ガソリン生活 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022648068

作品紹介・あらすじ

のんきな兄・良夫と聡明な弟・亨がドライブ中に乗せた女優が翌日急死!パパラッチ、いじめ、恐喝など一家は更なる謎に巻き込まれ…!?車同士がおしゃべりする唯一無二の世界で繰り広げられる、仲良し家族の冒険譚!愛すべきオフビート長編ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの伊坂作品。我が家の目の前の道路が出てきて、楽しさ倍増。長男・良夫が運転する車(緑デミオ)に「助けてほしい!」と女性が飛び乗って来た。なんと、超有名女優で引退した荒木翠だった。そして降ろした直後に翠が交通事故で亡くなっていた。同乗していた不倫相手とともに。その写真を撮っていたのは記者の玉田。玉田はパパラッチだったのか?良夫と弟の亨が真相を迫っていく。やばい奴として翠の夫、謎の男トガリが怪しい。この話しでナイス・アシストとするのがクルマ達。彼らを通して犯人も分かるし、人間を客観的に観察できました。⑤

  • 主役なのか、中心となるのはある家族の自家用車の緑のデミオ(緑デミ)。車同士や電車とも会話が出来るが、何しろ勝手に動けないので、人間が乗った会話を知るだけ。そして、その情報を隣り合った別なクルマやすれ違った車同士で共有する。推理小説のようなので、犯人等の情報もクルマ同士で共有したり、犯罪者に絡まれてもクルマだけでは解決出来ないもどかしさがある。多数のクルマ同士の会話がメインで進行するが、色々な事件が展開し、突っ込みどころ満載ではあるが意外と面白い。

  • 車同士がおしゃべりする世界で「緑デミ」の愛すべき持ち主、望月一家が謎やトラブルに巻き込まれました。ファンタジックな世界で起こるのはリアルな事件の数々です。
    この世界では、車は人間の言葉はわかるけど、人間には車の言葉は分かりません。そもそも人間は車が意思を持ってるなんて考えてもいません。それを承知で車は持ち主を愛し、一緒に過ごす時間を共有しているのです。何だかいじらしくて堪らなくなります。車に包み込まれている、そんな温かい温度を感じました。

    「いろいろあるなあ」車を運転しながら、呟く母親がいます。分かるなぁ。私も何度も車の中で呟きました。これからもきっと呟くでしょう。家族にも誰にも言えない心の呟きを。車の中では本音を隠す必用はありませんもの。

    望月一家は、次々と降りかかる火の粉をお互いに助け合い機転をきかしながら解決していきます。そこには、いつも「緑デミ」がいました。そんな「緑デミ」の姿を想像するだけで、胸がきゅっと切なくなっちゃいます。だっていつまでも一緒にいられる関係ではないことを「緑デミ」自身はちゃんとわかっているのですから。

    謎解きはスカッと気持ちよかったです。でも今回はそれ以上に車たちの可愛らしさにやられちゃいました。

    • 地球っこさん
      井坂好太郎さん、はじめまして!
      こちらこそフォローありがとうございます。
      伊坂幸太郎作品はまだそんなに読んでいないのですけど、とても面白...
      井坂好太郎さん、はじめまして!
      こちらこそフォローありがとうございます。
      伊坂幸太郎作品はまだそんなに読んでいないのですけど、とても面白いですね!
      どの作品もスカッとする気持ちの良い伏線回収、登場人物たちの光る個性、ハードボイルドな名言の数々……
      これからも追いかけたい作家さんです。
      私の本棚は、あまりまとまりありませんよね。あれもこれもと読みたい本がありすぎて大変です。
      井坂好太郎さんのレビューも楽しみにしてます♪
      伊坂作品(もちろん他の作品も)のおすすめや感想を交換出来たら楽しいですね(*^^*)
      2019/12/01
    • やまさん
      地球っこさん
      おはようございます。
      『蜻蛉の理 風烈廻り与力・青柳剣一郎』への、いいね!有難う御座います。
      小杉健治さんの本は、時...
      地球っこさん
      おはようございます。
      『蜻蛉の理 風烈廻り与力・青柳剣一郎』への、いいね!有難う御座います。
      小杉健治さんの本は、時代小説はよく読んでいますが、中には字が小さくて読めない本もあります。
      風烈廻り与力・青柳剣一郎は、2016.12.11に1巻目を、字が小さいですが最初なので無理して読みました。
      次は、何とか読める最小の字の大きさの12巻から読んで行きました。
      すごく面白いですよ。
      やま
      2019/12/09
    • 地球っこさん
      やまさん、おはようございます。
      だんだん文庫も版を重ねるうちに、字も大きくなっていくかもしれませんが、全部がそうなるわけでもないでしょうか...
      やまさん、おはようございます。
      だんだん文庫も版を重ねるうちに、字も大きくなっていくかもしれませんが、全部がそうなるわけでもないでしょうから、辛いですね。
      オススメありがとうございます!
      また読んでみたいと思います。
      2019/12/09
  • 『ガソリン生活』伊坂幸太郎さん 

    1.伊坂幸太郎さんとの出会い
    ツイッターで繋がっている読書アカウントの皆さんが、伊坂幸太郎さんの著書の感想を書いてました。
    その感想が、ほのぼのした日常を彷彿させながら、やはり物語のハラハラも記述してありました。
    日常になかなか起きないハラハラ、そのあたりを覗いてみたくなりました。

