- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041014561
作品紹介・あらすじ
北大西洋に突き出したスペイン岬。その突端にあるゴッドフリー家の別荘で、殺人事件が起きた。休暇中のマクリン判事のもとに遊びに来ていたエラリーはその捜査に付き合わされることに。国名シリーズ第9弾。
感想・レビュー・書評
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アメリカの作家「エラリー・クイーン」の長篇ミステリ作品『スペイン岬の秘密(原題:The Spanish Cape Mystery )』を読みました。
『アメリカ銃の秘密』、『チャイナ蜜柑の秘密』に続き、「エラリー・クイーン」の作品です。
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不可解で魅力的な謎に「エラリー」が挑む
北大西洋に突き出したスペイン岬。
その突端にある「ゴッドフリー家」の別荘で、殺人事件が起きた。
休暇中の「マクリン判事」のもとに遊びに来ていた「エラリー」はその捜査に付き合わされることに。
国名シリーズ第9弾。
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1935年(昭和10年)に刊行された「エラリー・クイーン」のミステリ長篇で国名シリーズの第9作(最終作)です。
北大西洋に突き出したスペイン岬にある「ゴッドフリー家」の別荘で殺人事件が起きた… この家にはいずれも一癖ある客が招待され、三人の未知の人物が加わっていたらしい、、、
殺されたのは、「ゴッドフリー家」の客人で悪名高いジゴロ「ジョン・マーコ」… 死体は海に向かってテラスの椅子に腰掛けており、マントにステッキといういでたちで発見されたが、マントの下は全裸だった。
休暇中の「マクリン判事」のもとに遊びに来ていた「エラリー」はその捜査に付き合わされることに… さらに、同時に起きていた「ゴッドフリー家」の娘「ローザ」の誘拐事件との関係とは…?
不可解で魅力的な謎に「エラリー」が挑む―なぜ犯人は被害者の服を脱がせたのか……。
スペイン岬の秘密(原題:The Spanish Cape Mystery )
「ローザ」の叔父「デイヴィッド・カマー」が「ジョン・マーコ」と間違えられて誘拐された事件が事件解決の鍵になっていましたねー あと、マントが残されていた理由も解決のポイントになりましたね、、、
犯人からすると計画外だったようですが、被害者が裸だった必然性や理由も論理的に説明されていて納得感のある幕切れでした… フーダニット、ホワイダニットの両面で愉しめました。
以下、主な登場人物です。
<家の者>
「ウォルター・ゴドフリー」
スペイン岬の地主。土地に別荘を建て、多くの使用人や宿泊客と住んでいる。
「ステラ・ゴドフリー」
ウォルターの妻
「ローザ・ゴドフリー」
夫妻の娘
「デイヴィッド・カマー」
ステラの弟
<客>
「アール・コート」
ローザ・ゴドフリーの婚約者の男性。
「ジョン・マーコ」
ジゴロとの悪名高きスペイン系美男。
「セシリア・マン」
元ブロードウェーの舞台女優
「ジョーゼフ・A・マン」
アリゾナ出身の男
「ローラ・コンスタブル」
太った中年女性。四十歳
<使用人>
「バーリー」
家政婦
「ジョラム」
雑役係
「ピッツ」
ステラ付きの女中
「ティラー」
従者
<ゆきずりの者>
「キャプテン・キッド」
船長と呼ばれる土地の顔役。
「ルーシャス・ペンフィールド」
弁護士
「ハリー・ステビンズ」
土地のガソリン商
「ホリス・ウェアリング」
留守の隣人
<捜査陣>
「マクリン」
休暇中の判事
「モリー警視」
地元の警察官
「エラリー・クイーン」
主人公。犯罪研究家の名探偵。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
巻末の解説に書いてある通り、国名シリーズの作品群を経て分かりやすく完成度の高いパズルを作り上げた。と同時に、ただ純粋なパズルに飽き、ストーリー面にもこれまで以上に力を入れている。
海に面した幹線道路からちょいと突き出した岬で殺人事件が起きる。言いたくても言えない、複雑な事情を持つ者達が絡んでいる。魅力のある舞台・ストーリー設定で、国名シリーズは終わる。 -
国名シリーズも全部読み終わった。達成感。典型的なフーダニット。読者にもフェアだし、普段ミステリを読まない人も楽しめる作品だと思う。
