この世をば (上) 藤原道長と平安王朝の時代 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022651280

作品紹介・あらすじ

藤原兼家の三男に生まれた道長は、才気溢れる長兄の道隆、野心家の次兄の道兼に比べて、平凡で目立たない存在だった。左大臣の娘・倫子と結婚、そして父の死により、出世競争の道を走り始める。平安王朝の貴族社会を描いた傑作歴史小説。

感想・レビュー・書評

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  • 大河ドラマ「光る君へ」に触発され読んでみました。登場人物たちの心情や状況を一歩ひいた高見から語る、という部分が多く最初戸惑いましたが、道長についての歴史エッセイ、もしくは「英雄たちの選択」みたいな番組にゲストで出ていて永井氏が語っているんだ、と考えるととてもスッとはいってきました。

    題名のごとく、藤原道長の一生を描いたもの。優等生の長兄、負けん気の次兄に続く三男坊として、「平凡児道長」と表しています。そして少しのことでも嬉しがり、かとおもうとすぐしょげる、という性格で描いています。これは前に読んだ「藤原道長の日常生活」(倉本一宏 2013)に書かれていた性格と同じです。倉本氏は道長の日記などをもとに書いていて、永井氏も巻末には道長の日記、小右記など歴史的書物が参考文献にあがっているので、それらをもとに道長や倫子の人物像を作り上げたんだなあと思いました。

    歴史の教科書では、摂関政治で隆盛を極めた、などの一文で、ふ~んそうか、というほどの認識でしたが、道長、妻の倫子、もう一人の妻の明子、兄たち、そして天皇たち、藤原行成、実資などが生き生きと動いていました。

    おもしろかったのが名筆で知られる藤原佐理。系図をみると道長とは祖父同士が兄弟のはとこだ。
    佐理はあまりきちんとしていない人らしく、倫子は娘の彰子の手習いの手本を佐理に頼もうとするが、佐理は大宰府に赴任を命じられそれどころではないだろうと道長は言う。しかも参議を解かれてのいわば左遷で、佐理は任命した道隆に挨拶せずに赴任してしまい、途中で甥に「とりなしてくれ」との手紙を送る。この「離洛ノ後、・・」で始まるみっともない手紙がその名筆ゆえ現在は「離洛帖」として国宝になっているという。


    1982.5.11から451回にわたり毎日新聞(朝刊)に連載されたもの。

    読んだのは1984年発行の単行本。装画が加山又造、で黄金の満月と波が、題字が入江相政氏。

    1984.3.25発行(単行本) 図書館

  • 大河ドラマの関連として読んだ
    平安時代の本ははじめて読んだかとても面白かった
    今も昔も人間は変わらないと思ったのと、道長は教科書上で学んだ人物像と違って、思いやりがあってどちらかというとのんびり屋で、プレイボーイでもないことがわかった
    また、もちろん男の子の孫ができたのが一族の繁栄に大きかったと思うがそれ以前に病気や伝染病にも罹らなかったのが、一番大きいのではなかったかと思う
    そういう意味で、健康、長生きが大事で、一つ前の大河ドラマの家康や、現代人にも共通して言えると思う

  • 藤原道長とその妻倫子を軸に、平安時代の貴族たちとその時代に大きな役目を担う女性たちの有り様話。大河ドラマきっかけで平安時代話に初挑戦。み~んな元を質せば天皇家の末裔。思ってた以上に女性たちが強い時代?面白かったです

  • 大河ドラマに触発されて手に取りました。
    大河もですが、苗字が藤原で分かりづらい(笑
    ところどころにある家系図が一部分で、この人誰だっけ?状態で、自分で家系図作りながら読み進めました。後、頭の中では大河の俳優さんのイメージで。
    道長像が思っていたのと違って面白かったです。どっぷり平安時代にはまれました。

  • 歴史小説は好きだが、平安時代のものは初めて読んだ。
    戦国時代とは異なり、戦争描写はないが、貴族間の権力争いや天皇も巻き込んだ人間関係については、とても読み応えがあった。

  • 末弟の道長が平凡児だったという始まりが興味深かった。よく道長は野心が強く、虎視眈々と権力の座を狙っていたような言われ方が多いので、のんびりやの末っ子としての描かれ方が面白く、これからの展開が楽しみ。
    ところどころ現代目線というか、サラッと説明文が入るのが不思議と物語の時代感への理解を深め、読み進める助けになっているので、これまで平安時代に馴染みのない人でもすんなり入り込めると思う。

  • 大河ドラマとはまた違う道長像でしたが、これもまた良いと思いました。上巻は道長が左大臣になるまで。
    個人的にはこっちが大河になったら面白そうだな、と思いました。政治中心の人間模様ですが、解説もわかりやすく読みやすかったです。
    大河ドラマ見てる人は是非読んでいただきたいです。

  • 読みやすかった

  • 永井路子さんは読みやすい作家だと思うけど…これは手こずった。今のところ道長の人生がそれほど抑揚がないからなのかもしれない。

    詮子と道長の関係は、北条政子と義時を思い出す。玉の輿に乗った肝の座った姉と、その姉が兄弟の中で最も信頼を寄せる弟。政子よりも詮子のほうが弱化女っぽいけど。

  • 今まで勝手に思っていた藤原道長像と違って、どことなく頼りなく、純朴な青年といった印象で新鮮だった。テンポもよく混乱しがちな平安時代の人物もわかりやすく整理してくれているので読みやすいが、ところどころ入る現代政治家への批判が蛇足だと思う。

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著者プロフィール

(ながい・みちこ)1925~。東京生まれ。東京女子大学国語専攻部卒業。小学館勤務を経て文筆業に入る。1964年、『炎環』で第52回直木賞受賞。1982年、『氷輪』で第21回女流文学賞受賞。1984年、第32回菊池寛賞受賞。1988年、『雲と風と』で第22回吉川英治文学賞受賞。1996年、「永井路子歴史小説全集」が完結。作品は、NHK大河ドラマ「草燃える」、「毛利元就」に原作として使用されている。著書に、『北条政子』、『王者の妻』、『朱なる十字架』、『乱紋』、『流星』、『歴史をさわがせた女たち』、『噂の皇子』、『裸足の皇女』、『異議あり日本史』、『山霧』、『王朝序曲』などがある。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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