ヤモリ、カエル、シジミチョウ (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 794
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022648648

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】小さな生き物たちと話ができる幼稚園児の拓人の目に映る、カラフルでみずみずしい世界。ためらいなく恋人との時間を優先させる父と、思い煩いながら待ちつづける母のもと、そんな弟を懸命に守ろうとする姉と共に、拓人は日常生活を冒険する。谷崎潤一郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • ラスト、育美が食べた……ビックリしたぁ……そして笑けてきた。
    奈緒には夫と別れて欲しかったけど、絶対に別れないんだね。きっと耕作も奈緒と別れないんだね。
    奈緒にとって浮気は浮気で、恋愛の一種、終わりが来ると思ってるから、長期間家を空けることがあっても、結局家に帰ってきてくれる夫と離婚することは選択肢にないんだね。苦しいのに、そこに「いる」「帰ってくる」ことが大切なのかな。
    拓ちゃんの描写が一番好きだった。いろんないくみがいるけど、ぜんぶいくみなんだって思ってるとことか、雨宿りしてる時のここもあめだよ、ってセリフとか。
    総じてとても面白かった。拓ちゃんのおかげでこの小説はより刺激的だった。

  • 言葉をあまり話さない幼稚園児の拓人。でも虫や動物と会話ができる。声には出さず心の中から語りかける。言葉だけのコミニュケーションではなく体全体を使って話す拓人が愛おしく思える。拓人の目を通した世界とその拓人を見る大人の世界の隔たり。虫と話し愛でるひとつひとつの仕種、言葉が伝えてくれるもの。言葉以外のものが伝えてくれるものが詰まっている。

  • 初めての江國香織さんの作品
    登場人物それぞれの心理描写がわかりやすく描かれている中で5才の拓人の不思議な世界観に引き込まれた。
    だれの中にも幼い頃には独自の世界があり、人と関わり大人になっていくうちに忘れてしまうのか…
    そんな心を持ち続けて行きにくさを感じているのが児島なのかな。

  • 言葉でコミュニュケーションすることが苦手なたくと、姉とはいえ小学生にしては大人びてる育美、不倫されて疲れてしまった奈緒と家に帰らない耕作
    どこか不安定だけどこの世界にないとはいえない光景で一家の日常を色々な視点から見れる作品
    人間とコミュニュケーション取れるのは社会的に必要だけど、それをすることによって今まで楽しめていたことが出来なくなってしまう寂しさを感じた。

  • 最初はひらがなのパートがあまり読み進められずいらいらしたのに、読み進めていくうちに、視点が変わることによってそれが自然なことに思えた。初めての体験で驚いた。

  • 幼い子供の予測不能な行動。
    食べちゃうなんて!そこで思考停止してしまった。
    夢のような子供の世界からの離脱が上手くいつて良かった。

  • これ素晴らしい。

    音、オト、言葉、気配、意識、声、気持ち
    どれも同じでどれと違うことがちゃんと表現されている

  • 小学生の姉と幼稚園の弟の優しいやりとり
    弟の目線で語られるところは私にもその目線で世界が見えてくるよう

    姉妹で育った私には男の子の考えや興味なんて全然理解できなくて、息子2人育てるのにわかってあげられないことばかりだったな
    ああ、息子たちもこんなふうに世界が見えていたのかなと思いました。

    大人の世界と子供の世界が同時に存在すること。
    子供には子供の世界があることを思い出し、理解してあげられる大人でありたいな

  • 江國香織の本は、昔 「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」を読んでいて、なかなか面白い作家さんだなという記憶があったので本屋で平積みになってるのを見つけて読んでみた。

    登場人物がそれぞれの目線で感じることを書かれているので共感するところもあり、へぇ~と思う所もあり。
    特に、ほぼ主人公の幼稚園児が感じる世界は人間の言葉はほぼ音としか捉えられず、ヤモリ等の生き物と会話ができる。
    ほんとに会話できてるのかは怪しいものだが、小さい頃は感受性が強くて、そんな感覚に捕らわれる人も多いのではないだろうか。

    ストーリーとしては、そんなに面白い内容ではないが、個人的には好きな作家さんです。
    本好きでないと人には薦められないですけどね。

  • めちゃくちゃ良かった。読み始めると全部ひらがなの文面に虚を突かれるが、読み進めるとそれが、それを発する拓人が愛しくてたまらない。日常の景色や植物や生き物の色鮮やかさが目の前に広がるように描かれている。しかし江國香織ワールドに必ずある、胸の苦しくなる恋愛も他方で描かれている。妻がいるが、恋愛が好きな夫。子供がいても、罪悪感もなく自分の思うままに行動する。あまりにもリアルで、読んでいてしんどくなる。(江國さんはどんな人生を経験してきたんやろう。。ほんまにリアル。)
    全体的にとっても苦しく愛しい作品です。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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