    2.ここまでの伊坂さんとのあゆみ
    出会いから一年と少しです。
    アイネクライネナハトムジーク、グラスホッパー、終末のフール、チルドレン、サブマリンと読んできました。ガソリン生活も、皆さんの書評から選択しました。
    読書アカウントの繋がりのレビューは、Amazonよりも親近感がわきます。

    3.ガソリン生活を読み終えて
    ①出会えた名言の一つ。
    「車は、運転手がアクセルを踏めば前に進む。
    でも、人間は、人間がアクセルを踏んで初めて前に進む。
    でも、時にはアクセルを踏むことに躊躇することもあるのが人間である。
    その勇気が出ないとき、他人に後ろからアクセルを踏んでもらいたい。」

    ②ガソリン生活。タイトルへの所感。
    ガソリンは、車にとっての活動の源です。
    私たちの人間の生活における活動の源とは何なのでしょうか?
    そんな問いかけを想像したのは、私だけでしょうか?

    資産家の女性は、新しい生活に踏み出す。
    長女の恋人は、悪グレからの縁を断ち切る。
    悪グレは、長への恐怖と決別する。
    次男の同窓は、いじめグループへ意思を見せる。

    どれも彼らひとりでアクセルを踏めたわけではありません。周りの理解とサポートがあって前へ踏み出せたとも思えるのです。

    ③読者が伊坂さんを慕う理由
    私は、まだ10冊も読んでいません。
    でも、読み終えたあとに、良かったねの気持ちになります。また、どの登場人物にもありがとうと伝えたくなります。
    そんな読者がなんとなく多く存在しているように思えます。
    #読書好きな人と繋がりたい。

  • 車視点での物語は斬新で面白かったけど、話がグダグダしてて途中ダレてしまった。あの弟がいい味出してたと思う。それなりに面白かった。

  • 物語の語り手はなんと本邦初?の「車」。前代未聞のユーモアミステリにして、呑気な長男と大人びた弟、その愛車「デミオ」による、暖かく、チャーミングで愛すべき長編家族小説。

    人でいう「死ぬほど怖い」は車用語では「廃車になるほど怖い」

    えもいえぬ幸福感に包まれながら終わりを迎える本作。車同士の会話や、電車や飛行機に憧れを持ち、交通安全のお守りがつけてもらえたことを嬉しく思い、廃車や事故により捨てられることを恐れたりする。そんな車の会話が何よりもかわいい。読み終えたとき、我が愛車を大切にしてあげなきゃなって、誰もがきっと思うことでしょう。

    「決心するには自分ひとりじゃ無理な場合があるわけだ。びびってる時はアクセルを踏む勇気がないからな。」

    何かに思い悩み、アクセルを踏んで、人生にライトを付けたい!と思う方はぜひ、読んでみてくださいね。

  • 本書の主役は緑の「デミオ」。そう、車のデミオです。
    その“緑デミ”と、持ち主である望月家の面々が、様々な事に巻き込まれていく様子を“車視点”でお送りする物語です。

    “緑デミ“と隣家の車(カローラ)・通称“ザッパ”とのやり取りや、通りすがりの車、駐車場での車同士のコミュニケーションが何とも微笑ましく、時折本質をついてくる発言もあったりして、車に色々気付かされた私です。
    このように、ずっとほのぼのな感じで進んでくれればよいのですが、そう呑気なだけの展開は許されず、望月ファミリーが巻き込まれる剣吞な事件に絡んでくる悪人どもが本当にに胸糞悪くなる程腐っていて、他にも悪辣小学生やモラハラ夫など、こういう奴らの所業は読んでいて辛くなりました。
    と、“悪パート”はしんどいですが、全体的に楽しく読めますし、望月家のことが大好きな“緑デミ“に癒されました。
    心温まるエピローグで読後感も爽やかです。オマケの小話(小話のプリントが添付されていましたよね)にもホッコリしました。
    ところで、本書は時々ガンダムネタが投下されているのですが、個人的に笑ったのは“緑デミ”が盗難された時、自分を盗んだ男にハンドルを叩かれて「殴ったね!」「・・・望月家の人間にもぶたれたことがないのに!」と嘆くシーンで、思わず“アムロかよ!”と突っ込みたくなりました。
    あ、そうそう『オー!ファーザー』の“あの家族”がちょっとだけ(すれ違い程度)出てきて、ついニヤっとした次第です。

  • 伊坂幸太郎さんらしいといえば、そうなのかもしれないけど、読み進めるほどに尻上がりに面白くなってくるお話。
    ただ、途中で読むのやめようかと思うぐらいにエンジンかかるのがいつもよりも遅いので、後半は面白くなるよ!と思いつつ、読み進めましょう。
    すごくほのぼの感があるお話です。

  • 母郁子さんや享くんなど、ひょうひょうとした会話が作者らしい。車たちはとても近くで家族を見ているんだよなという気がする。うちの車は私たちのことをなんて話すでしょうか。

  • 機関車トーマスの車バージョン。
    車にも感情があるんだし安全運転しようと思った。

    少し回りくどかったけど、暑い夏の息抜きにはちょうど良いお話でした。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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