知らないと恥をかく世界の大問題14 大衝突の時代――加速する分断 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040824611

作品紹介・あらすじ

2022年2月のロシアのウクライナ侵攻以降、新しい局面に突入した世界。分断が加速し、対立が深まる中、世界のリーダーはどう動くのか? ロシアと隣接するヨーロッパNATO諸国の対立、覇権争いや台湾をめぐり対立する米中関係、新たなグローバル・サウスの動きなど。世界、そして日本が抱える大問題を、歴史的な背景を交えながらわかりやすく解説していく池上彰の人気新書「知ら恥」シリーズ最新第14弾。大転換の時代に欠かせないニュース解説本だ。

感想・レビュー・書評

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  • 今年も4〜5月ごろになると「あ、もうすぐ池上さんの知ら恥新刊出るな、あのニュースを池上さんならどう書くんだろう」とワクワクしているくらいには毎年愛読している知ら恥シリーズ。
    やっぱり話題はロシアやアメリカ、中国がほとんどを掻っ攫っている中で、気になったのはトルコなどの中東とインドの動向でした。
    この本が出版された後すぐに、スウェーデンのNATO加盟にトルコが合意したことも、この本を読んでいたから尚更目を引くニュースだったし、インドの地理的、政治的立場に立って世界の現状を見ていくと、なるほどインドが「全方位外交」をしている理由や理屈が明確になった気がします。


    特に今回印象に残ったのは、「加害の歴史は忘れてしまいがちだけれど、被害の歴史は忘れないものだ」という言葉。まさにその言葉通り、国と国が過去の歴史から軋轢が生まれ今も歩み寄れず複雑化している中で、現スリランカや台湾は、日本の過去の加害を許し受け入れ、親日でいてくれているという事実。「憎しみは憎しみによって消え去るものではない、慈悲によって消え去るものである」…どれだけ寛大で勇敢な心なんだろう。。

    この言葉に甘んじず、被害の歴史だけでなく加害の歴史をしっかり見つめ受け止めていかなければならないと痛感した。まずは史実をちゃんと知ることから始めたい。


    昨今ただただ外国にやたらお金を撒き散らしてるなぁと思うだけで、過去のその国との繋がりや歴史、背景などを見ようともしなかった自己を反省しました。笑
    ちゃんと事実を知るって難しい。

  •  池上彰の本はわかりやすいのだが、どれも安直すぎて感動がない。オーディブルで十分だが、聴く価値は十分あるのでオーディブルに感謝しています。

  •  毎回読んでいるが、1日で読了出来るほど分かりやすく書かれている。
     内容も少しずつアップデートされているが、本シリーズや池上彰さん関連の本をいつも読んでいる人には、目新しい発見は少ないかもしれない。
     しかし世界情勢の論点を分かりやすくまとめられており、入門本としてや子供に勧めるには良書だと感じた。

  • 「ユーラシア・グループ」のあげるリスク10をもとに、ずらずらと記述。図解なども豊富だがこれは編集部がかいているのか。

    ・分断がさらに進む世界
    1:「左右上下」に分断されたアメリカ
    2:ならずもの国家ロシアをどうする
    3:欧米にそっぽを向く中東
    4:中国の斜陽、インドの台頭
    5:激戦の行方、各国の思惑~ウクライナ
    6:岸田政権は「ショックドクトリン」か
    ・ブローバルサウスの逆襲

    ウクライナのネオナチ
    プーチンの思考
    第二次世界大戦の時ドイツ軍がソ連に侵攻した時、それまでのソ連統治に反対していたウクライナの人たちの間で、ドイツ軍に協力した存在があった。一方でソ連軍として戦ったウクライナの人たちもいた。ウクライナでは敵味方に分かれて戦った。ドイツ軍に協力したウクライナ人の民族主義者同盟の指導者がステパン・バンデラ。ドイツ軍に協力しウクライナ国内のユダヤ人狩りに協力していた。ソ連勝利後バンデラは唾棄すべきナチスの一味という公式見解。だがソ連が崩壊してウクライナが独立果たすと「ウクライナ独立のために戦った」という再評価された。・・これがプーチンは許せない・・ので再評価したウクライナはネオナチだ。

    2023.6.10初版 図書館

  • 私にとって池上さんは、実の父親と同世代であり、小学生の頃に「週刊こどもニュース」を見ていた身としては、とても親しみ深い。こうやって毎年本を執筆くださり、世界のニュースを手軽にかつ満遍なくアップデートできるので本当にありがたい。
    安倍首相の銃撃事件、統一教会の問題、ウクライナ戦争の背景にある宗教の問題、日本を取り巻く地政学的な課題、米国社会の分断などなど。普段目にするニュースではサラリと読み飛ばしている内容だが、今一つ理解できていなかった。この本では、それぞれしっかり体系づけて解説くださり、おまけに面白おかしいイラストまで付いているので、とても分かりやすい。毎日なんとなく新聞を斜め読みするよりも、2時間程度集中して読むだけで、スッキリと理解できる。
    今後も「ニュースのお父さん」にお世話になりたいと思う。

  • ここ数年、毎年お世話になっています。
    同じ説明を繰り返してくれることで定着するし、
    さらに一年でアップデートされた情報が乗っかってくるので、読んでいて賢くなった気分です。苦笑

