安房直子コレクション 2

著者 :
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035409205

感想・レビュー・書評

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  • 子どものために描いた短編を集める。お店屋さんが舞台の作品が中心。

    安房直子さんは、料理やジャムづくりや編み物、刺繍、レース編み、機織りなどの手仕事に惹かれていることが伺える。
    家事が生活の大部分を占めていた頃、生活そのものが作品の素材になっていたという。生活の中から生まれた魔法だからこそ、読み手が自分のことのように引き寄せられるのかもしれない。

  • 人間の方がずるいかと思えば、ちゃっかりしたうさぎもいるし、可愛いこだぬきの兄弟もいるし。
    死なないひらめに、こだわる猫に、動物の方も色んな性格いるな。でもやっぱり、親切だったり誠実だったりする生き物は、報われてほしいな( ´∀`)

  • 面白かった!正直で真面目に生きていれば、幸せになれるんだという安房さんの思いが伝わってきた。レストランの話すごく良い。好きな女の子にもじもじして話せないくせに、自信のある料理ならと、パイを渡すところがカワイイ。しかも毎回パイ。かわいすぎる。焚き付ける魚もいい。
    見えないベランダも大好きな話で、猫と網を編む話も可愛かった。少し仄暗い、何処と無くコワイ雰囲気が根底にあるんだけど、ふわふわした可愛らしいストーリー、というのが安房さんのお話のイメージ。そこがとても好きです。

  • ちょっと不思議な世界の短編集

  • 2作目。巻末に『まほうにかけられた舌』と『海の舘のひらめ』に関するエッセイ。
    ひらめ、正直者が馬鹿を見る子どもの世界、人間関係へのメッセージ。

    タイトル通り、ちょっと不思議な出来事の短編集。
    こういう話に猫がよく登場するのは、犬より出歩ける自由さ故だろうか。。
    結末がちょっと意外だったり、納得だったりほっこりしたり。

    よく”子供”を“子ども”と表記したりするけれど、魔法も”まほう”と表現されるとおどろおどろしさが無くなる気がする。。

    既読は15作品中3作品のみだったので、新鮮でした。

    『ふしぎなシャベル』のおばあさんのラストの行動が素敵だなぁ、と。
    そういう人だから分け前が貝殻でもほっこりして、他の人にも幸せのおすそ分けをできるのだなぁ、と。

    食べ物が美味しそう。。。
    別の作品で蟹が砂で作ったクッキーの話があったけれど、このセレクト集にいつか登場するだろうか。。

  • 図書館で借りて一部読了。
    子供の頃に読んだ「魔法にかけられた舌」という話がもう一度読んでみたくて借りてきました。
    当然なのですが今読んでみるとあっさりとした感もありつつ、当時どんな部分にわくわくしたのかもはっきりと思い出しました。
    急に亡くなった父のレストランを継ぐことになったものの、全く料理の素質が無い主人公。
    途方に暮れていた彼の元に現れたのは長年このレストランの地下に住んでいた不思議な小人の様な存在。
    父の料理を深く愛したこの小人は、主人公がその味を受け継ぐことを条件に、どんな料理も食べれば何で出来ているかをすべて見抜く魔法を彼の舌にかけてくれる。
    そうして残っていた父が最後に作ったカレーを食べ、その味そのものにも、何で出来ているのかがすべて見抜けることにも感動した彼は、外へと飛び出してあらゆるレストランの味を次々盗み、料理を作ってお店を繁盛させていく。けれどその事に夢中になり過ぎて、地下に眠る父の味を覚えるという約束は忘れたままになってしまう。
    そんなある日、ある客が「うちの料理はもっと美味い」と言い残して去っていき…
    魔法をかけられた彼の舌が味わう、父の料理の描写が本当に美味しそうなのも素敵なのですが、謎の客を追って地下街の、これまで見たことも無い通路や店並みへと紛れ込む部分が子供の頃は本当にワクワクする部分でした。
    子供の頃、地下街と言うのはすごく不思議な場所で、一本間違うとまるで違う部分に見えたり、本当に自分の知らない道が今だけ突然できてるんじゃないかと思ったり、いつか見た筈の場所が次に来た時には見当たらないことにソワソワしたり…そんな妄想にまさにフィットする冒険の部分が大好きでした。
    そしてラスト、彼はギリギリで約束に間に合ったわけですが、こういう人ならざる者が人と交わした約束を延々待ち続ける…という設定にも凄く弱いです。
    日本古来の妖怪や物の怪が、ほんのひと夏遊んだ子供のことを次の夏もその次の夏もずっと待つような幼気な切なさが大好きで…。そういう部分もほんのり含んでいて、本当にこの話は私の好みの数々がサンドイッチのようにとりどりに揃ったものだったんだなぁと再認識しました。
    今回時間が無かったのですが、他の安房直子さんの作品もまた読んでみたいです。

