地政学入門 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040823881

作品紹介・あらすじ

世界を動かす「見えざる力の法則」、その全貌。地政学テキストの決定版!
アメリカの対タリバン戦争敗北は、地政学を軽視した結果である。

地政学は帝国と結びつくものであり、帝国は国民国家を超える。
帝国の礎にはイデオロギーがあり、それは「物語の力」が核となっている。
地政学はナチスの公認イデオロギーとなっていたがゆえに封印されていた、危険な「物語」でもある。
危うい物語が浸透していくと、世界は知らぬ間に大きな危機を迎えることになる。
無批判に受容してはならない政治理論のエッセンスを、国際政治の具体例を基に解説していく珠玉の講義。
米中対立の激化に、コロナ禍の影響からイランを筆頭に勢力圏の再編が進む中東、ブロック化と理念維持の狭間で苦闘するEUに反日と反韓の疑似戦争が続く東アジア。
世界はいまだ、グローバルでなくインターナショナルのせめぎあいが中心となっている。
帝国化する時代を読み解くには、地政学が大きく、有用な鍵となる。

■宗主国なき帝国、植民地なき帝国
■何が島で何が岩か、暗礁か
■「イスラム国」は「原因」ではなく「結果」
■琉球占領の計画もあったアメリカ
■中国西側が「イスラム国」化する危険性
■信頼醸成サミットの目的
■国旗・国歌が制定されても民族は形成されない
■宗教は重要な地政学の要因
■十字軍が再び

※本書は2016年7月に晶文社より刊行された『現代の地政学』を改題のうえ、加筆修正したものです。

【目次】
新書版まえがき
まえがき
第一講 地政学とは何か
第二講 ハートランドの意味
第三講 ヨーロッパと中東
第四講 海洋国家とは何か
第五講 二一世紀の地政学的展望
あとがき
参考文献一覧

感想・レビュー・書評

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  • ユングによると錬金術師の特徴は、そこにいる人たちの無意識の領域を支配する能力を持っていること。
    いかに荒唐無稽なことであっても、この人が言うならば本物だと思うような人間関係を構築し、いわば磁場を変えてしまう力がある。

    マッキンダーの理論「ハートランドを支配するためには東欧をしはいしなくてはならない。ハートランドを支配した者が世界を支配する」
    マッキンダーが警戒するのは、ロシアとドイツ。そのロシアとドイツにくさびを打ち込むために、東欧に海洋国家(民主主義国家)が必要。

    なぜ鎖国中の日本でオランダとの貿易が認められていたのか?
    →オランダの宗教がプロテスタンティズム、カルバン派だから。


    オランダのカルビニズムには「世界をカルビニズムの考え方で統一していこう」という発想がないから。

    カルビニズムでは、人間は生まれる前から「救われる人」と「永遠に滅びに定められている人」が既に決まっていて、地上の我々はそれについて知ることはできないと考えられている。

    だから力によって他人に宗教を押し付けることに魅力を感じない。

    それに対してカトリシズムは、全世界にキリスト教を布教することに使命を感じている。

    イラン=シーア派
    サウジアラビア=スンナ派
    カタール=スンナ派
    イスラム国=スンナ派
    サダムフセイン時のイラク=スンナ派


    イランとサウジアラビアはバチバチ
    イランがイエメンのフーシー派という、シーア派系の部族の武装組織を支援して、サウジアラビアの体制を根っこからひっくり返そうとしている。

  • 入門書でありながら、実際の国際情勢の踏み込んだ解説もあり、非常に勉強になる一冊。

  • ちょっと入門には難しすぎたかな…

  • 入門と言いながら、示唆に富んだ内容で面白い。
    ウクライナとロシアの対立、トランプが大統領になったなら、など、当時の時世を地政学から読み解く。マッキンダーの著書を読みたいとも思った。

  • 地政学入門というタイトルだが、少し難しいと思った。

    だが、他国の地政学的視点や、基礎的な考えが学べて参考になった。

  • #佐藤優 著「#地政学入門」( #角川新書) 読了

    やっと読み終わったな、って感じの書籍。
    結構前に買っていたものの、読もう読もうと思いながら、中々手が付けられていなかったですが、今回読み切りました。

    (ちなみに、こういう時は、無理して読まず寝かします。寝かして時が来たら、読むというスタンスを取ります。「天命を待つ」みたいなことをしています)

    今回、このタイミングで読んだことは、その天命だった気がします。
    長くなるので詳細は書きませんが、通教の文学部で勉強したいことが見つかった気がします

  • (2016年7月に晶文社より刊行された『現代の地政学』を改題のうえ、加筆修正)

  • 地理(山)、宗教、人種

  • ユーラシアと中南部アフリカの2つのハートランドを中心と考え、その結節エリアのアラビアを要としながら、ヨーロッパとモンスーンアジアの2つの沿岸を海洋国家の拠点として世界を見る視点。

    サハラは緩衝地帯、アメリカ大陸は範囲外のヨーロッパ中心の整理。

    海洋国家であった日本が、江戸時代のオランダと明治時代のイギリス、そして太平洋終戦後のアメリカ、というその時々の一番強い海洋国家をつながる先に選んでいる、選ばざるを得なかったという点が、植民地支配との対比と合わせて面白い視点。

  • 著者の行った講義をもとに編成されていて、私にとっては地政学を学ぶ第一冊目。内容にはどうにかついていけたが、もっと基礎固めの必要性を実感。と共に地政学は生き物であり、最新をチェックしていく事も大事だと言う事が収穫。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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