    世界史や政治経済に疎かった私ですが、
    知ろうとすること、興味はここ数年でかなり上がりました。

    先日読んだ宮崎駿さんのインタビューの中で、
    戦争は終わったと思っていたのに、
    ユーゴスラビアでの内戦は衝撃的だったというような話が掲載されていました。
    本書内でも、ロシアのパートで登場しています。

    守るためには力が必要で、
    力を調達するためにはお金が必要、
    というサイクルが国益のために私益のために
    どんどん罪のない無力な人たちを殺してる現実が、
    池上さんのわかりやすい言葉で淡々と描かれています。
    自己保存の本能って、国家という大きな単位でも存在するんだなあと。

    ロシアとウクライナの戦争もいつまで続くのでしょうか。
    個人的には値上がり値上がりで、給料は増えないし、
    色々苦しいなか、世界中どこでも問題が噴出していて、
    ニュースを見るたび気持ちがふさぐことが多いです。
    でも、感情だけに引きずられることなく、
    本書のように事態を見つめ、前後を確認して、考えることを忘れないようにしたいです。

    来年はもう少し良いことが本書の中で描かれていれば良いなあ。

  • 池上さんからはたびたび「新聞を読むように」と言われています。
    しかし新聞は情報が多すぎ。
    いちおう毎日全体に目を通していますが、
    この本で初めて知ったことは多いです。
    やっぱり池上さんの本を読むのが一番と思ってしまいます。
    三つほど記録。

    なぜフィンランドがNATOに加盟できたのに
    スウェーデンはできないのか?
    もともとトルコが反対していたのは知っていました。
    その後ストックホルムのトルコ大使館近くで極右によるデモがあり、
    「コーラン」が燃やされたからでした!
    でもフィンランドはスウェーデンとロシアの間に位置しますから、
    フィンランドがNATOに守られれば
    結局スウェーデンも守られるのです。

    サウジアラビアとイランが関係改善に動いています。
    中国の仲介だそうです。
    また、アメリカとうまくいっていたサウジアラビアは
    アメリカから距離を取り中国と接近するようになります。
    中国は欧米のように「民主主義」「人権」など
    うるさいことを言わないから良いようです。
    なんとなくわかる気がしますね…。

    最後にやっぱりウクライナ侵攻について書かないわけにいきません。

    〈ウクライナ国民の命を守るためには、
    早々に「悪魔と握手」をしたほうがよかったという識者もいます。
    でもそれはロシアの勝利を認めることになります。
    ロシアが占領した地域では、
    ウクライナの人たちが次々に殺されているのです〉

    〈ナチス・ドイツがポーランドを侵略したとき、
    あるいはソ連に攻め込んだとき、
    抵抗せずに降伏すればよかったのでしょうか。
    もし今後、中国が台湾に攻め込んだら、
    台湾の人たちは無抵抗で中国に従えばいいのでしょうか。
    論理的にはそういうことです。
    それぞれの「正議論」があると思います。
    ウクライナの東側にはロシア語を話す人が大勢住んでいるのだから、
    ロシアに割譲すれば戦争にならないのでは、
    という意見もあります。
    でも、割譲したところにもウクライナ人は住んでいるし、
    ロシア語を話していると言っても、
    これまで彼らはウクライナの国籍を維持してきました〉

    うーん。数日前に停戦が良いと結論付けた私でしたが
    また悩んでしまいます。

  • 今、世界で起きていることが、なんとなくではなく、はっきりとくっきりとよく分かったような気がする。ニュースで聞きかじっていたことが、理由までくわしく分かり、読んでよかったなと思える一冊。池上彰さんのようなニュースを読み解く力って、今求められるものなのかもなと思った。

  • 【内容紹介】
    2022年2月のロシアのウクライナ侵攻以降、新しい局面に突入した世界。分断が加速し、対立が深まる中、世界のリーダーはどう動くのか? ロシアと隣接するヨーロッパNATO諸国の対立、覇権争いや台湾をめぐり対立する米中関係、新たなグローバル・サウスの動きなど。世界、そして日本が抱える大問題を、歴史的な背景を交えながらわかりやすく解説していく池上彰の人気新書「知ら恥」シリーズ最新第14弾。大転換の時代に欠かせないニュース解説本だ。

    ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

    今世界のリスクとなっている「ウクライナ問題」「台湾有事」や、新しい動きとしての「インドの台頭」といった話題について、過去からの背景に触れつつわかりやすく記した本です。「そもそも何でロシアはウクライナに侵攻したんだっけ?」と書くとすごく馬鹿っぽく見えますが、これについて歴史的経緯も含め説明できる人は実はとても少ないのではないかと思います。書いてあることが全て本当か、裏付けの確認は必要だと思いますが、知識の幅が広がりました。
    個人的に注目したいのは、インドを始めとした「グローバルサウス」に関する話題です。特に、グローバルサウスがこれからの世界で存在感を高めることを念頭においた中国の戦略は、全面的に褒められるものではないものの、鋭い先見の明があると感じました。日本も同じ思想でアフリカ諸国に技術支援などを行っています。関係者の皆さんにはぜひ頑張ってほしいです。

  • ロシアでブリゴジン率いるワグネルが
    武装蜂起したとのニュースが報道された
    現在、戦争請負集団ワグネルの解説が
    記載しており、どんな組織なのかが
    よく理解ができる。
    深読して誰かに伝えたい。

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著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。

「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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