世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法
- 朝日新聞出版 (2018年8月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784023317284
作品紹介・あらすじ
【社会科学/経営】チームの成果を左右する最大の要因は? グーグルが明らかにしたのは「心理的安全性」という結論だった。心理的安全性とは「自分らしさを発揮しながらチームに参画できる」という実感のこと。チーム内の心理的安全性を高め、成果に結びつける方法を解説。
感想・レビュー・書評
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久しぶりにいわゆる「ビジネス本」を読みました。
グーグルでのチーム作りということで興味を持って本書を手に取ったのですが、グーグルで行われているチーム作りも日本の企業が伝統的に行ってきた組織作りも根本は変わっていないのだということが分かりました。
特に職場での「心理的安全」を醸成することが重要であるということは昔から言われていたことですし、改めて大事なのだなあと感じましたね。
「心理的安全」を作るには、上司と部下との面談『1on1ミーティング』が重要であると本書では強調していますが、まさにそのとおりだと思います。
最近ではこの『1on1ミーティング』を業務に定期的に組み込む企業も増えてきているようですが、組織によってはこの『1on1ミーティング』の話す内容は業務上のことに限るべきで、私生活やプライバシーに関わるようなことは話題にしてはならないというルールを課しているところもあるようです。
しかし、著者は「プライバシーに関するようなことこそ話題にすべきだ」と強調します。なぜなら、そういったことを話すことによって「心理的安全」が作られるからです。僕も全くこの意見に賛成です。
ここからはあくまでも僕の個人的な意見を述べさせていただきます。
僕も『1on1ミーティング』を導入している職場で働いていますが、部下としての立場、そして上司としての立場の両方を経験してみて、この『1on1ミーティング』は非常に有効だと感じていますし、また、プライバシーに関することこそ話題にすべきだと感じています。
部下として立場から話すと「自分の弱みや家庭の事情」などの話を上司に「聞いてもらう」「理解してもらう」ということで、かなり自分の心理的な負担が減るということを経験したことがあるからです。
例えば「親の介護などで毎日定時に帰らなければならない」だとか「子供が病気がちでしょっちゅう早帰りをして病院に連れて行かなければならない」という事情を持っているとします。僕がまだ若い時には、こういったことをいわゆる働き盛りの社員が上司に言うのは憚られる風潮がありました。もしそんなことを言えば他のライバル社員との競争でマイナスになるだとか、窓際部署に飛ばされるだとか普通にありました。
当時、僕もちょっとした事情をもっていて、その悩みを誰にも相談できない状況が続き、もう鬱状態寸前までになっていました。まだ『1on1ミーティング』なんていうしゃれた制度もなく、本当にどうしようもないところまで追い込まれていたのです。ある時「もう、どうにでもなれっ」という気持ちで、意を決して上司に自分の状況を話したのです。
当時の上司には、本当に感謝しています。僕の話を親身になって聞いてくれ、いろいろと便宜を図ってくれました。もちろん、自分の家庭のことなので、表だって何かをしてくれたということはないのですが「上司が自分の状況を知ってくれている」というそれだけで僕は「心理的安心」を得ることができたのです。もちろん、自分の評価が下がるということも、閑職に追いやられるということもありませんでしたし、逆に、心理的な負担が減った分、自分の仕事のパフォーマンスも上がったのです。
逆に、上司の立場からこの『1on1ミーティング』をやってみると、自分の知らなかった部下の一面がそれこそ「でてくる、でてくる」でした(笑)。
そういった情報を元に、部下の配置や仕事への配分、仕事の向き不向きなどを考慮したチームとしての仕事の進め方を考えることができ、上司である自分にとっても非常に有意義なものでしたし、逆に、自分の本音を部下に伝える良い機会でもありました。
