【改訂新版】池上彰のお金の学校 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022950345

感想・レビュー・書評

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  • めちゃくちゃわかりやすい!

    のはTVとかで充分に知れ渡っているので。中学の現代社会の教科書を、ギューっと握りしめて抽出したドモホルンリンクルみたいな中身。お金の成り立ちに始まって、先物取引に至るまでの「経済用語」のわかりやすい解説書という感じだった。池上さんの立体的な説明がなるほど!という納得感まで与えてくれる。

    特に面白かったのが民主党政権の功罪をしっかりと教えてくれる授業。円高になって、蓮舫さんが官僚を撫で斬りにしてたっけ、くらいからグンと解像度を上げてもらった。それがあって今の長期自民党政権があるのか、と知識が結合してレベルアップ。
    この調子でコロナ以降もぜひ解説してもらいたい。

    知らないと損をする、というタイトルに偽りはない。かといって投資で勝てるみたいに得できる内容でもない。
    「政治家とは税金の使い道をきめる人」
    こんなキャッチーな言い方にハッとさせられるほど、私はものの見方を知らなくて損してたんだなー、と納得できる本。

    お金ジャンルの本ってタイトルのつけ方も難しいんだろうなー、なんて世知辛い事情までわかっちゃった。

  • 8年前に出版された本の、新版。
    その本は読んでいませんが、
    いままで似たような本は10冊位読みました。

    どんどん変化していると感じます。
    これからも追いかけ続けます。

    でもやっぱり「仮想通貨」がよくわからない。
    物理化学のようです…。
    そのうちわかるようになるかしら。
    ちなみに4月から「暗号資産」と呼ばれるそうです。

    〈これは経済全体に言えることですが、
    みんなバックミラーを見ながら運転しているのです。
    経済というのは決して前が見えない。
    だから面白いとも言えます。
    映画鑑賞どころではない、スリルとサスペンスを味わえるわけです〉

    私は池上さんの本で少しでも理解するので
    せいいっぱい。

  • 読まないと損までは言い過ぎというか不安を煽るタイトルをつけるのは好きではないけどわかりやすくまとまっていた。
    税やお金の流れの仕組みや成り立ちがわかるお金の初心者のための本。
    ちょいちょいある雑学が面白かった

  • 「知らないと損する」という脅しのようなタイトル?キャッチフレーズ?には感心できないが、銀行、投資、保険、通貨など、お金と経済に関する基本的なことをわかりやすく、網羅的に教えてくれる。

  • ブロックチェーンは分散型台帳技術とも言われています。これは、参加ししている人たち全員によって信用を担保すると言うことを基本的な考えとしながら、それを実際の管理システムにしたものです
    これは信頼できる事業計画なんですよと言うことを第三者からお墨付きをもらいたい、と言うところから生まれたのが格付け会社です
    実は、日経平均株価がなかなか下がらない理由は、日銀がこのETFを大量に買い込んでいるからなのです
    ズバリ税金とは何か。一言で言い換えるならば、コミュニティーを維持するための必要経費です
    つまり、共産党は、相場が持っている顧客の信用とリストを全て握ることができるのです

  • 大学生卒業間際に、旧版を読みました。
    当時、週1で3年間働いていたアルバイト先で源泉徴収されていたので、確定申告をして1万5000円の還付金を受けられました。
    社会人になり、国債を買い、貯金の利子の50倍の利子(といっても微々たるものですが)を受け取っています。

    改訂新版は、勉強中だったFP3級の試験内容と被っており、テキストや動画での勉強に疲れた時、気休めに読んでいました。

    池上彰が暗号資産を全否定していないこと、ETFをおすすめしていること、日本が低金利の理由や円高の理由も分かりました。
    最近、老人ホームの入居費用を調べていて、2000万円じゃ足りないと気付いたので、老後のためにも、金融リテラシーを高めて長期資産運用したい(しないと!笑)です。

    p36
    まず、「仮想通貨」という呼び方ですが、金融庁は、法定通貨と区別するために、「暗号資産」と呼ぶことに決めました(中略)。すでにG20などの国際会議では、virtual currency (仮想通貨)ではなく、crypto assets(暗号資産)を用いています。仮想通貨は支払いや送金より投機目的で利用されることのほうが圧倒的に多く、お金としての役割を果たしていないのてま、厳密には通貨とは呼べないのです。

