- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784040735108
作品紹介・あらすじ
同性愛者でありながら、異性との恋愛や家庭を持つことに憧れ、自分のセクシャリティを隠す高校生・安藤純と、ボーイズラブが大好きな女子高生・三浦紗枝。ボーイズラブに理解を示した純に紗枝は惹かれ、やがて告白する。純には年上既婚の彼氏がいたが、「ゲイの自分もふつうの生活ができる」ことを確認するため、あえて紗枝の告白受け入れ、付き合うことに。しかし、偽りの恋愛はうまくいかず、ふたりの関係は次第に歪んでいく。そんな中、純が悩みを唯一共有していたネット上の親友「ミスター・ファーレンハイト」が自殺する。取り乱した感情を抑えきれなくなった純は、既婚男性の彼氏に縋るが、慰められる現場を紗枝に目撃され、二人の関係は破滅。さらには、学校中にゲイだと広まり、偏見の目にさらされた純は、誰にも受け入れられない絶望を胸に、校舎から飛び降りる・・・。
感想・レビュー・書評
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性に関する考え方とか、見方が変わった作品でした。同性愛者で普通になれないことを悩む純の深い言葉。BL好きで、ちゃんと同性愛者を理解しようとする三浦さん。純と同じく同性愛者で、純のネット上の友達ミスターファーレンハイトの言葉。どれも刺さるものがありました。
私は、同性愛者も、異性愛者も普通だと思います。人を愛するという点では全く同じだからです。ただ、「同性の方しか愛せない」、「異性の方しか愛せない」それだけの問題ではないでしょうか。それだけの問題に抵抗がある人が減り、誰もが自分が好きな人を自由に愛せる世界になることを願っています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本屋でタイトルを見た時に、「これは読まないといけない(絶対におもしろい)」と思った。
読んでみて、こんな心を抉られるような、感情を揺さぶられるような、読みながら読むのがつらくなるくらいなのに読み進めずにいられない。
久しぶりにこういう小説に出会えてよかった。
あらすじを簡単に言えば、「同性愛者であることを隠している主人公の男子高校生とBL好きのヒロインの女子高生の青春ラブストーリー」なのだけれど、作中に出てくるように、例えば、物理の問題で「ただし摩擦はゼロとする」や「空気抵抗はないものとする」とあるように、世界を簡単に理解するために、カテゴリーにはめ込まないで欲しい。
ただ、読んでほしい。後悔はしないと思う。 -
知り合いにゲイのカップルがいたり、普段からLGBTの記事を読むようにしていたので、サラッと読める小説かなあ?と迂闊に手を出しました。
読み初め、想像を超える生々しさに動揺。最後まで読めるかしら?なんて心配したり。でもそんな心配なんて無用だった。
2020年に読んだ本の中で1番面白い!とまでは行かなくても(たくさん面白い本を読んだので、どの本も甲乙つけがたい…)、ゲイ等のマイノリティな立場の人への考え方がすごく変わった。ほとんどの同性愛者は同性婚をしたいのではないかという勝手なイメージが崩れた。
そりゃそうだよね、たくさんの子供や孫に囲まれて幸せな老後過ごしたいよね。なんでそんな当たり前なことになぜ気付かなかったんだろう…
2020年読んで良かった本No.1です! -
ネットで知って気にはなっていた本。書店で手に取りました。タイトルが独特ですね。
ライトに書かれているので青春の青臭さもありながら、性的マイノリティーについて深く思うこともありで、なかなか読みごたえがありました。わたしは読みやすかったと思います。 -
お気に入りの本。
有識者であれば「え?」と思うタイトルも、後半できちんと説明されています。
自分が卑屈な分、素直な三浦さんはちょっと苦手。
なんとなく続編は読まない方がいい気がして、手が出せない。 -
読了。ゲイである高校生がBL好きな同級生の女の子と付き合い始めて自分の性癖とそれに抗えない自分に対する葛藤とで…凄く深くて読んでてちょっと苦しくてなっちゃいました。
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自分がゲイだった場合、そのことを周りに言えるのかと考えてみたが、そうできる自信がない。
それは周りからの目が変わってしまうと思うから。
主人公のゲイを隠しながら生きているときの心の声が苦しみを物語っている。
周囲が"普通"と話していることや、"当たり前"とされていることに対して、毎回葛藤しながらそっち側の世界の"常識"で生きていかなければならないのだから。
常識なんてないことを示してくれる一冊。
性についても深く考えさせられる。