- Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
- / ISBN・EAN: 9784030034501
作品紹介・あらすじ
偕成社のホームページに連載された「日々彩々」と「ききみみずかん」を中心にまとめたエッセイ集。愛してやまない家族のこと、不思議な縁で結ばれたお父さんとお母さんのこと、戦争を乗り越えた富安家の人々のこと、そして童話作家になったきっかけなど、童話作家富安陽子のルーツのすべてがわかるエッセイ集です。
感想・レビュー・書評
-
大好きな冨安陽子さんのエッセイ本。
スラスラ読めて、クックっと笑えるはなしが多く、あともう1章と思いながら‥つい日を跨いで一気よみしてしまった。カジュアルなエッセイ本好きな方なら、オススメです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大好きな児童文学(童話)作家さんのひとり、富安陽子さんのエッセイです。
富安さんの描く世界は、読者のすぐ隣にある不思議な世界が舞台になることが多いように思います。すぐ隣……妖怪や山神、信太の狐や山姥、そして不思議な先生などなど。わたしたちが、「むかし、むかし……」と幼い頃聞いた昔話や伝承が元になっていたり、困っていた子ども時代に現れてほしいって願っていたような人物だったり。
それは日本という土地柄で育まれてきた子どもたちが、一度は迷い込んでしまう身近な異界じゃないでしょうか。力強くて、愛嬌がある、そんな生き物たちが闊歩する世界です。
そんな物語を紡ぎ出す富安さんのルーツ、家族や、両親、戦争を乗り越えた富安家の人々、そして作家となったきっかけなどが綴られています。
幼い頃から、お友だちに面白いお話を本当のように語って、「うそだよ」と笑う陽子ちゃん。かなりのほら吹きと自分ではおっしゃっていますが、そのお話はお友だちの心にずっと残っているなんて素敵なことですよね。お友だちが羨ましい!
おおらかで優しいご両親の元、すくすく育った陽子ちゃん。そんな彼女が童話作家となって描く世界が形作られたのは、東京の生家で一緒に暮らしたおばあさんと、文子伯母さんが語る沢山の不思議なお話に違いないでしょう。文子伯母さんの語ったお話の中でも、御歯黒のお話は最高でした。文子伯母さんをはじめとした富安家の人々の傍で、幼い頃の陽子ちゃんは将来童話作家の富安陽子として芽吹くはずの物語の種に、たっぷりの水を与えていたのでしょうね。 -
児童文学作家、富安陽子さんの自伝エッセイ。
月並みな感想だけれど、やはりファンタジーを書く方の日常、幼少期、物の捉え方は、おもしろくてちょっとした不思議がある。
小中時代の同級生が、本に「富安陽子」の名前を見つけたとき、「これは"あの"富安陽子に違いない」と思ったというから、私の感想も的はずれというわけではないだろう。
私も子供のころ、メアリー・ポピンズが大好きだった。
小さな共感を見つけるととても嬉しい。
もっと富安陽子さんの物語を読んでみたいと思った。 -
富安さんの本は数冊しか読んだことが無いのを、読後とても後悔した。
もっとたくさん読んでおけば、この本の面白さも倍増したに違いない。
偕成社の㏋に連載されていた記事をまとめたエッセイ集。
要所要所に添えられた可愛らしいカットも著者ご自身の手によるもの。
目次の次に現れるのが、ご本人とご家族のお写真。
毎年家族で手作りしていたというカレンダーもある。
このクオリティの高さにビックリ。
我が家も毎年家族でカレンダーを作成していたけれど、とても足元にも及ばないわ。
富安さんのお宅はお母様を亡くしてからはこの恒例行事もなくなったらしいが。
盛りだくさんのエッセイは、爆笑したりほろっとしたり、ふむふむと頷いてしまったり。
愛情に溢れていながら明るくカラッとしていて、どれも読みやすい。
ランドセルに自分の名前を堂々と書いてしまったお父さん。
(実は、ワタクシもこれはやらかしました・・)
そのお父さんとお母さんの、不思議な出会いの縁。