    p44
    人気のある「仮想通貨」は、今でも世界中で膨大な数の取引が行われています。これらの取引データを、一つの取引ごとにバラバラになった状態で管理するのは大変ですね。そこで、ある程度の規模のデータを「ブロック」の形にして小さく圧縮してしまう、という工夫が施されることになりました。
    一つのブロックがデータでいっぱいになると、次のブロックが作られます。この「次のブロック」の中には「前のブロック」の内容をすべて見ることができる「鍵」(暗号)が入っています。ですから、システム全体として見れば、データの圧縮された「ブロック」が無数につながっている状態になるわけですが、その気になれば、「最新のブロック」から「最古のブロック」まで一つずつ遡って、これまでに起きたすべての取引を、取引に関わった全員が把握することができるというわけです? 取引データが集まって一つの「ブロック」を作る。そのブロックが「チェーン」のように繋がっている。こうして「ブロック」と「チェーン」とを組み合わせたことから、このデータ管理システムは、「ブロックチェーン」と言われるようになったのです。

    p45
    仮想通貨は、参加者全員が発行できる可能性を持っています。私たちは、円やドルを「発行」することはできませんが、仮想通貨であれば、「発行」できる可能性があります。
    ただしら何もしなくても発行できるわけではありません。仮想通貨を発行するためには、ある条件を満たさなければいけません。その条件が、「暗号の解読」ということになります。
    先ほど「ブロックチェーン」の仕組みを解説した中で、「次のブロック」には「前のブロック」を解除できる「鍵」(暗号)が入っていると書きました。この「鍵」(暗号)は自動生成されているのですが、自動生成された「鍵」(暗号)も解けていなければ、「鍵」(暗号)として使えません。そこで、自動生成された「鍵」(暗号)を解くというのが重要な仕事になります。そうです、この「鍵」(暗号)を最初に解いた人に報酬として新しい仮想通貨が配布され、そのことをもって「発行した」ということになるのです。この「暗号を解く」以外には、仮想通貨は「発行」されることがありません。もし仮想通貨を発行したければ、とにかく「暗号」を解かなければいけない。採掘者(マイナー)は、現金で買わなくても仮想通貨を得られるので採掘に励みます。

    p47
    仮想通貨は「細分化」ができるようになっています。

    p64
    (前略)フランスなどは、二〇一九年から「GAFA税」ということで、フランス国内での売り上げに対して一律三%の課税をすることを決めました。

    p68
    (前略)今、世界では、ドルに代わる「世界中で使える共通の通貨」の模索が始まっています。

    p90
    「マイナス金利」になっても、一般の人たちが銀行に預けている預金が減るということはありません。では、何の金利が「マイナス」になっているのか。
    それは、民間の金融機関が、中央銀行である日銀に預けている預金の金利です。

    p92
    このマイナス金利を導入すれば、金融機関は、当座預金から
    余分なお金を引き出して、さまざまな企業に貸し出すようになり、景気が良くなっていくだろう。日銀からすると、そういう想定のもとに行った施策というわけです。
    しかし、実際には、そうはなりませんでした。
    何が起きたのか。民間の金融機関は、日銀から引き出したお金を企業に貸し出すのではなく、国債を買うようになったのです。

    p93
    国債が「マイナス金利」になっているということは、政府としては、国債を発行すれば発行するほど儲かるという状態です。

    p94
    日銀としては、「金利を下げる」という重要な目標があります。金利が下がれば、国民は、普通預金でも定期預金でも、金利で預金を増やしていくというのは期待できないと考えるでしょう。そうなると、預金よりも消費や資産運用にお金を回す人が増えるかもしれない。一方で、「金利が下がっている」ということは、たとえば、住宅ローンの金利も下がっているということになるので、家を買う人が増えるかも知れない。このようにして、社会に回っているお金を増やしたい。もちろんその根底には「景気を良くしたい」という思惑があります。そこで、必死になって国債を買い集めているわけです。日銀は、銀行が持っている国債を買い上げて、銀行に現金を渡し、そうすることで世の中に流通しているお金を増やそうとしているというわけです。

