人間使い捨て国家 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040823270

作品紹介・あらすじ

(目次)
まえがき
第1章 悲惨な現状 ―世界はこんなに働いていない
第2章 穴だらけの法律
第3章 固定残業代 ―ただ名前を変えているだけのインチキ
第4章 コンビニ ―現代の小作農
第5章 外国人労働者 ―現代の奴隷労働
第6章 公務員 ―公営ブラック企業
第7章 自民党と財界
第8章 脱・人間使い捨て国家
あとがき

感想・レビュー・書評

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  • 読み進めていく度、どんどん悲しくなっていく。
    が、これが現実なんだと非常に心苦しくなる
    ざっくりした感想として、まず残業代未払い。
    これは私も経験したことがあるので非常にわかる
    在籍中の数年後、本部に匿名電話したら会社全体を巻き込む騒動になった
    その後一括まとめて支払われたので
    言ってみるもんだな~と心から思った当時20代の思い出。
    また、高度プロフェッショナル制度。要は国を挙げての搾取。
    固定残業代、というなの残業ありきの制度。
    それ自体がおかしいのに…
    そしてコンビニオーナーの利益率について
    本部からの丸投げがひどい、そりゃニュースにもなるわ。
    ブラックバイト、在留外国人の不正雇用は日本まじえぐいなと思うし
    公務員の長時間労働も目を当てれないほど働きすぎ。
    結局政治家の都合のいいのように仕組まれてたりするわけで
    なんとも駒のように扱われてるなと
    まさに負。なんも言えない。
    どうしたらいいのか、自分自身も駒だけど考えさせられた。

  • 資本主義の発達限界 ; ネオリベラリズム下における、政治的努力の欠如。
    「自己責任」という言葉が、一般人の無知(無垢)や立場の弱さにつけこんで、異常なまでの搾取を可能にする。この事態が社会的に見過ごされる過剰な搾取のしわ寄せを、「家族」共同体に齎す。小さな社会の崩壊は連鎖して、大きな社会における公共の福祉は瓦解し、行政や経済はますます弱者を省みなくなる。

  • コンビニ会計の恐ろしさを知る。
    通常 売上-仕入れ原価=粗利
    異常 売上-売上原価=粗利
    つまり売れ残りや万引き分はオーナーが負担
    (オーナー負担は80%程度)

    そしてロイヤリティは粗利×60%〜70%
    手数料といえば30%前後かと思っていたので、その逆の70%!!

    とてもオーナーなんてやれない。労基法の保護もないので労働者よりキツい。

  • やはりこの国は異常だ

  •  日本を蝕む労働搾取を切る。

     残業の問題やみなし、高プロなど、外国人技能実習生など様々な労働の問題を細かいデータと共に網羅。この1冊でそれらの労働問題の重要な資料が揃うと言えるくらい。
     終章では日本がこうなった政治的な問題まで語られている。具体的な改善策も挙げられているが、それらを実現するにはやはり政治的な変革も重要なのだろう。

  • (図書館で借りた本)
    読み始めた(6月22日〉〜読み終わった(7月2日)

    著者の「データで見る 日本経済の現在地」を読んでからこの本を読んでいる。
    「日本人の知らない、外国人から見た日本の良さ」などのテレビ番組を見て、少し見直した感があったが、全くの逆。恥ずかしくなった。悲しくなった。
    どんな組織にも「自浄作用」があるが、無いに等しい。
    すでに一般企業で年間360時間の残業などを何年も経験したし、組合役員も経験したことがある。
    幸い、早期退職したので、すでに会社から離れているが、少し休んだらまた働こうかと思っていたところ。この本を読んで働く気持ちがゼロになった。

    日本は腐っている。ブラック企業が潰れる前に、ブラック国家が破綻するだろう。
    でも。その方が良いかもしれない。
    著者はそうは言ってない。簡単な道のりではないが、変えることはできると思っている。
    まずは政治。そして法律。
    他力本願ではなく、一人一人の努力で、と。

  • 日本の幸福度の低さや潜在的に抱え込んでる問題の多くは、劣悪な労働環境と条件がまかり通ってしまっていることが原因だと思う。

    金のためならどんな非人道的な扱いも厭わない想像以上の人殺し企業は多く、国の政策もそれを後押しするように動いている。

    この日本で生きている限り誰もが犠牲になる可能性はあるし、犠牲になってしまった人を自己責任扱いで済ますのはおかしい。

    自分もいつ被害に遭うか分からないからだ。

    加害者が守られるような社会構造なのであれば、社会構造を変える行動に加え、労働時間の記録など、できる限りの自己防衛も怠ってはならない。

  • ●我国の安くて便利は低賃金長時間労働に支えられている。それを野放しにしてきた事が低迷につながっている。まさに人間の使い捨て。
    ●月残業が80時間が過労死ライン。単発なら100時間。
    ●割増の残業代は、長時間労働に対するブレーキとして働く。しかしそもそも残業代を払わない企業には関係ない。
    ●三六協定を締結していない企業が半数。違反しても罰金30万。
    ●フレックスタイム制でも残業代は発生する。
    ●タニタの個人事業主制度は労基法逃れ、社保負担なく契約も簡単に切れる。企業はメリットしかない。
    ●セブンイレブン共済会、一般の6倍の死亡率。
    ●直営店だけで行くと粗利率は約28%。ところが大半がフランチャイズであり、ロイヤリティーの収入が多いので、全体だと91%と言うありえない数字になる。
    ●しかもコンビニのロイヤリティーの計算は異常だ。原価には売れた商品しか入れないことになり、在庫のロスは全てオーナーが被ることになる。本来なら10個仕入れて5個しか売れなかった場合でも、5個売り上げから10個の仕入を引いた差額が粗利となるはずである。しかしコンビニは5個の原価しか引かずその利益に対してロイヤリティーをかけてくる。
    ◾️売価100円仕入れ50円だとして5個売れたら
    ①500-500=0儲け無しなのだが
    ②500-250=250円にロイヤリティをかけてくる
    ●廃棄ロスを減らすための値引き販売も許してくれない。
    ●そして最後はドミナント戦略により廃棄に。

  • 図書館で借りた。概ね同じだけど教育軽視が今の日本をつくたったとしか思えないです。

  • 単なる労働問題のみに議論が閉じていないところが良いと思う。

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著者プロフィール

弁護士。1984年、和歌山県生まれ、栃木県育ち。東京都立大学法学部、法政大学法科大学院を卒業。主に労働事件、消費者被害事件を担当。ブラック企業被害対策弁護団所属。著書に『アベノミクスによろしく』『データが語る日本財政の未来』(集英社インターナショナル新書)など。ブログ「モノシリンの3分でまとめるモノシリ話」管理人。

「2023年 『データで見る日本経済の現在地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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