自己紹介で、平気で嘘をつく義父の話。
ちょっぴり怖い山姥の話や小さな妖怪の話。美味しいものの話や旧友の話。
「家族の戦争」では、ここまで文章化されるほど絆の深かった伯母さんとの交流に感動してしまった。
そして著者の童話作家としての思いが最も溢れるのが「メアリー・ポピンズ」の話だ。
そうなんだ、日本の子どもたちはゆっくりゆるやかに育っているのね。いつまでもそういう国でありますように。
高い教養を積んだ方が威厳をもって高尚なお話をするのでも何でもない。
家族への惜しみない愛に溢れた、笑いあるエッセイたち。
富安さん、たくさんの素敵なお話をありがとう。 -
絵本「オニのサラリーマン(略してオニサラ)」の作者、童話作家の富安陽子さんのエッセイです。
「オニサラ」のぐわっとくるオニ絵は大島妙子さんでしたが、こちらのエッセイは絵も富安陽子さんご自身が描かれています。
表紙のかわいらしい絵も好きですが、各おはなしタイトルの下にある小さな挿絵がも、ほんわかします。
特にぐっときたのは「書斎」「ランドセル」「ファンレター」「家族の戦争」というエッセイです。
特に「ランドセル」は、オチに大笑いしました。
「ファンレター」は、ファンレターの抜粋と富安さんの一言お返事、そして最後の小学生のおはなしがくすっと笑えます。
「書斎」は、私も似たような出来事があったので、うなずきながら読みました。
といっても、私にとっては書斎が町の小さな図書室ですが、あの空間がなかったら、私は本が好きになっていなかったし、うつの底からあがってこれなかったと思うのです。
そして「家族の戦争」は、6ページという短さにも関わらず、戦争の悲惨さで胸がしめつけられるおはなしです。
昔から現代まで、いろいろな富安さんの姿が読めるエッセイです。 -
富安陽子さんの文章は、ほんとうに大好き。
戦争のお話も、山姥のお話も、さいごのあとがきも、迷い込んだ気持ちになったお話も、鳥肌が立った。
そしてランドセルのお話は笑いが止まらなかった。
富安陽子さんの読みやすい文章と一つひとつの話の短さで、気軽に読める。またふとした時に読みたくなる1冊。 -
児童文学作家、富安陽子のエッセイ集。
連載のため、4~6ページの短いエッセイですが、たっぷりと。
「クヌギ林のザワザワ荘」、「シノダ!」シリーズは大好きだった
なぁと思い返しながら読んだ、富安さんのエッセイは、
軽妙でありながら巧緻な文章で、すらすらと読めてしまいます。
幼い日の思い出、両親・家族・祖母や伯母の事と受けた影響、
作家になったきっかけ、旅行と、自分自身に関係する事柄を
綴っています。特に親族と戦争の話は、真摯に響いてきます。
なんといっても両親が素晴らしいなぁ。羨ましく感じました。
同窓会の話は思わず頷いてしまいました。
そういえば、つるかめ算の話、講演会で聞いた覚えがあります。
彼女の講演、楽しくて面白いですよ♪ -
富安陽子がwebマガジンなどに連載していたエッセイ集。
自身の両親・祖母・伯母との思い出や、童話作家となるきっかけなどを語る。
ストックホルム市図書館の招待で国際児童図書週間に出席するためスウェーデンを訪れた時の一週間について書いたスウェーデン紀行も面白い。 -
読書記録です。
まずは機会があれば、著者の講演会を聞いてみてください。ヘタな芸人よりおもしろいです。講演会を聞いたあと、他のエピソードも読んでみたいと思って借りました。
私も小学低学年のころ、父方の叔母から「メアリー・ポピンズ」の本をプレゼントされました。ひざに乗せて読むには重たすぎる5センチぐらいの厚みがある本!あまり見かけない(実はちょっとこわい感じの)挿絵になぜか惹かれて、読みたした。そこから不思議なことをさも当たり前のように話す主人公と内容に、私も勝手に妄想を膨らませていったことを覚えています。なんか似てるな~、こんなこと考えてたのはわたしだけちゃうんや~、と。さらに上を行く著者の思考(妄想?)力に、私はまだ「ふつう」だったんだと思い知り(安心し)ました。