  • 1巻目の感想を載せたのが、9月ですねぇ。
    で、その直後から2巻目を読み始めたはずですが、今までかかったのは、途中で思いっきり修羅場をはさんでしまったせいですね。

    1話ごとの感想も、読んだ直後には書けなくて、かなり後になってから、書いたものになってしまいました。
    それでも、1話ごとに感想を書いていくのが楽しいのは、やっぱり安房直子さんの作品が好きだからなんでしょうね。

    魔法をかけられた舌
    こういう単純な不思議さが好きです。
    こんな魔法なら、わたしたちの周りにけっこうあるのではないかと思えてきます。

    空にうかんだエレベーター
    ライナスの毛布のように、ギュッとウサギを抱きしめる女の子。

    ウサギと女の子の間に、どんな物語があったかは、けっして誰にも気づかれない。
    ひぐれのお客
    すごいさり気ない話です。
    ほとんど、ストーリーなんてない。
    でも、

    「色っていうのは、ふしぎなものだな。」

    というのは、安房直子さんの色に対する感じ方の深さをきっと表していて、やっぱり、読んでいる方も、しあわせな気分になるのでした。

    ふしぎな文房具屋
    大好きなネコと別れなければならないのは、いつだって耐えられないぐらいにさみしいものです。

    でも、人はネコと暮らすことをやめられない。

    そして、想い出を蓄積させていく。

    なんでも吸いとる吸いとり紙も、「想い出」までは吸いとらないのでした。

    猫の結婚式
    ますむら・ひろしさんの画集かなにかに、

    「家出したネコは、時々、手紙を書いて欲しい…」

    みたいな文章があったのを思い出しました。

    突然、家からいなくなったネコが、こんな風にしあわせであってくれたら、わたしたちは、どんなに安心することだろう。

    そういう優しいお話です。

    うさぎ屋のひみつ
    なんか、奥さんも、うさぎ屋も、ちょっとモラルが壊れていて、オイオイと笑ってしまいました。

    そして、安房直子は、自分の物語のなかに、いろいろな願いは入れても、「教訓」みたいなものは入れたくなかったのだなぁという気が少ししました。

    青い花
    人は、忙しさ、そして、収入が入ってくることを「しあわせ」だと思いがちだけど…。

    もちろん、それがしあわせの1つの形であることは、否定できないです。
    でも、別の形もあるのかも。

    わたしは、ホッとするような生き方ができるといいなぁ。

    遠い野ばらの村
    なんていう優しい話だろうと思います。

    童話のなかの無垢な動物たちは、さびしい心に感応するのかなぁ。

    そして、優しい嘘は、つき続けることが出来ればきっと、最後には本当になるのでしょう。

    秘密の発電所
    日本的な風景と、発電所という組み合わせ。
    こういう組み合わせの不思議が、安房直子さんの作品にはありますね。

    そして、最後に、お手玉でおわるという。
    いい風景だ。

    オリオン写真館
    読んでる最中は、いいかげんなオリオンにすごく軽いものを感じていたのですが、読み終わって、実は、これって、すごくリアルな話なのではないかと思ったりもしました。

    なんだか、こういう生き方をした写真家って、本当にいそうだと思いませんか?

