MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論 (角川新書)
- KADOKAWA (2019年12月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784040823232
作品紹介・あらすじ
「財務省が今、最も恐れるMMT。本書こそまさしく、その本格的入門書だ!」――藤井聡(京都大学大学院教授・前内閣官房参与)
「貨幣」と「財政」の真実の姿を暴き出し、世界を揺るがせている経済理論・MMT(Modern Monetary Theory)。
2019年8月、待望の邦訳が刊行されたランダル・レイ『MMT現代貨幣理論入門』の監訳者自らが、そのエッセンスを徹底解説。
誤解や憶測が飛び交う中で、果たしてその実態はいかなるものなのか?
根底の貨幣論から具体的な政策ビジョンまで、この本一冊でMMTの全貌が明らかに!
---
【目次】
はじめに
序章 MMTはなぜ注目されているのか
第一部 MMTの貨幣論
第一章 貨幣の本質
第二章 預金のメカニズム
第三章 主権通貨国における政府の機能
第二部 MMTの政策論
第四章 MMTの租税政策論
第五章 機能的財政論
第六章 就業保証プログラム
第三部 MMTから見た日本経済
第七章 日本は財政危機なのか
第八章 日本経済には何が必要なのか
第九章 民主主義はインフレを制御できるのか
おわりに――MMTをどのように生かすべきか
感想・レビュー・書評
-
MMTについての基本的な考え方と、MMTに対する批判、そして反論、日本が置かれている状況がまとめられている。
新書ながらに歯ごたえのある内容だが、読み進めていて疑問に思ったところがだいたい数ページ以内に解決されるなど、読みやすい構成だった。
経済理論をまったく知らない人間からすると、MMTは実情を捉えているように感じられる。しかし筆者のMMTに対する熱量が噴出する箇所が何箇所かあり、果たして公平な目線で描かれているのか疑問におもってしまうことが多々あった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
序盤の商品貨幣論と信用貨幣論を過ぎた辺りから理解が困難になった。
前提知識を蓄えて、いつかリベンジしたい。 -
なんか一時期よくMMTの文字をネットで見たので、何だろうと思ってたので、流し聴き程度に。現代の主流派経済学と対立する理論とのこと。
読む順番を完全に間違えた気がします。自分みたいな門外漢はまず主流派経済学の基礎を充分におさえてから、対比として見るべきでした…恥ずかしい… -
MMT(現代貨幣理論)の妥当性を説く内容。
義務教育レベルの経済学の知識すらも怪しい自分にとって、最初はほとんど理解できなかった。
けど、この本の言っている意味が少しずつ分かってきて、今では、主流派経済学より、MMTの方が正しくないか?との考えに至っている。特に貨幣の本質論の捉え方は、MMTの方が適切だろうね。不換紙幣が価値を認められている現在、主流派経済学の考え方は、現実離れしている。
ただ、MMTは、国際的視点で経済を見た場合に、通貨発行権の所在が曖昧になるため、その貨幣観を再構築する必要があるはず。この問題をどう克服するのか、疑問に思う。
また、この本では、貨幣の本質論に関する議論と現在の経済政策に関わる議論とが、どのように関係するのかという点(前者が後者に対してどのように作用するか、その論理必然性)について、詳しい論証がされていないように思われる。おそらく、ケインズとか、20世紀の経済学の変遷を学べば、この点の理解がスムーズなのだろうが、、、経済学好きの友達が欲しいところ。 -
【文中より引用】
・日本や米国のように「通貨主権」を有する政府は、自国通貨建てで支出する能力に制約はなく、デフォルトを強いられるリスクもない。財政赤字や国債残高を気にするのは無意味である。
・政府にとって、税金は財源ではなく、国債は資金調達手段ではない。政府が先に通貨を支出しない限り、民間部門は税金を納めることも、国債を購入することも論理的に不可能である。税金は所得、国債は金利にはたらきかけ、経済を適正水準に調整するために政策手段である。
政府は「最後に雇い手」として、希望する人々全員に、一定以上の賃金水準で就業する機会を約束することができる。この「就業保証プログラム」は、「完全雇用と物価安定」という公共目的に資する、強力な経済安定装置である。 -