そしてこれは僕の持論ですが『1on1ミーティング』は直属の上司だけがやるべきではなく、1階層、2階層上の上司がやるのも非常に効果があると思います。自分の2つも上の役職の方が直接話しを聞いてくれるという機会を作ることで、直属の上司との考え方の違いなどや直属の上司はやってくれなかったが、その上の人に相談したら簡単にできた、なんていうこともあるからです。後で「俺に言わないで、俺の上司にチクるなんてとんでもねえ!」なんて雰囲気を作ってはいけないということは大前提ですが(笑)。
例えば、300人も社員さんがいる社長さんが社員全員と『1on1ミーティング』やるのはかなり大変だと思いますが、もし出来たとしたら、かなり有意義なものになると思いますよ。月1回とは言わなくとも、年1回くらいやればかなり面白いのではないでしょうか。
結局、職場って仲間同士が集まって仕事をするところなのですよね。
どんなに優秀な人材を集めて、お互いに競い合わせるようなことをしても、パフォーマンスはあまり上がらないのです。それこそ1+1=2という答えしか出ません。
しかし、お互いが信頼し合い、仲間として、チームとして仕事をすると1+1=は3にも4にも、時には10にも20にもなるのです。
『1on1ミーティング』の利点ばかり話しましたが、聞き手である上司が『1on1ミーティング』の意味を理解せずに部下のプライベートを根掘り葉掘り聞き出そうとしたり、全く問題のない部下に『お前も何か悩みがあるはずだ!言ってみろ!』などということをやっては本末転倒です。それこそなんとかハラスメントですよね。ですので、この『1on1ミーティング』はやる側にもスキルが必要なのは間違いないことだと思います。
この本を読んで、グーグルだろうが、どこだろうが、人間が集まって仕事をする職場では人間の本質は変わらないのだなあということを改めて理解することができ、そういった意味では非常に勉強になりました。
参考までに、この本の目次的なものを書いておきますので、興味のある方はぜひ一読の価値はある本だと思います。
第1章 世界共通のチームづくりのルールとは
第2章 「愚痴」も「もめごと」もチームにとってよいこと
第3章 チームのパフォーマンスを向上させる「良質な会話」
第4章 〝一瞬〟で差をつける「チーム時間」の使い方
第5章 「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法
第6章 劇的に生産性を上げる仕組みのつくり方詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
グーグルの働き方をベースに、日本の大企業でありがちな働き方と比較しながら心理的安全性の高いチームを作るためにマネージャーがすべきことを書いている。
参考になるけど、基本的にマネージャーとチームメンバーの間の関係構築の話が主になされていて、team dynamicsをどう扱えばいいかについてももっとヒントを得たかったのが本音。 -
最少の人数で最大の成果を産み出す方法とはチームの心理的安全性が高いことだという。
終身雇用しかり、長期雇用しかり、かって。日本人がめざしていたものがそこにあった。
また、終身雇用で、前に、GLOBISでネスレ日本の高岡氏がお話しされていた ネスレをささえているのは、傑出した年金制度であるとのことを思い出しました。 -
心理的安全性、プレイングマネジャーの違いなど気づきが多い。
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2012年にGoogleが発表した「プロジェクトアリストテレス」について最も詳しく書いてある本。
プロジェクトアリストテレスは、生産性が高いチームの共通点を発見するプロジェクトであり、心理的安全性という言葉が注目されるきっかけになったやーつ。
◯チーム生産性向上の5つの柱
(1)チームの「心理的安全性」が高い
(2)チームに対する「信頼性」が高い
(3)チームの「構造」が「明瞭」
(4)チームの仕事に「意味」を見出している
(5)チームの仕事が社会に対して「影響」をもたらすと考えている※「自分の仕事には意義がある」とメンバーが主観的に思える状態
※中でも、心理的安全性=不安や恐れを感じることなく、発言や質問が出来る環境や関係性があるという実感を最重要としている。
◯チームの心理的安全性が高いとは?
