- Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022647955
感想・レビュー・書評
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江戸末期、江戸深川で質屋(五二屋)を営む伊勢屋の主人、傳蔵は、浅草三筋町の水晴れ組(てきや宿)から先代に見込まれて当主を引き継いだ切れ者。
傳蔵は、黒船来航直後、江戸の町の混乱に乗じて、伊勢屋の蔵に一時保管されているはずの質屋冥加金二万五千両を盗賊集団が狙っていることを察知。用意周到の対策を講じる。
登場人物それぞれのエピソードがふんだんに盛り込まれているため、ストーリーの進みがかなり遅く感じた。数日間の話にしては長かったなあ。
面白かったのは、「今日、明日、明後日の、三日間の天気を占う技能職人」である「空耳師」が出てきたこと。空耳師は、「きょうなら二十文。あした八十文、あさって百六十文」などの金を取って言い伝えや感で予報したという。八卦見(易断師)とも違うとのこと。こんな商売でも食っていけたということからも、江戸の町でいかに商いが盛んだったか分かる気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(古本を購入)
読み始めた(6月7日)〜読み終わった(7月11日)
五二屋(ぐにや)は5+2=7で『質屋』の隠語とのこと。
推理小説のような内容。
山本一力氏の作品には平凡で非凡な人間がたくさん出てくる。
地道に頑張ることが無駄ではないと思える人生がたくさん出てくる。
それだから読んだ後に『すっきり』する気持ちが残るのだろうと思う。
それにしても。。。思ったよりも読了までに時間が掛かった。
2019年も中盤で読むペースが落ちてきたかも。 -
なかなかの長編作でしたが、本作は黒船来襲に揺れる頃の話で、質屋「伊勢屋」の後継ぎとなった主人公傳蔵を中心に、伊勢屋に襲撃をかけようとする盗賊の龍冴一味との知恵比べや伊勢屋に質入れにくる客と店員との優しさと厳しさを兼ね備えた人情的なやり取りが良かったですね!
それにしても質屋というのは表向きの体裁が悪いので、質=七=五+二で、五二(ぐに)屋と呼ぶのには粋な感じを受けました! -
先手必勝
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ドラマを見ているような臨場感。主人公は誰だろう?
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最初に読んだ『ジョン・マン』が面白かった、山本一力。
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4062779501
書店巡りをしていたら、この作家さんの長編小説が文庫になって並んでいたので、読んでみることにしました。
舞台は幕末。
四杯の巨大な船が、浦賀の沖を疾走します。
この船の存在に最初に気づいたのは漁師、そして「てきや」の監視。
そしてその情報はすみやかに、江戸で質屋を営む主人公、傳蔵に伝わって・・・という始まり。
黒船騒動で混乱する、江戸の街。
その中で、これからどういうことが起こるのかを知ろうとする、てきやと質屋の集団。
そして、この混乱に乗じて、質屋に悪事を仕掛けようとする、盗賊集団。
それぞれの思いと行動が、物語の主軸となっていきます。
全編を通じて書かれているのが、この時代の質屋の役割。
お客から所有物を預かり、お金を貸す。
その生業が、この時代の人々にとってどういう意味があったのか、人情的なエピソードを交えて、語られます。
歴史の教科書に載る黒船騒動と、庶民の生活に根付いた質屋。
これらの話を上手く、一編の小説にまとめたものだなあと、感じました。
歴史に名が残らない、一般の人を主人公にした時代小説。
この作家さんの特徴が発揮された、作品だと思います。
旺盛に作品を発表しているようなので、今後も文庫化を待って、読んでいきたいと思います。
『ジョン・マン3 望郷編』山本一力
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4062930137
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面白い