MMTの主張を追うことで、改めて貨幣とは何かについて、考えを整理する機会になる。ただ印象としては、いくら財政赤字を恐れることはないと言っても、結局は「極端なインフレにならない限り」という保留がつくわけで、そうであるならば、MMTと反MMTの主張は程度の差でしかないような気がする。もしかしたら程度の差こそが問題なのかもしれないが。あと、MMTが前提とする「主権通貨国」の地位も、絶対的・永続的なものではないだろうと思う。
-
有名なMMTの本の監修をされている島倉原氏の本。
MMTに至るまでのマネーの歴史から、MMTにより日本と世界の経済はどのように変化するのか。そして、リフレ派との対比、MMTのデメリットまでを丁寧にまとめている本。
再読希望である。 -
自国貨幣の信用があるうちはバンバン刷って国債も限りなく発行し続けて財政赤字でも全然大丈夫だよ何故なら日本は何十年も実行しているのに全然インフレにも
通貨危機なってないジャンが根拠らしい。日本が失敗したのは同時に緊縮財政、消費税増税で財政健全化をしようとした政策がダメだったらしい。米民主党左派が支持しても総選挙を控えこの素晴らしい理論は日本ではどの政党もシカト中らしい(泣) -
MMTと主流派経済学では、貨幣観が違う。
商品貨幣論は誤り=ババ抜き貨幣論と同じ。貨幣の使用は社会の決まり事。
メソポタミアには、粘土板が貨幣に使われた証拠がある=貴金属貨幣より古い。
MMTは信用貨幣論=単に信用されているから貨幣とされる。紙幣も同じ。
租税が貨幣を動かす。国定貨幣説。
主流派経済学は外生的貨幣供給説=通貨供給が預金と貸し出しを動かす。
MMは、内生的貨幣供給説=銀行貸し出しが預金と通貨を生み出す。マネタリーベースとマネーストックの間に貨幣乗数のような関係はない。
政府は国家に対する支払い手段として貨幣を受け取る、という債務を負っている。
インフレが発行限度を決める。財源は不要。税金ではない。
債務引き受けを禁止していながら、実質的に所持するのはおかしな規定。
政府の赤字は、通貨発行が伴うから、むしろ国債金利は低下するはず。
貯蓄が国債消化の原資になるわけではない。むしろ国債発行が貯蓄を創造する。
金利が上昇したら、国債発行を減らす=中央銀行が国債を市場から購入する、と金利が低下する。=国債が高く売れる=金利の低下。
海外との経常収支の黒字は、さらに国債発行余力となる。
国内民間部門と政府部門がともに赤字だとバブルが発生している。民間の赤字は、持続的ではない。
国際収支が大幅黒字なら、民間も政府も黒字はあり得る。
MMT=無税国家ではない。租税は国家を動かすもの。
社会保障税、消費税、法人税は悪い税金。
機能的財政論=アパラーナー、「機能的財政と連邦債務」
市場メカニズムにゆだねるのは、現代の資本主義経済にとっては無意味。取引費用が無視できない。
「いってみれば、人々が月を欲するがために失業が生ずる」ケインズ=貨幣を月になぞらえて、貨幣選好が失業を生むことを言っている。
国債発行は、政府の資金調達ではなく金利調整手段。
就業保証プログラムによって、失業対策をする。事実上の最低賃金。オーストラリアの羊毛価格安定プログラムからヒントを得た。政府雇用が調整弁となる。
ベーシックインカムや最低賃金制度との違いは、労働市場から退出させて総生産力を低下させる。=インフレ圧力になる。
デフォルトや通貨危機の真の原因は、固定相場制または外貨建て債務。アルゼンチン、メキシコ、タイなど。
ロシアの変動相場制下でのデフォルトは政治的な意味合いがある。
1970年代のイギリスとイタリアの危機は、自国通貨レートを高く維持しようとした結果である。
デフレは自己増幅構造がある。
脱出のためには、ポストケインジアンは、財政支出が手段と考える。ニューケインジアンんは、新古典派を基礎としているので、供給側の要因を考える。需要のコントロールは短期的効果しかない。
人口減少が低成長やデフレの理由ではない。ハンガリー、ラトビア、リトアニアなどは、経済成長している。
機能的財政が年金2000万円問題を解決する=実質GDPを最大化すること。財政を均衡させる必要がなければ年金財政への政府支出も可能となり、その結果GDPは最大化する。
『赤字の民主主義』=インフレによる不均衡の蓄積は、構造的な失業を増大させる。財政拡大期は実際にはインフレ率低下期であった。
ハイパーインフレは、極端なモノ不足、供給不足から。日常的に起きることはない。
高橋財政派、MMTの機能的財政そのもの。日銀の直接引き受けでデフレを克服した。