- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022647139
作品紹介・あらすじ
【文学/随筆】死にゆく母、残される父の孤独、看取る娘の孤独。苦しみにみちた日々の生活から、向かい合うお経。般若心経、白骨、観音経、法句経、地蔵和讃??詩人の技を尽くしていきいきとわかりやすく柔らかい現代語に訳していく。単行本ロングセラー、待望の文庫化。
感想・レビュー・書評
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我々と変わらない煩悩だらけの著者(失礼!)が、自身の体験(身近に死者を送る)を通じて「般若心経」をわかりやすく読み解く。中盤の「ひじりたちのことば」から読み物としても面白くなる。私のように、仏典類書を読むも挫折してきた(面白さが理解できない)ような初心者には特におすすめです。宗教学者、山折哲雄氏の解説も味わい深い。
著者:1955年東京都生まれ。詩人。青山学院大学入学後に詩を書き始め、78年現代詩手帖賞、99年『ラニーニャ』で野間文芸新人賞、2006年『河原荒草』で高見順賞、07年『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』で萩原朔太郎賞、08年同作で紫式部文学賞。他の著書『たそがれてゆく子さん』『切腹考』『犬心』『日本ノ霊異ナ話』『続・伊藤比呂美詩集』『たどたどしく声に出して読む歎異抄』『閉経記』など。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
写経する際に、少しは内容を理解したいと思い読みました。エッセイとお経と詩が巧く絡み合って楽しめました。
観音様より「かんのん」と声にしてみると親しみやすくて、確かにかわいいです。 -
あまり深刻になるなって言ってくれているのかな。
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201508読了
読みやすい。 -
詩人に対して失礼な物言いではあるが、改めて、伊藤比呂美の言葉のセンスに脱帽。エッセイとお経の現代語訳が一体となってひとつの作品になっている。どれもよいけれど、特に最初と次の「懺悔文」「香偈」の現代語訳が印象的だ。
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仏典をやさしく読み解き文で書かれてある。漢文は威厳があるが、難しすぎる。
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僧侶が書いた本かと思って買ったのだけれど、そうではなかった。
50代になった女性で、詩人で、特定の宗教を持たずにこれまで生きてきて、業とか、死にゆく親しい人々とか、慈しみとかの日々の中で出会ったお経。
紡ぎ出す言葉の美しさと救い。 -
お経と伊藤比呂美。この組み合わせがずっと気になっていて、ついに手に取った。
他の著書を読む限りたいへん壮絶な人生を送っておられるらしい著者が、老いた父母に迫る死に、お経を通じて思いを馳せる。
著者はべつに熱心な仏教の信者でもないから、どういう仕組みで死んだ人間があの世にいくのかとか、そういった問題には無頓着。けれども、詩人という立場から、お経の音楽的美しさ(あるいは官能)を自覚しはじめる。
自分も般若心経の音楽的美しさに少年の頃から惹かれていたが、意味をじっくりと考えてみたことはなかった。今回、著者の私家訳を見るにあたって、鳥肌が立った。しかも、般若心経を解説するのは、アメリカに住むハーフの娘。英単語を交えながら。宗教の言葉でありながら、ものすごく風通しがよい感じにも味わったことのない新鮮さを感じた。
本書が文庫化されて500円ちょいで読めてしまうというのは、ものすごく後ろめたい。それとも、そんなに安価で読めるということは、多数の読者がいるということなのだろうか? いかに。