父権制の崩壊 あるいは指導者はもう来ない (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022950116

感想・レビュー・書評

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  • 日々報道され「その言い訳は通るの???」と思う数々のできごと

    それが起こってしまう日本の体質
    しみついているものは制度が変わっても実質変わらず、一部が変わった場合様々な齟齬を引き起こす

    その体質が解き明かされるようで面白い

  • 父権というけれど、必ずしも父親もしくは組織の統率者的ポジションにある人だけでなく、誠心誠意言葉を尽くして理解を求めることの難しさを考えさせられた気がした。人の集団って、空気や気分、なんとなくで動いてしまいがち。だから、そこの長みたいなエライ人は説明しなくていいし、そもそもできない。でも、今の社会を見ると、その説明できないことによってさまざまな軋轢を生じている。モリカケ問題とか、日大アメフト事件とかボクシング協会会長の件とかね。俺自身、説明って苦手だからなぁ。他人事としてではなく、自分事としてあれこれ考えた。

    • chineseplumさん
      聞く耳持つ人と持たぬ人と、有りますね… 聞いて欲しい人の耳を素通りする 不思議なことです 
      聞く耳持つ人と持たぬ人と、有りますね… 聞いて欲しい人の耳を素通りする 不思議なことです 
      2020/11/11
  • 深い。深すぎる。これで橋本氏の著作は読み収めかと思うと何とも残念だ。こんなにも人々のモヤモヤを端的に表現できる人を他に知らない。
    オヤジの権威低下という卑近な題材から始めて、ジェンダー論や政治論、更には組織論まで父権性の崩壊に由来する社会課題の本質を鮮やかに描き出している。1年にわたった雑誌連載だと言うのに、最初から最後まで首尾一貫した完璧な構成で、一体この人の頭の中はどうなっているのかとただただ驚くばかりである。
    オヤジを成り立たせている『男が女を支配する』という『論理』が豊かさのお陰で消滅し、自由になった女が『それっておかしくない?』と声を上げているのが今の状況。それを理解できない一部(大部分?)の政治家や、ボクシングおやじ、大学理事などが世間の空気を読めずに叩かれている。もう我々と彼らの間の断絶は埋められなくなってしまったが、昨今話題になっている安倍派の裏金問題でも『秘書がやりました』とか、まだそんなこと言ってんのかよ!という時代錯誤の発言が続いている。橋本氏は創設者の私物ではなく個人の集合体になった現代組織はオープンにならざるを得ないのだから、組織内の特殊な言葉はもう理解されないよと喝破する。本来は会見に参加しているマスコミが『はぁ?何言ってんの?』とツッコミを入れないといけないのだが、彼らマスコミ自身も田舎おやじの論理からなる古い組織だから、説明になっていない説明がまかり通る。一体いつになったらこんな茶番がなくなるのかと思うが、世襲産業の政治家も守旧派大企業の代表たるマスコミも組織の(=オヤジの)論理は次の世代に継承されるのだろうな。女性ガンバレ!

  • <2021年度男女共同参画推進センター推薦図書>
    『頑固オヤジはいない方がいいけれど、その成分は私たちの中にもある。』

    なぜ皆が「生きづらい日本」になってしまったのか?
    悪かったのはオヤジか、オヤジ以外か?
    脱線に次ぐ脱線のオンパレードなのに、気が付けば本題を深く掘り下げている、橋本治の筆力はさすがです。


    ◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB28061567

  • 池上彰にとっての、『知らないと恥をかく世界の常識』シリーズみたいなもんだな。
    橋本治が生きていたら、今の世界の状況をどう考えるかな?っていつも思う。
    だから彼の著書を読んで、その思考体系をもっともっと身体に染み込ませたいと思う。

  • 伝統的な制度が崩れても、そのマインドはなかなか変わらない。時代の変わり目・過渡期?それはいつの時代にもあったはずで、当事者たちはそれにどう対応してきたのか?確かなことは、合意形成に向けた対話を怠らないこと。急がないこと。

  • ●森友問題、加計学園問題、共通事項は、安倍の2文字ではなく、「中央の人間は地方の人間を下に見ている」ということ。

  • 何もないくせに何故か偉そうで、やたら迷惑なオヤジ。彼らは一体何処から発生し、社会で何をしてきたのか?何処へいくのか?男のサポートという役割から飛び出した女の論理とは?
    映画の話なんかも交えながら軽妙に語られる、男社会の成り立ちと崩壊と。めちゃくちゃ面白かったです。
    腹立つことばかりの日本の社会や政治に対して、こういう語り方ができる人が亡くなってしまったことが悲しい。
    橋本さんなら、今の日本の韓国に対する外交、吉本の一連の騒動をどう書いたのかな?と思った。

  • 「父権制の崩壊」をキーワードに現代社会の諸問題を考える。橋本治の言うとおりだな。

  • 世の中のどうしてこうなるんだ?というもやもやをわかりやすい言葉で解説してくれる方でした。この本もそう。亡くなられて、この先誰が私の疑問に答えてくれるのだろうと途方に暮れています。安らかにお休みください。

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著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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