッチしているという指摘は鋭い。エンタメが描こうとしている世界は、文化人類学と同じであり、そこに気づいてここの書かれているようにアプローチした作品は、ヒットしている、との指摘は目から鱗だった。

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著者プロフィール

京都精華大学マンガ学部准教授/文化人類学、マンガ家

「2015年 『談 no.104』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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