- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022737175
作品紹介・あらすじ
ポピュリズムや戦前復古の嵐が吹いているという。民主主義と自由、平和があぶないという。しかし「守れ」と言っているだけでは、守れない。かりに民主主義や平和を大切に思うならばこそ、いま私たちに必要なことは、もういちど諸価値の根源を掘り下げ、一人ひとりが自分なりに考え抜くことではないだろうか。稀代の思想家が現代日本の欺瞞を撃つ!
感想・レビュー・書評
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ふだん何気なく使っている「自由」「平等」「民主主義」「立憲主義」「国民主権」などの言葉は、実はその国の人々の「死生観」「自然観」「歴史観」などと深く結びつけて捉えるべきで、表層的に考えてしまうとあたかも一般的で普遍的な原理だと捉えかねない。そしてそういう理解の仕方は非常に危険である、という筆者の主張はわかりやすい。
ちょうど衆議院選挙のときに読んだので、余計にしっくりきた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
濃い書籍だわ・・・時事評論思うておったら大間違いやぞ。
佐伯氏の思想が随所に炸裂しておる。
10年以上かければ、ワシのような阿呆でも読み方を
覚えるもんやな。いつの間にかお迎えが近うなってしもたわ
もうちょい深い読み方できんかな -
【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
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民主主義は、意思決定のルールの一つに過ぎない(手段)
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そもそも民主主義って何なの、ホントにそれでいいの?とは思うが、じゃあどうあるべきなのかという答えを持つ人は少ない。日本国憲法も然り、戦争は反対だけど、どの部分がどう問題なのか、一筋縄ではいくまい。色んな人の色んな意見を聞いて、色々考える他あるまい。
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「民主主義の危機」「民主主義を守れ」…。こうしたことを声高に叫ぶ人にこそ読んでほしい1冊。民主主義とは何か。日本人は何を捨て、何を守るべきか。京都大学名誉教授が、現代日本の欺瞞を撃つ。
序章 日本の戦後はいつ終わるか
第1章 「よい民主主義」なんてない
第2章 憲法は反・民主主義的――不都合な真実
第3章 社会をよくするという罠――民主主義と哲学
第4章 「みんなのために」を疑う――「公共性」とは何か
第5章 日本国憲法は「違憲」である――主権をめぐる考察 -
憲法・民主主義・自由・平等・基本的人権・博愛などなど、結局、すべて西洋発の「観念」を日本社会が受け入れ、借り物として運用しているか、という自覚が必要だろうと筆者は言う。
このようなことは、一貫して述べられている。
一神教であるユダヤ・キリスト教が育んできた価値観、その前のギリシャ・ローマの価値観からなる、西洋社会の価値観と、日本人が歴史的に育んできた価値観とは、根源的に異なるものであり、彼らが構築した、憲法・民主主義・主権なる観念をきちんと分析し、もうそろそろ日本人の歴史観・自然観・死生観にあった政治制度を作るべきだろうということだ。
しかしながら、ギリシャの民主制度でソフィストが行ってきた政治論争の手法は、あくまで、空虚の議論に陥ってしまう。論争の手段であるロゴスとは、構造的にそうなってしまうという。特に、開かれた「場」における論争は大いなる嘘の積み重ねとなってしまう。
結局、ソクラテス・プラトンが守ろうとした政治の対極にある哲学的思考・論争が重要となってくる。
最後に、究極の主権者たる一個人が歴史観・死生観・自然観を共有しながら、ユーモアや皮肉にまぎれて、なかなか公然とはいいにくい本心を伝える会話空間をその社会がきちんと持っているのかがもっとも大切なことだと締めくくっている。
蛇足で申し訳ないのですが、現代におけるあまりにも皮相的で・刹那的で・享楽的な情報流通空間に身を置けば置くほど、人生つまらなくなるので・・・(涙・笑・・・)