- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784023311442
作品紹介・あらすじ
「国内株式、先進国株式、国内債券、先進国債券の4資産に分散投資すればよい」という従来の常識はすでに過去のもの。海外ETF(上場投資信託)を活用し、新興国の株式・債券などにも投資することが、新時代の相場で成果を上げるカギとなる。どの商品にどれくらい投資すればよいか、ポートフォリオ改善のための処方箋など、資産運用の最新ノウハウをわかりやすく解説。
感想・レビュー・書評
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コストの安い海外ETFでの資産運用を進める本著は類書に見ない切り口で斬新。必ずしもすべてを受け入れる必要はないと思うが、20年後のGDP比率に合わせた投資に目を向けさせたり、大局観を養うには着眼点を多数提供している。
銀行預金や年金を通して、国債や国内株式に投資がされているので、個人で行う投資は基本的に海外投資のみでいいとの指摘は大胆。(ただし、既に国内株式100%のような運用をしている人には日本株比率を多くても15-20%まで下げていくべきとのコメントも)
リーマン後、各資産の相関係数が高まり、リスク分散効果が低くなる中で他の資産との相関が少ない金の重要性を指摘し、10%程度持つように推奨。(新興国といっても、韓国、台湾を含めると先進国との関係性が高いので相関係数は高まる。インドネシアなどのASEAN諸国をサテライト資産として加えると相関係数を下がる)
特に秀逸だと感じたのが、中長期でアセットアロケーションを考える場合も投資に時間とパワーをさける積極派には投資環境を見極めて,局面ごとにアセットアロケーション比率を下記提示しているところ。
①不況~景気回復
株30%(先進国株20%,新興国株10%)
債券60%(先進国債券30%,新興国債券10%,ハイイールド10%,インフレ連動10%)
金10%
②景気回復~好景気
株60%(先進国30%,新興国20%,小型10%)
債券30%(先進国20%,新興国10%)
金10%
③好景気~景気後退
株50%(先進国25%,新興国15%,小型10%)
債券40%(先進国30%,新興国10%)
金10%
④景気後退~不況
株20%(先進国15%,新興国5%)
債券70%(先進国55%,新興国15%)
金10%
ほとんどの投資本では一旦決めた比率をリバランスでいかに維持するかに焦点をあてていますが、景気動向をふまえたアセットアロケーションの変更をスパイスとして使うことは投資家としてのスキル養成のためにも重要ではないでしょうか。
あと、まとまった資金がなく、ETF投資に手が届かない若い世代向けには
株60%(先進国30%,新興国30%)
債券30%(先進国15%,新興国15%)
金10%
の比率でインデックスファンドで資産形成してくことも推奨。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
モーニングスター社長の朝倉氏の著書で、発行が2012年12月なので実際に執筆しているのは大震災後~1年後で株式相場も低迷していた頃だと思います。読む時はそれを頭に入れて読む必要がありますが、それ以外の時でも十分通用する内容だと思います。書いている内容は第1章は当たり前のことですが、2章以降は朝倉氏自身の考えが述べられており、一部私の考えと異なるところもありますが、多くのところで勉強になりました。自分の備忘録的な目的で、第2章以降で言っていることをごくごく簡単にまとめましたが、要は、
(1)年金のポートフォリオと併せた分散投資
(2)新興国比率を上げる
(3)金をポートフォリオに入れる
(4)海外ETFの活用
(5)インデックスでアクティブ運用
とのことです。(4)(5)は結構詳しく書かれていますが、それなりに資産を持っている人でないと手数料を考慮すると難しいのではないかと思います。
第2章 資産運用の常識が変わった
1.いま資産運用の世界で起きているパラダイムシフトとは
新興国はリスクが高いと言われているが、長期的な視点にたてば以下の様な理由により
新興国に比重を高めておくべきである。
・経済成長率が大きく将来の予想GDPは新興国の比率が今よりもかなり高くなる。
・人口ボーナス時期をこれから迎える国が多い。
・先進国は借金が多い。
2.日本の個人投資家は国債漬けになっている
預貯金や年金を考慮すると、今の日本の投資家は日本国債漬けになっている。
3.あなたの資産運用の常識はすでに古びている?