・「結果」に対する安心感や認知の仕方を指す
・相手に「無知」「無能」「邪魔」といったネガティブな印象を与えるような行動をしてしまっても、このチームなら大丈夫だと信じられるメンタル状況
▼生産性が向上する理由
・誰も自分を馬鹿にしないと信じあえるチームは、生産性が高くなる。
・主体的な行動、発言がとりやすくなる。無知を晒してしまうのではないか?と恐怖を与えることがなくなるのでる。
・報連相が活発になる。心理的安全性が高いチームは、心理的不安が軽減されているので、恐れることなく報連相ができます。特に、ネガティブな内容だと顕著に表る。
・マネージャーも楽になる。メンバーを叱ることや方針を変更するなど「メンバーに嫌われるのではないか?」と不安にならなくなる。
気軽に質問をしたり、積極的にアイデアを提案したり、意見を言ってくれるから協力できる場面も増えたり、自分の過ちを認めやすくなる。
どう考えても、心理的安全性を高めるべき。
◯チームの「構造」が「明瞭」とは
・「職務や業務において要求されていること(目標)」「要求を満たすためのプロセス(進め方)」「メンバーの働きによる成果」が明瞭であり、全メンバーが知っている状態。
・誰が何が得意で、誰に何を聞けば良いか、全メンバーが知っている状態。
◯心理的安全性の作り方
・ミッションとバリューの策定と運用
・1on1ミーティングを行う
・ストーリーの共有の仕組化
・フィードフォワードとフィードバック
・価値観を知れる会話、雑談機会を作る
・サーバントリーダーを増やす(最高の上司を作れ)
◯「最高の上司」チームパフォーマンスを高めるリーダーの特性
①専門知識を持った良いコーチである
②チームを勢いづけ、マイクロマネジメントをしない
③部下が健康で過ごし、成果を挙げることに関心を払う
④生産的かつ成果主義である
⑤チームの良き聞き手であり、コミュニケーションを活発に取る
⑥部下のキャリア形成を手助けする
⑦明確なビジョンと戦略を持つ
⑧チームにアドバイスできる技術的な専門知識を持つ
※中でも、専門知識を持った良いコーチであることが最重要としている。
Googleのチーム実証実験「プロジェクト・オキシジェン(プロジェクト・アリストテレスとは別チーム)」では、生産性を高める理想の上司像もデータ解析された。
最高の上司は、自分自身が直接的にパフォーマンスを発揮する人ではなく、部下が最大の成果を挙げるための環境構築ができる人を指す。
近年では「サーバントリーダーシップ」とも呼ばれる『部下の成果と成長』中心のマインドを持つリーダーをたくさん増やすことと同義。
◯プロジェクトアリストテレスについて
・古代ギリシャの哲学者・アリストテレスの言葉、「全体は部分の総和に勝る」にちなんで、「Project Aristotle」。
・Googleはこれまでに、「優れた上司の条件」「労働環境」などの問いを立てたが、「従業員は単独ではなくチームで働いた方が大きな成果を上げられる」ことから名付けられた。
・調査の対象となったのは全世界の180チーム。大きく分けて「エンジニアリング系PJチーム」「営業チーム」。 -
マネージャーとして
ゴールを設定すること。
カウンセラーの役割もすること。
働きやすさを作ること。
誰がいなくと仕事が回る仕組み作りに力を入れて、人に仕事を委ね、ワンランク上の仕事ができる人になりたい。 -
体感的には、まだ
マネジメント=マイクロマネジメント
育成=ティーチング
という会社が多いと思う
コーチングやファシリテーションという技術を学ぶことで今までのやり方に疑問を感じる人が増えれば、
変わっていくのかもしれない
チームがあって、個々のメンバーの能力を引き出し
よいアウトプットを生み出すためにマネジメントする
そのために心理的安全性をベースにした関係性があり
メンバーは信頼している人の指示は受け入れられる
そんな会社で働きたいと思った
今の会社で実現させるには…
まずは自分の部署から始めよう
持
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「今の自分の仕事をなくすのが、マネジャーの仕事」という、最後の言葉が最も響いた。
どうすれば、メンバーが主体的に動き、成果を出せるのか、改めて考えるきっかけとなった。
オールドエリート…。社内外見渡しても、結構いるなぁ -
自分のチームに当てはめて考えると一層面白かった。
メンバー個人のパフォーマンスの高さよりも、メンバー全体の指揮を高めたほうがきっと生産性は高いはず。
心理的安全性の素晴らしさは分かったので、次は心理的安全性を高める方法を学び実践していく段階にステップアップしたい。