軽装版 虚空の旅人 (軽装版 偕成社ポッシュ)

著者 :
  • 偕成社
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本棚登録 : 642
感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037500504

作品紹介・あらすじ

海にのぞむ隣国サンガルに招かれた新ヨゴ皇国、皇太子チャグム。しかし、異界からの使いといわれる"ナユーグル・ライタの目"があらわれ、王宮は不安と、やがて恐怖につつまれる。海へと消える運命の者を救うため、呪いと陰謀のなかをチャグムは奔走する。『精霊の守り人』からさらに広がる世界、守り人シリーズ4作目。

感想・レビュー・書評

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  • 守り人シリーズ、4作品目。

    これまで、新ヨゴ皇国、カンバル王国が舞台だったのが、一気に世界が広がっていく。と同時に、侵略、戦争といったきな臭いものが漂ってくる。

    2つの序章の、読む側を惹きつける強さが素晴らしい。哀しい運命のエーシャナと、これまた悲しい運命になってしまったスリナァ。ここから、バルサやチャグムとどう繋がっていくのか、先を急ぎたくなる見事な書きっぷり。

    チャグムの新ヨゴ皇国と、隣国で多くの島を有して海を抱くサンガル王国の王家のあり方の違いなどが見事に描かれている。上橋さんの知識の深さに圧倒される。フィールドワークが源泉になっているようにも感じた。

    終盤になって、あれ、これ、バルサ出てこないんだ、と気づく(笑)

    無事に冤罪が晴れて、王家に戻ったタルサン。しかし、タルシュ帝国の侵略に反撃すべく、生き生きと出陣するタルサンと、チャグムとの間に横たわる深い溝が悲しかった。似通った熱い想いを持っている二人なのに・・・。

    そして、ラストシーンのチャグムとシュガのやり取りは胸に迫る。チャグムの人となりをよく表すシーンだった。こんな二人が国を守っていけば最強だろうと、短絡的に思いそうになるが、そうはいかないのが、これから続くシリーズでわかっていくのだろう・・・。

  • (2014年11月13日 再読)

    チャグムが優しくかっこいいお話。
    シュガになんだかぐっと来た。

    海の国サンガル、南の大陸のタルシュ、世界が広がっていきます。
    バルサやタンダが出てこないのは寂しいけど、外伝なんかじゃなくこっからこのシリーズすっごく面白くなる!と個人的には感じています。

  • 守り人シリーズ4作目だが外伝的位置。
    子どもにも読める文章ですが、リアルで立体的な構成で、大人の鑑賞に堪えるファンタジー。
    新ヨゴ皇国の皇太子チャグムはサンガル王国の王位継承の祝典に招かれて星読博士のシュガと訪れる。
    島の多い国サンガルは、王家の娘達が島守に嫁ぐことで結束を固めていた。
    かっての小領主が今も島守りとして自分の領土を守っているのだ。
    ところが大国の回し者が島守りを誘惑…
    島守りの元で漁師と共に育てられたたくましい次男タルサン王子が跡継ぎの兄に向かって銛を投げるという暴挙。
    宮廷は大混乱に…チャグムは陰謀の渦中へ飛び込んだ形となる。
    ナユーグル・ライタの目という哀しい運命を背負った幼女。
    皇族は神聖とされる国で育ったチャグムは深窓の大人しいお坊ちゃんに見えるが、そこはバルサと放浪の旅をした経験のある少年。いざというときに活躍するかっこよさ!
    サルーナ王女や一途な「海をただよう民ラッシャロー」の少女スリナァも活躍。
    この版は2007年9月発行。挿絵画家の解説も収録。
    今から買うなら文庫でしょうか?
    でもこの版がけっこう好き。

  • イラストが変わったと思ったら、バルサが出てこない。チャグムの物語だった。

  • 今回の物語の主人公チャグム。
    彼が、過去の経験(たくさんの人に助けられたこと)から、同じ行動を取る場面が感動的だった。

    色んな人に支え・見えない自然の流れを忘れて、目の前の利益に走る者の描写は、教訓だと思う。

  • これまでのシリーズ史上もっとももどかしく、だからこそ人間味があるというか、共感する内容となっている。というのも、バルサもトロガイも出てこないため、「ここでうまくやっつけてくれる!」という人がいない。そのため、チャグムやシュガが自らの能力を限界まで発揮しつつも、勧善懲悪とはならない感じ。だがそれがよい(笑)
    そしてサンガル家のしたたかな女性たち!純粋な心だけでは政治の世界は生きられないのよと言わんばかりに手練手管を披露していく。これは果たして子供向けの本なのだろうかと思ってしまう。
    自分が南海の生まれ(でも船に酔う)ということもあり、非常に楽しく読めました。

  •  この本は最初、守り人シリーズの外伝という形でしたので、旅人という題名になっています。
     そして、主人公もチャグムという事でしたが、とっても面白かったです。
     新ヨゴ王国での皇太子という立場で、様々な物事に対応していくチャグムと、その内面にある本心のチャグムが如実に描かれていて、すごく共感を覚えました。
     確かに舞台は作り物の王国であり、ありえない世界ですが、人間模様はどこにでもある現実で、それが大人も楽しめる由来になっていると思います。
     どんどん精神的にも強く成長していくチャグムの今後がとっても楽しみです。

  • 後書きを読んで初めてタイトルが「守り人」ではなく「旅人」だと気付いた訳ですが、面白かったです。チャグムは精霊の守り人にされたことで確実に人生観が変わっちゃって、皇太子としては生き辛くなったけど、引き換えにそのままならば決して得られなかっただろう理解者を何人も手にしたわけですね。この先がより一層楽しみになりました。

  • スリナァのパートを読んでいるとき複眼人が思い出された。
    サルーナは優しくて格好良いな。
    チャグムとシュガは良いコンビになってきたな。

  • 2021.01.20.読了

    精霊の守り人シリーズ 4弾

    チャグムは本当に成長したなぁ
    精霊の卵を宿した時が11歳
    そしてこの話は14歳
    まだ14歳!

    シュガも頼もしくなってきたし、
    次のお話が楽しみで仕方ないわ〜

    この本はいくつくらいの子供を対象としてるのかな。
    小学校高学年くらいで読んでたら、
    少しその後が変わっていたかも。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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