    p95
    日銀としては、「金利を下げる」という重要な目標があります。金利が下がれば、国民は、普通預金でも定期預金でも、金利

    p96
    日銀からすれば、一〇〇万円の国債を一〇二万円で買っているわけですから、一年で二万円損をする。これを続ければ、日銀の利益が減ってしまいます。日銀は、利益が出た場合、これを必ず国庫に納入することになっています。つまり、日銀の利益が減れば、政府への納入金が減るということになります。国債の金利がマイナスの状態で国債を発行すると、政府は儲かる。儲かるかもしれないけれども、日銀の利益が減るので、日銀から入ってくる納入金は減ります。赤字を出し続けることで、日銀の経営体力が落ちてくることは間違いありません。金融機関の間でも金利引き下げ競争が続き、収益は悪化の一途をたどっています。

    p104
    住宅ローンというジャンルの中でも、いろんな金利のものがあり、その中で金利が低いものであればあるほど、審査も厳しく、手続きは面倒くさくなります。

    p105
    大企業の場合は、特定の銀行との提携型ローンがあることもあります。これはまさに大企業の恵まれている点で、銀行も「ここの社員なら大丈夫だ」と安心しているので、低い金利でローンを組むことができます。

    p136
    TOPIXのIXとはINDEXのことです。だから単位は「円」ではありません。「ポイント」です。計算を始めた一九六八年一月四日時点の時価総額を一〇〇ポイントとしています。
    ちなみに今(二〇一九年八月)のTOPIXは一五〇〇ポイント前後です。ということは、このTOPIXの計算を始めた頃よりも、日本全体の経済価値は一五倍程度に上がったということなのです。

    p172
    今人気の金融商品に、ETF(上場投資信託:Exchange Traded Fund)があります。これは投資信託そのものを、証券取引所で株式と同じように売買できるようにしたものです。

    投資信託では、私たちが購入を申し込んでから、投資信託会社の運用部門が実際に株を買って、いくらで買えたのかがわかるまで、だいたい四営業日くらいはかかります。自分がいくらの金融商品を買ったのかがすぐにはわからないということがあるのです。それに対してETFは、普通の株式と同じように、瞬時に売買できます。ですから、今この瞬間にそれぞれの投資信託会社のETFがいくらで販売されているのか、自分がすでに購入しているのなら、今いくらなのか、いくら値上がりしているのか、いくら値下がりしているのかがわかるのです。これがETFです。

    p176
    日経先物の価格が上がり始めると、日経平均株価も上がり始めます。逆に日経先物が下がると、日経平均株価も下がり始めます。

    p179
    このNISAを使って取引できる金融商品には、株式投資信託、国内あるいは海外の上場株式、国内あるいは海外のETFなどがありますが、初心者にお勧めなのが、(中略)ETFです。
    このETFは、少額の投資額でも「分散投資」をすることができ、かつ「やっぱり現金が必要だから、投資はやめよう」と思った時に、すぐに売り払って、現金に戻すことができるという点が安心です。

    p180
    実は、日経平均株価がなかなか下がらない理由は、日銀がこのETFを大量に買い込んでいるからなのです。ニュースを見ていると、日経平均株価がときどき大きく下がることがありますね。でも、そのままズルズル下がるのではなく、すぐまた上がる。これは、日経平均株価が大きく下がったところで、日銀が「買い」を入れているからです。

    p182
    さらに、日銀はETFで大量に株式を買ってしまった結果、さまざまな企業の一番の大株主になっています。でも一番の大株主だからと言って、日銀がその企業に対してなにか口を出すわけではありません。

    実は年金基金も、年後資金を運用するために、日経平均株価連動ETFを買っています。こうしたことが積み重なり、この数年、株価が上がってきたというわけです。日銀と、私たちが払い込んだ年金の保険料で株を買っているからら日経平均株価が上がっている。今(二〇一九年)の「株高」は、政府としては「アベノミクスの成果」と主張しているわけですが、実体としては、「日銀」と「年金の保険料」で株を買ったから、と言えるでしょう
    ちなみに、日銀は、午前中の市場で日銀平均株価が下がると、日銀内で、今日はいくら分の株を買うのかを決める会議をします。そして、午後二時頃になると、「買い」を入れるかどうか判断します。だから、株を買いたい人は、その「日銀が買いを入れる前」のタイミングで買えばいいとも言えます。プロの投資家は、もちろんそれを知っています。だから、プロの投資家は、二時になる前に「買い」を入れる。午前中に株価が下がると、午後になって二時より少し前から値が上がり始めることが多いのは、そういう理由があるからです。

