漂流女子 ――にんしんSOS東京の相談現場からー― (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022737373

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】誰にも言えない妊娠を相談する窓口にんしんSOS東京。そこに寄せられるSOSは、ほとんどが若年妊婦からだ。虐待を受けた者、風俗から抜け出せない者、SNSで出会いを求める者。孤独な若者が抱える現代社会の闇を浮き彫りにする。

感想・レビュー・書評

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  • さまざまな社会福祉の制度があっても、狭間に落ちてしまう人たちがいることを改めて再認識。

    警察、婦人相談所や児童相談所で対応できることには限界があり、著者の方々の活動があって初めて助かる人々もいるのだなと思う。

    自分の経験の中では考えられないような人生もあり、そこに寄り添っている人々がいることを知ることができた。

  • 出会い系SNSには悪い大人(主に男性)が紛れ込んでいる。
    多感な十代、中には小学生を食い物にしようとしている者たちが。
    一般的には、家族がそういった大人たちから子供のみを守る砦になるはずだが、「優しい大人」に縋らざるを得ない子供たちも、確かに存在する。
    そして彼女たちは望まぬ妊娠、中絶を繰り返し、さらに苦しい境遇に置かれてしまうのだ。

    そんな少女たちに対して、自己責任、の一言で片付けて良いものだろうか。
    妊娠させた大人、男性たちは何の責任も負わずに逃げおおせるのに。
    少女の言葉、
    「死にたいけど死ねないから、誰かに殺してほしいと思うの」
    「これで1人で死ななくてもすむって思ったんだよね」
    どうしてこの言葉を無視などできるだろう!

    腹がたつのは既婚者との間に子供を作ってしまったケースだ。
    確かに不倫は「悪いこと」だ。
    しかし片方だけが悪いわけではない。
    妊娠した女性に対し、「君の将来のことを考えたら、産まないほうがいいんじゃない?」(122頁)とは!
    まるで他人事で、自分には非はなく、勝手に女が子供を宿しちまった、とでも?
    机に拳を叩きつけたくなる。
    中絶は心も体も傷つくのだ、どんなに心は割り切ったとしても。
    中絶後後遺症症候群という症状を甘くみるべきではない。

    人には事情がある。
    その事情は、幼さゆえの無知や見通しの甘さであったり、家族に恵まれなかったり、障害があったり、実に様々だ。
    それをまとめて自己責任と言ってのけることは容易いが、それで何かが解決すると言うのだろうか?
    日本には子供は社会で育てるもの、と言う世界標準の考えから著しく遅れている。
    家族の形は様々なのに、ありもしない「普通」を目指して皆が苦しんでいる。
    多様性がこれだけ叫ばれている今、転換すべきは「普通」の概念なのだ。

  • 旅のお共として。←として読むにはハードだよね。でもこれをライブハウスで待ち時間に読む私。中絶するのは若い女子が多いイメージだったけど、既婚者で3人目ができちゃったけど経済的に厳しくて、というのには驚いた。確かに私の周りでも3人子どもいる人いないもんな。1人も多いし。しかしほんと男の頼りなさというか、しょうもない男が多くて腹が立つ。こういう活動をしている人たちはほんと尊敬するわ。

  • 書き方なのか、とても読みやすい文体。
    でも内容が簡単に脳内で消化できるエピソードばかりではなかった。

    人の人生の一部分に関わった方々と、本を通じて伝わったものがある。

  • 驚くべきは、相手の男性たちの無責任さ。腹が立つほどに他人事。未成年相手にすら逃げ打つその姿勢はどこで身につけたのか。こんな男性ばかりではないと思いたいが、実際にそんな人もいること自体がおぞましい。

  • 望まない妊娠をしてしまった人を、責めるのではなく助けてあげる人って必要だよね、としみじみ。

  • 妊娠を何よりの願いとする人もいれば、妊娠により目の前が真っ暗になる人もいる。不幸にも望まぬ妊娠に至った女性たちの言いようのない感情に苦しくなる。

  • ソーシャルワークの児童分野の取りかかりに。
    虐待、性風俗産業、不倫、モラハラなどにんしんSOSを利用する女性の背景は様々。
    ネットから探せる、繋がれるという展開は既存の相談機関にはない良さではないかと思う。
    どんな状況のクライエントを受け止める相談支援員の受容が素晴らしいと思った。

  • 367.21

  • もっと若い層がにんしんSOSを利用しているのかと思っていたが、30代以上が多いのに驚いた。

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