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国名シリーズの九作目、これが最後。制覇した嬉しさと寂しさとがない交ぜの心境です。
百万長者がお客を招いてひと夏を過ごす岬の保養地で、美男のジゴロが全裸にマントだけの姿で死体となって発見される。今回はこの、美男・裸・マント…という謎で引っ張っていく趣向です。
ところどころ、過去の国名シリーズ作品のエッセンスが感じられる。「またあのパターンか」と飽きてきたとも言えるが、一方で「私もクイーン作品ファンらしい読みができるようになってきたな」という満足感もある。犯人当てについても、細かいトリックまでは考えられなかったけれど犯人を当てることはできた。筋道立てて推理したわけではなくいわば「読者の勘」というやつで、こうきたらこうだろう、みたいなノリがつかめたというか(それで多少なりとも喜んでいたら、解説には「ミステリ・ファンばかりではない読者層に配慮した、ハイレベルながらもわかりやすいパズル」と書かれていましたが…)。
エラリー愛で視点の読みどころとしては、今回パパやヴェリーなどのおなじみキャラは登場しなかったのが寂しいところ。ですがパパの友人マクリン判事や、地元の警視モーリーが代わりの役目を果たしており、若エラリーの「有能だが生意気」という魅力を引き出すには、こうした人生の先輩ポジションの人物がいないとダメなんだろうなあ。第五作『エジプト』でもパパの代わりにかつての恩師という大学教授がいたし。
エラリー=イケメン路線も順調で、「あなたって眼鏡を取るとなかなかの美男子ね」「そうなんです。だから眼鏡をかけているんですよ、下心のある女性を遠ざけるために」ですってよ。
さて、国名シリーズ制覇ということで、ベスト3など考えようと思いましたが三つに絞れず。お気に入りはこの四つ。
1. エジプト/チャイナ
2. ギリシャ
3. フランス
読んでみようかしら…という人にお薦めするならハラハラドキドキのエジプト、自分で読み返すならチャイナかなあ。
ギリシャは読むの疲れたけど、読み終えたときの衝撃からのネタバレ感想巡りの徹夜に精が出た思い出。
フランスは、中学生の時に読んでエラリーかっこいい…と思ったのがこれだったので。今読むと、警察の鼻をあかして悦に入っている様子の生意気なること甚だし。好き。
思い起こせばエラリー国名シリーズに手を出したきっかけは、仕事のストレス解消のためだった。夢中になって止まらない読書をしたい→それならミステリー→どうせならかっこいい名探偵に癒されたい→エラリー!、ってことでこうなったのですが、この半年実に癒されました。2010年代以降の新訳版が出ていたことにもありがとう。あと角川文庫で一冊(『中途の家』)、ハヤカワでライツヴィルシリーズが何冊か、と未読の新訳が残っているので、まだ生きていける。 -
本格ミステリの場合、犯人を当てられてしまうのは恥ではなくて、むしろ作家の誉れなのだが、本作もまさに誇られるべき作品。巻末解説にも、かなりの読者が犯人を指摘できるはずとあるが、たしかにそんな感じ。
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2021/03/15読了
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真犯人はわかった。ただし、トリックの予測は的外れだった。
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ローマとスペインは中学のころ井上勇訳で読んでいる。それもあって、新訳で再読する気になった。奇しくも国名シリーズ第1作と最終作。
被害者が同情の余地なき悪人である点、あるべき衣類が見つからない点、両作品は似ている。その分クイーンの作家的成熟が味わえた。
眼鏡を外したエラリーが美男であることを女性に指摘されるくだり、何処かで読んだ記憶があった。スペイン岬だったのか。
情報たっぷりの解説も読み応え十二分。 -
この怪物を倒すには灰色の脳細胞が必要だ。
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エラリー・クイーン国名シリーズ9作目。
この表紙の本ははじめて読みましたが、エラリーって黒髪だったんだ…とびっくりした話。
犯人は、多分この人だろうなー、というのはわりと想像がつくのですが、ではどうやって、となるとなかなかにわかりませんでした。
というか、わかろうとして読んでいませんでした。
読者への挑戦状ありますので、そういった読み方もまた楽しそうではあるけれど、どうしても速く読む方を重視してしまいます。
面白かったです。