    そして、その写真家は、星のなかに人を、人のなかの星を見つけたんです。
    そんな気がする。

    海の館のひらめ
    テーマが、前面に出ている安房直子さんにしてはめずらしい作品。
    その分、実は、ちょっとドラえもんのような安易さがあると思ったりもします。

    まあ、のび太くんは、努力しない人なので、この主人公とはちょっと違うか。

    でも、エッセイを読むと、安房直子さんは、この作品をかかなければならなかったんだなぁということがよくわかる気がします。

    ふしぎなシャベル
    夢オチ?とも思えるような、不思議な感じの話なのですが、1つ1つのイメージに、意味をつけていくことも可能のような気がします。

    たとえば、スコップでほっていくと、おもちゃがいっぱい出てくるシーン。実は、ほっているのは地面ではなくって、記憶ではなかいと思ってしまいます。

    そして、1番すごいと思ったのは、シャベルをおいて帰っちゃうところですねぇ。
    その欲のなさが、実は、安房直子作品の透明さにつながっています。

    海の口笛
    人さらいの話だ(笑)
    いや、ちょっと違うか?

    こういう、どこかアヤシイお話は、やっぱり好きです。

    「そこ」にしか、本当に幸福はなかったのか?
    それは本当に幸福なのか?

    という疑問は、どうしても残ってしまうのですが。
    それでも、わたし自身も、そんなふうに連れて行って欲しいと思う気持ちもあるのでしょう。

    ただ、その時の現実の生きづらさというのは、心のトゲとして残しておかなければならないと思います。

    南の島の魔法の話
    「あんたの味方は、もう妖精だけだよ。」

    そういう恋もあるのだなぁと。恋は、盲目といいますから。
    でも、その時、不思議と孤独感はないんだろうなぁ。

    「しかたないさ。結婚していっしょに暮らすとなったら、どっちかがどっちかの大きさになるしかないさ。」

    わたしのピアリピアリは、見つかったかな。

    だれにも見えないベランダ
    行って帰ってこない話。
    実は、こういうお話にも、すごく惹かれます。

    帰ってこない限り、彼らの物語は終わってないのですから。

    エッセイ
    母親の思いの話は、すごく共感しました。
    やっぱり、わたしに子どもがいても、同じように育てるのだと思います。

  • [ 内容 ]
    「魔法をかけられた舌」「うさぎ屋のひみつ」「遠い野ばらの村」ほか、子どものための短編を中心に15編。

    [ 目次 ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  •  大好きな童話作家です。
    この中では「ふしぎな文房具屋」「青い花」の2編が好き。
    小学生のころはじめて読んで、いまだに忘れることができず何度も読んでます。
    巻末に安房さんのエッセイが収録されているのも、ファンとしては非常にうれしい。

  • 「魔法をかけられた舌」「うさぎ屋のひみつ」「遠い野ばらの村」など、子どものための短編を中心に15編と、作品理解の助けになる単行本未収録のエッセイを巻末に収録。

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著者プロフィール

安房直子(あわ・なおこ)
1943年、東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。在学中より山室静氏に師事、「目白児童文学」「海賊」を中心に、かずかずの美しい物語を発表。『さんしょっ子』第3回日本児童文学者協会新人賞、『北風のわすれたハンカチ』第19回サンケイ児童出版文化賞推薦、『風と木の歌』第22回小学館文学賞、『遠い野ばらの村』第20回野間児童文芸賞、『山の童話 風のローラースケート』第3回新見南吉児童文学賞、『花豆の煮えるまで―小夜の物語』赤い鳥文学賞特別賞、受賞作多数。1993年永眠。

「2022年 『春の窓 安房直子ファンタジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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