- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022736949
作品紹介・あらすじ
公開謝罪、自主規制、空気と暗黙のルール…。それらに屈することのない、自由な「バカ」ものはこの国にもたくさんいる。強きを尊しとしない、ほんとうの民主主義を全力で考える。
感想・レビュー・書評
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朝日新聞の論壇時評の連載をまとめた「ぼくらの民主主義なんだぜ」同様、その続編の本書も高校生・大学生に読んでほしい本だ。借り物の大きな言葉ではなくたとえ未熟でも自分の言葉で語ること、考えることの大切さ。自分とは異なる人の言葉を聴くこと、認めることの難しさ。高みからの言葉ではなく愚かなものとしての自らの体験談が書かれているが、実体験を土台として考えつづけられてきた作家の言葉には、その語り口がどんなに軽くても重量感を感じる。
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副題が「ぼくらの民主主義なんだぜ2」となっている通り、昨年発売された「ぼくらの民主主義なんだぜ」の続編という体裁を取っている。
前作が2011年4月28日から2015年3月26にかけて朝日新聞に掲載された「論壇時評」をまとめたものだったのに対し、本作はその続きである2015年4月30日から2016年3月31日までを第一部として、また2011年以降に政治・社会について書かれたものを第二部、第三部にまとめてある。
前作同様に幅広いジャンルの書籍から様々な文章や言葉を引用し、引用するだけでなくそれらの文章や言葉を解説し、さらにそこに著者自身の考えや主張を加えている。
第一部の「論壇時評」をまとめたものは、枚数や文字数の制限もあり、短い中で全てを書き尽くせてはいないような印象を受けるが、だからといってそれらが欠点になっているようには思えず、むしろここに書ききれなかったことは読者一人ひとりが考えてください、と言われているようでもある。
第二部、第三部は第一部よりも多くの枚数を割くことが出来ているので、第一部以上に内容の濃いものになっているように思える。
読んでいて「なんでこうもスイスイと彼の考えが読み手に伝わってくるのだろう」と自問しながら読んでいたのだが、一つには彼の文章にその答えがあるのかな、と思った。
彼の文章はとても簡単なのだ。
例えば彼ほどの知識人であれば、読んでいてウンザリするほどに専門用語を使用して、判りづらい言い回しをして、堅苦しくて小難しい論文的な(あるいは衒学的な)文章だって書けるはず。
ところがここで彼が書いているのは、「小さな子供にでもわかるような」簡単な言葉と簡単な言い回しを使用した文章なのだ。
そんな簡素な文章でとても深くて広い内容を書いているのだ。
それと他の書籍からの引用が多いのだが、決してその引用に頼っている訳ではなく、あくまでも「高橋源一郎」の言葉として書かれているように受け取れるのだ。
かなり赤裸々で、もしかしたら少しショッキングな彼自身の告白も本作には収められているが、そういう箇所も含めて覚悟の座った自分自身の言葉で書かれていると感じられるのだ。
単純な読み物としても面白く(百田尚樹氏への批判なんて、絶妙でトリッキーで思わず笑ってしまった)、彼の考えに同意出来るにしても、出来ないにしても、いま自分の住んでいる社会、そして政治、最終的には自分自身の生き方に対して、再度思考を巡らす機会を与えてくれる、僕にとってはそんな内容の本であった。 -
教育に関する記述に納得できない部分もあったけれど、それも含めて源一郎さんの魅力満載の本でした。
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思いを文字にすることは、丸裸であることと学んだ。
勉強になりました。 -
圧倒的な「正しさ」を前にして、「でも、ひょっとしたら」と、ちょっと立ち止まって、自分の心の中の声に耳を傾けてみること。そして、必要ならばそのことに関する資料なり文献などを読みながら、徹底的に自分の頭で考えてみること。「知性」とは、そんな地道な行いの中から立ち上がってくるものなのである。
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・ひとの尊厳を大事にする
・複雑なまま理解する
これって共感 -
ほんとそう思う。
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岡さん推薦本。
思いがけず、良かった。
授業で朗読した箇所の文章がいいな…と思って借りたんだけど、なんのなんの!副題「ぼくらの民主主義なんだぜ2」な訳だ。1の方も借りて読もうと思う。