- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784036517206
感想・レビュー・書評
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小学生の頃に最初だけ読んでなんとなく気になっていた本をみつけたー!
なんとなく岡田淳さんかなと思って数冊読んでみたところこれでした。
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6年生の賢は、授業中に12時のサイレンが鳴ると自分が違った世界にいることに気がつく。
そこはたしかに自分の教室なのだが、自分は茨に巻きつかれて身動きが取れないのだ。夢の世界は毎日必ず12時から始まり、徐々に時間が長くなっている。
ある日賢は鉛筆の代わりにカッターを持ち12時に備えた。夢の世界に入った賢はカッターで自分に巻き付いていた茨を切り、周りを見ると、同じようにクラスメイトたちが茨に巻き付かれて眠っている。
賢がクラスメイトの茨を切ってゆくと、みんなは徐々に目を覚ましてゆく。
現実の賢のクラスは決して仲が良くはない。周りに無関心のガリ勉優等生、いつも遅刻のクラスメイト、昔は仲が良かったのに最近は距離ができた女子幼馴染。賢だってクラスではぼーっとしているやつだって思われている。
しかし夢から目覚めたクラスメイトはどこか違う。
気の強い幼馴染は優しく可愛いところがあったし、ガリ勉くんは片思いの相手がいたし、遅刻少年は工作が得意だったし…。
彼らは日中のクラスでも仲良くなり、夢の世界でのことを話し合っていく。
どうやら学校中が茨に覆われているらしい。それなら茨を切って全員を起こそう。
家に大工用具のある者は?
目覚めた生徒たちへの説明は?
保健室の出入り口は作ったほうがいいよね?
目覚めた生徒たちに彼らは放送室から呼びかける。
「目覚めたみなさん、おまけの時間にようこそ!」
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おまけの時間、とは、現実では時間が止っている間の、子供だけの時間を自分たちでそう呼んだものです。
彼らは小学校ではそれぞれがなんとなく取り澄ました関係というか、他の人のためにとか協力とかは行わないでいます。
それが、そのままのクラスではあっても”子供しかいない夢の世界”で改めて出会ったため、それぞれがすんなりと本心を見せることができます。
そして自分たち子供だけで何をしようか、誰に何ができるかを考えて実行していきます。
最後は学校のみんなが目を覚まし、おまけの時間から現実の時間に戻る自身がついたという合図で終わります。
みんなで少しずつ他の人に興味を持ち、自分が何をできるか、人と一緒に何ができるか考えていけると、世界は生きやすくなるというお話。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ぼんやり賢くんが、授業中に夢を見ます。同じ教室の中だけれど、先生がいなくて教室の中はいばらだらけで動けない。他のクラスメートたちはみんないばらの中で眠っている。12時のサイレンが鳴るときに夢を見始めたはずなのに、目が覚めるのはそのサイレンが鳴り終わる時。次の日も同じ時間に同じ夢。やっぱり動けないので、その次の日はカッターナイフを持ったままほうづえをついていたら、カッターナイフを持ったまま夢の世界にやってきていた。自分の周りのいばらを切って、ついでにとなりの席のこのいばらも切ったら、次の日の夢ではその子が目が覚めた。一緒に前の席の子のいばらを切って…。毎日少しずつ夢の世界で目が覚める子の数が増えてくる。みんないつもの世界とは別人で、いつもよりずっと魅力的なクラスメート達。みんなで一緒に力を合わせていばらをとりのぞきます。
最初は不思議な世界のお話ですが、このお話の一番心を動かされるところは、子供たちが1年生から6年生まで、大人の力を借りずに、自分たちの力を合わせて大きな仕事に取り組むことです。みんなが同じことをするのではなく、自分の力に応じたことをします。力持ちは力仕事を、小さい子ははしごを出してきたり、道具を運んだり。学校中の色んなところでそれぞれが自分の適所と自分の仕事を考えでそれをすることで、全体の仕事が進みます。大きな子が指示を出すこともあります。普段の学校では目立たなかった子が大活躍をします。でもヒーローはいません。みんながそれぞれの仕事をしている、そのこと自体にみんな満足です。そして、やり遂げたときの達成感!最後はほろりとさせられます。 -
普段の自分とは違う自分を演じてたのがばれた時のちょっと気まずい気持ち、わかるなぁ。
でも、演じてた自分もじぶん。なぜなら、要素が自分の中になければ演じられない。
いばらとの戦いが終わって、ほんの少しかっこよくなったみんなをみてそう思いました。 -
小学校時代の一時期、図書館に通う動機となったのがこの作品でした。この作品には、平々凡々な、とりわけ自分にコンプレックスを抱いている子供たちばかりが登場します。けれどそんな子供たちは、ひょんなことで遭遇することになった『おまけ』の時間で、新しい自分を発見・開拓していきます。『おまけ』とはなんて素敵な響きを持った言葉なのでしょう!けれどその『おまけ』は、お菓子にくっついている、時間の経過とともに存在すら忘れてしまうような軽々しいものではありません。むしろそれこそが宝なんだと思える『おまけ』です。子供たちが生きていく道に張り巡らされた茨に立ち向かう強さを得ていく、そんな作品でした。
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授業中12時のサイレンが聞こえてきたと同時に、賢は夢の世界に入り込んでいた。そこでは茨が四方八方に入り乱れており、教室のみんなの体に巻き付いていた。その日から毎12時に夢の世界に行けることを知った賢は、茨を切り体を自由にして周りの友達も茨から解き放つのだった。
いつもと同じだけど何かが違う、そんな夢の世界で自由に動けることができたならどうするか。そこで目覚めたクラスメイトはいつもと違う感じがしたのは何故か。そう思うと茨が何を象徴するものかが見えてきます。
夢だと思ったから素直になれた。夢だと思ったから格好をつけられた。夢だと思ったからいつもと違う自分になれた。つまりそれは現実世界ではそうできなかったとのこと。夢で体の自由を奪っていた茨は、現実世界にもあるのかも知れない。
そんなことを考えさせる部分と、いつもの学校だけどいつもと違う学校、そんな異世界を子どもの力だけで切り開いていく冒険の楽しさが絶妙に絡み合っています。だから読んでいてまず楽しさがあります。どうやって茨を切っていくのか、目が覚めた子らとの連携、先生や親にはナイショの時間。そんなドキドキする気持ちを高めてくれるのは、冒険の舞台が学校という子どもたちにとって何よりの日常だからかも知れません。 -
この世界に行ってみたい。レッグウォーマーと手袋があれば、もう少し何とかなるし。
あとがきがなるほどと思う。
おまけっていいよね。S12 -
小6の賢は、昼の12時のサイレンで別の世界にいることに気づく。そこではクラスメイトは皆、茨の蔓にまかれて眠っていた。次の日、ナイフで茨を切り開いた賢は、隣の席の明子の蔓を切って起こす。サイレンを機に毎日訪れる「おまけの時間」で賢は仲間を増やしていき…。
『びりっかすの神様』と同系統のものがたり。人には普段見せていない一面がある。 -
小さい頃に読んだ本を読み返した。
懐かしかったしおもしろかった!
これは買って損はないと思う。
無関心な子供が増えてる現代の小学生には読んでもらいたい1冊だと言えます。