    p200
    六五歳以上の人口が、全国民の七%を超えると高齢化社会、一四%を超えると高齢社会、二一%を超えると超高齢社会です。二〇一九年現在、日本は二八%で超高齢社会です。

    p218
    ただ、この源泉徴収というのは、世界の国々を見渡しても非常に珍しい仕組みです。ほかの国では、「そんな面倒でコストがかかることは、自分たちではやらないよ」と企業からの反発があって、いくら国にとって都合が良くても導入できないのでしょう。
    アメリカでは、所得があった人は全員、確定申告をします。そのため、アメリカ国民は、自分がいくら税金を納めているかよく知っているので、減税を求める運動が起こります。

    p220
    消費税の最大の特徴は、何といっても消費者から預かったお金を事業者(企業・自営業)が納める税金だということです。
    ただ注意しなくてはいけないのは、事業収入が年間一〇〇〇万円以下の場合は支払わなくてもよいことになっているということです。

    p222
    年間売り上げが一〇〇〇万円以下ということになると、大部分の小売業者は消費税を納めなくてはいけないことになります。もちろんギリギリのお店は、年末になったらお店を閉めてしまったりして年間売上を九五〇万円に抑えるような工夫はしています。

    p237
    もしあなたが、自分で「応援したい」と思った地方自治体に対して、「ふるさと納税」をする(つまり「寄付」をする)とします。そして、その寄付額を、確定申告を通じて、自分の住んでいる自治体へ申告する。すると、寄付した分の金額が、もともとその年に国に払うはずだった所得税と、翌年に自分の住んでいる自治体に払うはずだった住民税から「控除」されます。つまり、結果として、自分の希望する自治体に「税金分の金額を渡す」ことができるという制度です。

    p244
    世界中を見渡せば、ドルとユーロそして円以外にもいくらでも通貨はあると思う人もいるかもしれません。しかし、ドルとユーロと円は、世界の通貨の中でも、大量に出回っているのです。というのとは、売り買いの自由度が高いということです。

    p246
    東日本大震災以降も、イギリスのEU離脱や米中貿易摩擦などで世界経済が不安定になると、円が買われる動きが見られます。

    p247
    EUにはギリシャやスペイン、ポルトガルや東欧諸国など財政基盤が弱く、経済が強くない国も多く加盟しています。

    p254
    中国の経済成長がすさまじいのは、疑いようもありません。ただ、先ほど解説したように、このGDPという指標は、海外の企業がその国内に入ってきて生産・販売したものもすべて算入された数字です。今、中国にはもちろん日本も含めた世界中の企業が入ってきて、さまざまなモノを作り、販売をしているわけですが、それがすべて中国のGDPに換算されているわけです。

    p258
    「失われた三〇年」と言われる平成の間、ずっと不況が続いてきたと言われていますが、GDP自体は伸びています。富の総量はかなり増えました。だけど「期待したほどは増えていない」からダメだと言われているわけです。

    p260
    今後も中国経済は発展を続けるでしょうが、これまでほどの成長率は望めないでしょう。

    p269
    一方、日本では、ATMでお金をおろすと、お札が温かくなっている。これはATMの機械の中で熱消毒をしているからです。

    p299
    このギャンブルというものは、「ギャンブルをする側」は儲かりませんが、とても嗜好性が高いということもあって、「ギャンブルを仕切る側」になるとかなり儲かります。
    実際、経済効果も期待できるほどで、地方自治体の中には競輪やオートレースや競馬からの収入がなければ、予算が組めないようなところもあります。その地方自治体は、それらの収入があるので住民のための事業ができるという事情もあります。

  • 2012年版を読みましたが、お金に関する知識が分かりやすく書かれています。
    初めてで馴染みのない言葉も分かりやすく書かれてますのでスラスラ読めます。

  • 政治家とは住民達の納めた税金の使い道を決める人

  • 2022.12.05

  • 「知らないと損する」とは思わないが、池上さんならではの過不足ない内容。「仮想通貨」が冒頭に出てくるのが「新版」であり、また池上さんの意図なんだろうと感じる。

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著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。

「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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