防衛省の研究 歴代幹部でたどる戦後日本の国防史 (朝日新書)
- 朝日新聞出版 (2021年12月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022951526
作品紹介・あらすじ
2007年に念願の「省」に格上げを果たした防衛省。15年には集団的自衛権の行使を可能とすることなどが盛り込まれた「安全保障関連法」が成立し、ますます存在感を増している。歴代防衛官僚や幹部自衛官から、その組織の実像に迫る。
感想・レビュー・書評
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●昭和の将校研究本は数あれど、自衛隊幹部の本は中々ない。というかあまり流行らない、地味ってことかなあ。
●自衛隊創設の逸話が色々散りばめられていて面白い。
●特に気になるのは自衛隊幹部の思想面の話。やはり心配だし、穏便な歴史観を保持してほしい。陰謀論は論外。ある程度歴史を知っておかないと、免疫がなくて危ないというのはまさにそのとおり。
●今の自衛隊が売り手市場かどうかは定かではないが、優秀な人材が入ってくれないと国民としてもマイナスだよね。
●防衛大のように、自衛隊幹部学校の内容も国民に広く周知されるべきだね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
副題の歴代幹部でたどる戦後日本の国防史とある通り、歴代幹部の列伝を読んでいくと、内務省の横の繋がりから始まり、徐々に形を形成しその時の世界情勢を鑑みつつ徐々に変化してきたのが解る。通して読むと、人間の面白さを再認識させられる。
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誰でも知っている防衛省・自衛隊。しかし、山本五十六、東郷平八郎、東条英機のように防衛省・自衛隊で思い浮かぶ顔はあるのか、防衛庁の歴史を知っているかと言えば、首を傾げる人が多い。そんな動機が筆者にこの良本を書かせた。
本書が何より素晴らしいのは、列伝形式の物語風で兎に角読みやすい。それでいて、旧軍からの連節、駐留軍との関係、内務官僚による立ち上げと制服と背広の相剋などの草創期の視点、防衛大綱など戦略の背景などがよく理解できる。また、ある程度知識や記憶のある近年の話よりも過去に多くを割いていただいていることが、防衛省・自衛隊の成り立ちを理解する上で非常に良かった。
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【現代日本では、自衛隊への信頼度はすっかり高くなった。しかしだからといって、「軍隊による安全」一辺倒でいいわけではない。「軍隊からの安全」もまた、古今東西の歴史を踏まえた、人類の英知のひとつである。この両者のあいだのバランスを取りながら、今後の安全保障を考えていく。それがいま求められている】(文中より引用)
戦後間もない頃から現在に至るまでの幹部役人に光を当てながら、日本の防衛政策を人で読み解くことを試みた一冊。著者は、『文部省の研究』などでも知られる辻田真佐憲。
人に焦点を当てた構成になっているため、防衛・軍事の素人にとっても読みやすく、かつわかりやすい内容になっているところが特徴的。その時代を彩った政策や対応にも、その時に誰が担当したかという人的要素が色濃く出ているなと感じました。
ニュースの見方を一段階深めてくれるかと☆5つ -
「防衛省の研究」と題されているが、内容としては自衛隊の前身となる警察予備隊から現在に至るまでの防衛省幹部たち個人の物語である。
本の内容自体には政治的な主張はなく、個々の人物に焦点が当たっているので、その人物たちの歴史を追いながら、なんとなく防衛省の歴史も追えるような構成になっている。ただ、あくまでも「なんとなく」なので、軽く読むぶんには良いが、重く読もうとすると物足りないかもしれない。 -
著者は悪くない。登場人物のスケールが小さいので読後感が良くないだけ。ただし、河野氏はスケール大きい。
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警察予備隊の設立から70年以上経つが、戦後の防衛官僚や幹部自衛官で知られている人は少ない。それは戦後の安全保障が十分に歴史化されていないから、という問題意識から、増原恵吉、林敬三、槙智雄、Y委員会、かいはらおさむ、久保卓也、夏目晴雄と西廣整輝、栗栖弘臣、三島由紀夫、守屋武昌、田母神俊雄、河野克俊といった面々の列伝的な話で日本の安全保障史を振り返る。
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創設期から河野統幕長までの防衛省自衛隊の背広・制服の幹部のうち、この組織や防衛のあり方を考える観点からピックアップして紹介するという内容。
この組織に関心がある人であればどこかで読んだような内容ばかりではあるのだが、新書一冊にコンパクトにまとめられてるという点では、一般向けには意味のある本なのかな、という感じ。 -
392.1A/Ts48b//K:東2法経図・6F開架
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国防史というよりも国防幹部人物伝って感じ