誰がアメリカンドリームを奪ったのか?(上) 資本主義が生んだ格差大国

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023313606

作品紹介・あらすじ

【社会科学/経済財政統計】最も裕福な1%の国民が、富全体の93%を保持している格差大国、アメリカ。401kプランからニューエコノミーまで、富裕層を優遇し、中間層を苦しめてきた歴史を分析する。ピュリツァー賞受賞ジャーナリストによる、全米ベストセラーのアメリカ論。

感想・レビュー・書評

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  • 中間層の貧困層への没落
    ☆仮に資本主義なるものに実存するとして、格差は内在するものなのか、制度設計なのか、資本主義が変質したのか?

  •  ヘドリック・スミス著、伏見威蕃訳『誰がアメリカンドリームを奪ったのか?』(朝日新聞出版/上下巻・各2160円)読了。

     『ロシア人』『パワーゲーム』などの作品で知られるピュリッツァー賞作家が、綿密な取材に基いて米国社会の暗部をえぐる長編ノンフィクション。

     かつて(1950~70年代あたりまで)のアメリカは世界一豊かで分厚いミドルクラス(中間層)を擁する国であり、そのミドルクラスこそがいわば“アメリカンドリームの分母”であった。

     本書にいう「アメリカンドリーム」とは、飛び抜けた成功を収めて大金持ちになることを指すものではない。ふつうの人が不自由のない暮らしをして自分の家を持つといった、ごくありきたりでささやかな夢の謂なのだ。
     だが、アメリカのミドルクラスは急速にやせ衰え、貧困層に転落し始めているという。上位1%ほどの新・富裕層が過剰に肥え太り、恐るべき富の偏在が進んできたためである。2010年には、上位1%の富裕層が国の経済収益の93%を手に入れたという。

     かくして、アメリカンドリームは大部分の人の手から奪われてしまった。なぜそんなことになってしまったのかを、著者はさまざまな角度から丹念に検証していく。

     米国で資本主義が爛熟を極め、腐り果てていくまでの何十年かのプロセスを、すごい迫力で描き尽くした力作。終盤には、格差是正のための著者の提案も書かれている。

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