屋根裏部屋の秘密 (偕成社文庫 3253 直樹とゆう子の物語)

著者 :
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036525300

感想・レビュー・書評

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  • 戦争を扱った子ども向けの小説ということで、以前読んだことがある『2人のイーダ』等とともに購入して、まずこれを読んだ。

    大人が読むと、前半でだいたい何が起こるのか読めてしまうのだけれど、731部隊の、戦争犯罪には問われなかった罪を、ずっと抱えてきた世代、と同時に、そこから利益を得てきた世代が、戦争を知らない世代に、そのデータを渡す。

    後半は、731部隊の基地で運転士をしていた男の証言で、実際著者がこの証言を聞いたことが小説執筆の動機になったのだという。

    残酷な話で、小学生の娘に読ませるべきか迷うようなところもある・・・。しかし、知るべき物語だとおもう。

    『永遠の0』を読んだ後なので、対象読者も、本の売れ方も、全然違うから比較してもしょうがないんだけれど、いずれも経験者の話を聞く若者の物語という共通点を持つ。

    「加害」の語りをどう聞くのか?ということを試される童話だと感じる。

  • 731部隊を描いた子どもの本

  • 新聞で中学生女子が感想文を書いていたのを読み、図書館で借りて読んだ。
    終わり方がしっくりこなかったけど、戦時中に日本人がどんなにひどいことをしていたかがわかって、ショック。

  • しばらく前に読了。「直樹とゆう子」シリーズの一冊。
    章ごとに視点が別な人になっていくのが面白い。ミステリタッチで読みやすく、でも実はかなり重たい話。最後の締め方は、常套すぎてちょっとなぁ、とも思う。そうあっさり「語る側」の位置につけるものかしら。
    シリーズのまだ読んでいないものも、いつか時間をみつけて読めたらいいな。

  • 衝撃的。心臓がなる。全く知らなかった事実。
    子どもが中学生くらいになったら読ませたい。

  • 2012.07.04
    ひなこオススメ

  • 『ふたりのイーダ』が69年に出版され、それから20年近く経って出た本なので、(もう大人になっていて)読んでいなかった。
    確か84年に清水真砂子の『子どもの本の現在』が出て、松谷は激しい批判にさらされた(松谷は被害者としての戦争しか描いていない、という)わけだが、この本と『あの世からの火』は彼女なりにそういった批判に答えたものだと思う。
    加害者としての日本人を描いた児童文学は少なく、またかなり書くこと自体難しいので、松谷の文学者としての姿勢を評価したい。
    作品としては正直いって『ふたりのイーダ』ほどではなく、「丸太」であった少女の霊や幽霊を出す必要があったのか、読み手(小学校高学年)と主人公(中三と大学生)の乖離など、いろいろな疑問があるし、731部隊に関しては、松谷らしい情緒的な言葉で語ってほしくなかった気もする。
    でも、この本で、日本の加害責任に初めて思い至る子どもも多いだろうから(いまだに学校教育は被害者としての日本しか教えていないから)、存在価値は大きい。
    これをきっかけに子どもたちが自ら調べたり考えたりしてくれればいいなと思う。

  • 知っておくべき事がある。

  • 読了。人間の倫理を問われる作品。

    ミステリタッチで過去の凄惨な歴史を描き出す手法に、米原万里さんの『オリガ・モリソヴナの反語法』を思い出した。

    同じ題材を書いた作品が何作かあるようなので、それも読んでみたい。

    そして、考えてみようと思う。

  • 小学生の頃に読んだ本。その頃の私には、本当に衝撃的だったのだと思う。
    七三一部隊。マルタと呼ばれる人々。人体実験。凄惨な事実。
    きっと今読んだら、また抱く感想は違うのだろう。

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著者プロフィール

1926年、東京生まれ。1944年頃より童話を書きはじめ、1956年、信州へ民話の探訪に入り、『龍の子太郎』(講談社)に結実、国際アンデルセン賞優良賞を受ける。以来、民話に魅せられ創作と共に生涯の仕事となる。日本民話の会の設立にかかわり、松谷みよ子民話研究室を主宰。著書に『女川・雄勝の民話』(国土社)『日本の昔話』『日本の伝説』『昔話一二ヶ月』『民話の世界』(共に講談社)『現代民俗考』8巻(立風書房)など。

「1993年 『狐をめぐる世間話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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