- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022647382
作品紹介・あらすじ
歌舞伎町のバーテンダー浜本純平は、ある日、ひき逃げ事件を目撃する。だが逮捕されたのは、まったくの別人だった。真犯人への恐喝を目論むうちに、世界的なチェロ奏者のマネージャー園夕子と知り合った純平は、いつの間にか地元東北から国政選挙に出馬することになり…。
感想・レビュー・書評
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深刻になりそうストーリーなのに軽い感じになってますね。
上手く行き過ぎの感じがあるけどそれが良いのかな。
面白かったですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2020年 51冊目
積読本の一冊。
年始に古本屋さんでみつけました。
帯に書かれていた「底抜けに明るい復讐劇!」という言葉に惹かれ買ってみました。
小説はお手軽な気分転換に一番だと思ってます。
今みたいに、外出も出来なくて鬱々としている時はこんな本が一番。
逆にすんごく調子よくて色々上手く行き過ぎてる時には暗ーい内容の本が良かったりです。
帯の言葉に惹かれているので、どんな復讐劇かと読みすすめるも、前半はイマイチ悪い奴が出てこない。でも、後半で待ってましたの展開です。
こんな復讐劇は良いなぁと明るい気持ちになりました。 -
九州の過疎の島から東京に出てきた若夫婦、歌舞伎町で働くホステスママとバーテンダー、有名なチェロ奏者とそのマネージャー、さらにチェロ奏者の兄家族。何の関係もない彼らがひき逃げ事件をきっかけに協力し合い、東北での国政選挙に挑む。カニがウスやハチ、フンの協力を得て、にくきサルに戦いを挑むようにそれぞれの長所を接点に団結する、これぞ現代の猿蟹合戦。
人を騙す奴は悪い奴で、騙された者の復讐を受ける。そんなわかりやすい世の中が描かれるユートピア小説。 -
吉田さんが新しいことに挑戦した感じがする作品だった。猿蟹合戦ってどんな話だったか、臼に潰されるというラスト以外思い出せず、読了後に調べてしまった。後半の盛り上がりに主軸を置くなら前半をもっとテンポよくした方がよかったのではないか、と思っていたのだけれど、不遇な境遇に苦しめられてきた人たちにとってのひとつの解放があの選挙だったなら、前半を丁寧に描いたのはそれでよかったのかな、という気もする。群像劇が好きなので、合戦に参加した人たちはそれぞれ大切な人のそばで穏やかな人生を得ることができてよかった。
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復讐劇という題材でも、純平や朋生のような明るい登場人物のお陰で、物語を覆うのは暗さではなく明るさである。そして吉田修一の、人を優しく描くうまさとが混ざり合い、一般的な復讐劇を読んだ後のスカッとさよりも、むしろ、なんとも言えない優しさが私の心の中に広がった。ちなみに、久しぶりに小説を読んで泣いたのはここだけの秘密(笑)
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歌舞伎町のバーテンダー浜本純平は、ある日、ひき逃げ事件を目撃する。だが逮捕されたのは、まったくの別人だった。真犯人への恐喝を目論むうちに、世界的なチェロ奏者のマネージャー園夕子と知り合った純平は、いつの間にか地元東北から国政選挙に出馬することになり…。
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タイトルとか表紙の絵とかなんかグッと来なくて、まったく期待しないで読んだ。
けっこうな長編だし挫折しないで最後まで読めるかなー?なんて思いながら読み始めたら、、もうめちゃくちゃおもしろかった!!
登場人物全員のキャラが立ってて、方言混じりの心の声もイイ感じのアクセントになってて楽しく読めた。(個人的には美姫ママが好き。)
最初はバラバラだったパズルのピースがどんどんはまっていく感じで読んでて気持ち良かったー。
人生いろいろ、すっごいサクセスストーリーでした。
サワおばあちゃん、かわいすぎ。
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最初は、ホストとホステスとの関係、彼らの心情を感じる作品だと感じたが、ホストから突如市長に立候補する主人公、実はあることがきっかけだったという。タイトルに猿蟹とあるが、物語の展開が猿蟹合戦を彷彿とさせ、今までの市政を変えたい一心で、人の心を突き動かす物を感じさせる。過去に辛いことを体験して、その逆境をものとせず、猿蟹合戦の如く、様々な困難に対しても、自分の長所を生かし、市の未来を少しでも明るくしたい心意気が良かった。辛い状況に置かれている人達を蔑む目で見るのではなく、一人の人間として描写されている印象。
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BOOK」データベースより)
新宿で起きた轢き逃げ事件。平凡な暮らしを踏みにじった者たちへの復讐が、すべての始まりだった。長崎から上京した子連れのホステス、事件現場を目撃するバーテン、冴えないホスト、政治家の秘書を志す女、世界的なチェロ奏者、韓国クラブのママ、無実の罪をかぶる元教員の娘、秋田県大館に一人住む老婆…心優しき八人の主人公が、少しの勇気と信じる力で、この国の未来を変える“戦い”に挑んでゆく。希望の見えない現在に一条の光をあてる傑作長編小説。
勧善懲悪のような話かと思いきや、復讐するような流れでは無く、脇道に逸れて畜生道に落ちそうな面子が、お互いに手を差し伸べあって、陽の当たる道を歩き始める話です。ずばっとすっきりする話って訳ではないけれどもなかなかいい話です。
吉田修一は群像劇書くの上手いですね。