・今ではなく未来の予想時価総額比率に株式を持ったほうが良く、そうすると新興国を
今よりも増やすべきである。
・国債は世界債券インデックスが使われることが多いが、ここに入っているのは先進国
だけである。
・分散投資という意味でリーマン・ショック後、株式・債権・REIT・コモディティで
連動性が高くなっているので、相関性の低い金を取り入れることを検討したほうが良い。
4.負けない運用方法を知っておくことが投資家の身を守る
常に今と逆の状態を想定してリスクヘッジスべきである。円$為替レートも120円、
140円なども可能性として考えられる。
第3章 ポートフォリオづくりの前に
1.積極派向けの機動的な運用の基本
景気循環におけるポートフォリオは以下の通り。
(1)不況~景気回復 → (2)景気回復~好景気 → (3)好景気~景気後退
→ (4)景気後退~不況
(1)ハイイールド債、物価連動債を組み込む
(2)株式比率を上げる
(3)株式比率を下げる
(4)債権重視
ただし今どの状態にあるかを判断するのは非常に難しく、(3)が無くて(2)→(4)と
いうこともある。
2.ETFのメリットとデメリット
ETFはコストが安いというのが大きなメリットだが、国内ETFでは売買金額や乖離率の
問題があり投資対象となるのはTOPIXや日経連動くらいしかない。
3.海外ETFを活用すべき理由
海外ETFでは良質なものが多数あるが、取引手数料が高いのである程度まとまった金額の
取引に向いている。
第4章 大公開 新時代のポートフォリオはこう作る
1.海外ETFの選び方&組み入れ候補銘柄20
海外ETFを選ぶ際のチェックポイントは、純資産残高、出来高と乖離率、コスト。
ポートフォリオに活用すべき海外ETFは次の通り。
VTI(米国株式)、VGK(ヨーロッパ株式)、EPP(アジアオセアニア株式)、
VWO(新興国株式)、VB(米国小型株式)、VSS(米国を除く小型株式)、
BND(米国債券)、IGOV(米国を除く新興国債券)、EMLC(新興国債券)、
JNK(ハイイールド債権)、TIP(インフレ連動債権)、IAU(金)、
VT(全世界先進国+新興国)、DBC(コモディティ)、RWX(米国を除くREIT)、
LQD(投資適格社債)、EWY(韓国株)、EIDO(インドネシア株)、
TUR(トルコ株)、3025(中国消費関連株)
2.景気循環に沿ったボートフォリオ構築例
(1)不況~景気回復
先進国株 20%、新興国株 10%、先進国債権 30%、新興国債権 10%、
ハイイールド債 10%、インフレ連動債 10%、金 10%
(2)景気回復~好景気
先進国株 30%、新興国株 20%、小型株 10%、先進国債権 20%、
新興国債権 10%、金 10%
(3)好景気~景気後退
先進国株 25%、新興国株 15%、小型株 10%、先進国債権 30%、
新興国債権 10%、金 10%
(4)景気後退~不況
先進国株 15%、新興国株 5%、先進国債権 55%、新興国債権 15%、金 10%
3.今運用中の資産をどうするか -ポートフォリオ改善指南
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かなりマニアックな内容もあって、なるほどなと思ったり、えぇ〜!と驚いたりであっと言う間に読み終えた。しかし紹介されている銘柄等について再度チェックする必要があり、読み返してますがw
ETFと金保有のお話は、個人的にも考えていたし、具体的にどういうポートフォリオにするかという点で、参考になった。ETF活用していきたい! -
知ってる内容も多かった。対象読者がよく分からない。
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景気がなかなか上向かない今日、どの商品にどれくらい投資すればよいか。ポートフォリオ改善のための処方箋など、資産運用のノウハウをわかりやすく解説する。
1章 人気の投資信託だけでは、まともな資産運用はできない
2章 資産運用の“常識”が変わった!
3章 ポートフォリオ作りの前に―個人投資家が活用すべき商品はこれだ!
4章 大公開!「新時代のポートフォリオ」はこう作る -
◯投信手数料の実態
100万投資した時、ネット株の手数料は511円で、投資信託の手数料は27,300円。
インデックスファンドの手数料は、アクティブファンドの1/2-1/3。
海外ETFなら良質な銘柄も多数見つかり、信託報酬もわずか0.2%。ただ為替手数料が1ドル当たり25銭。 -
インデックス投信 or ETFを推奨。
低コストで運用することを追及する内容。
手数料で儲けたい証券会社、銀行にだまされて、高コストの運用をしないように。 -
実践的というか、具体的にポートフォリオ等が説明されており、投資をすでに始めている人向けの内容だと思った。
これから投資を始めようと思ってる人には、ちょっとイメージしにくい内容かと。 -
ポジショントークな傾向が強いが、アクティブファンドとインデックスファンドのメリットデメリットが分かりやすかった。日本のアクティブ投信はなかなかクソですな。
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新興国への投資割合を増やすべき。金は株や債権との相関が低く、保険の位置づけ。配当がないのがデメリット。