役にたたない日々 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022645883

感想・レビュー・書評

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  • タイトルだけ見て、面白そうだと思って読んでみたのだが
    よくよく見てみれば『100万回生きたねこ』や『おじさんのかさ』の佐野先生が筆者なのだった。

    絵本から受ける印象とは当然というのが全く違い
    毒舌と言えば毒舌なのだが、正直でストレートな言葉が小気味よいエッセイ。

    時節柄、
    元いじめっこに「いじめられっこが復讐に来たらどうするか」
    と尋ねたら、「殺されても仕方ない」と答えた
    というエピソードがなんだか印象に残った。

    自分はもう終わった人間で、早く死にたいと
    同情を誘う訳でもなく素直な心情としてばっさり書いて
    癌になっても驚かないし、余命を確認して
    余生のことを考えてしていた貯金を使ってぽんとジャガーを買ってしまうという
    滅茶苦茶さが愛らしく、気持ちが良い。

    こんな風に気持よく自分に正直に死ねたら本望
    と思わされた。
    解説の追記を読んで、もう亡くなられたことを知った。
    悔いなく小気味良くこの世を去られたのだろうとは思うが
    心から哀悼の意を表します。

  • 佐野洋子さん、絵本と打って変わってガサツなイメージに変わった。でも自分に正直で素直な人なんだと思う。幼少期は貧しい時代で苦労したんだろうな。料理してる場面が多い。淡々と他愛もない日々の日記を描いてるんだけど、泣けたのが、お母様との会話の部分。佐野洋子さん自身が癌で亡くなってることがわかってるので「天国はどこにあるんだろうね」「すぐ近くにあるんじゃない?」という突如として出てくる会話に、カフェで読んでた私は泣いた。思い出しても泣けた。死について考えた。私も母が死んだら、同じところに行くんだからと死ぬのが怖く無くなるだろうか。人間ってそうやって生きて順番に死んでいくんだな、と考えた。佐野洋子さんの他のエッセイも読んでみたいと思った。なんだかわからないけど、ありがとうと言いたい気分になった。

  • 「いつまでも前向きで」
    「いつも異性にときめいているべき」

    現実を修飾ばかりしてあらゆることから逃げようとするくだらない世の中に対し、佐野さんは真っ向から向き合って行く。生きるとはこういうことだと気づく。こんな風に強くありたい。

  • 元気のない人、お読みください!
    「100万回生きたねこ」の著者の老境のエッセイ。年齢とか性を超えた「人間らしい(まったく格好をつけない)」名言の数々に脱帽。久々に「本棚に入れなきゃ!」と思った一冊です。
    因みに・・・その1.この本はワタクシではなく、本なんて自分じゃ買わないウチのハハウエが友人にもらったので読んでいるのを、何気なく手にとった・・・といういい加減な出会いです(~_~;)
    因みに・・・その2.佐野洋子さん、がんだったのを抗がん剤うたずに亡くなったんですね。。。なんだか生き方に共感してしまいました・・・

  • 好きな絵本の作家さん。
    ん?イメージ違うぞ?
    でも、面白い人だなぁ~とところどころ笑えた。

  • 更年期のヒステリーババアのエッセイではない。もう更年期は過ぎている。昭和を生き抜き、平成は老後と言い放つ佐野洋子さんの面白毒舌エッセイ。


    包丁などの調理用具が豊富な家を尋ねれば、泥棒はこの家に凶器を持ってくる必要はない、と思う。
    歯医者に何百万も使っているから、長生きは無駄だと言い切る。
    ガンの手術の翌日、タバコを吸う。
    車を運転中に道に迷い、タクシーにお金を払って先導してもらう。
    抗ガン剤治療中、韓流ドラマにドはまりしてずっと寝たままテレビを見ていたらあごが外れる。
    その後、DVDボックスを買う愉しみを覚え、韓流だけではなく、香取慎吾、中村獅童、長瀬智也などのイケメンたちを愛でる。漢詩のDVD十巻や三谷幸喜作品のDVDも買う。
    ガン再発後、抗ガン剤をやめてもらい、ジャガーを購入する。車庫入れが下手だから一週間でジャガーをボコボコにする。


    何なんだろうこの人は。
    ただ悪態をついているだけではない。理屈とかいうか、人に対する情というか、はっきりとした何かを持っている人だった。かっこよかった。

  • 何回読んだかわからないほど好き。
    笑って、元気になれて、考えさせられる。
    身内にいたら笑えない御方。

  • 一昔前の思考で、少し右派で、辛辣大胆、ヤケクソ感があるので好みが別れるかもしれないが、

    私は佐野洋子さんが好きだ。

    結局はすごく情深く、熱い心意気が感じられる。

    物事や出来事をこんな風に素直に受け止め、感じるままに生活したらどんなふうだろうと。

    自分には無い視点に気づかされる。

  •  佐野洋子さん(1938.6.28~2010.11.5、享年72)「役にたたない日々」、2010.12文庫、2008.5刊行。ガン(乳ガン)で髪の毛が抜けるので、丸坊主に。(楢山節考のおりんばあさんは69歳で死んだ)乳ガン手術の次の日、私は67歩歩いて家にタバコを吸いに行った。毎日タバコを吸いに帰った。退院。医者は、ホスピスを入れてあと2年くらいと。その会話の後、ジャガーを購入。淡々とした思い切りのいい方でした。

  • 無感想

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著者プロフィール

1938年、北京生まれ。絵本作家。ベストセラー『100万回生きたねこ』のほか『おじさんのかさ』、『ねえ とうさん』(日本絵本賞/小学館児童出版文化賞)など多数の絵本をのこした。
主なエッセイ集に、『私はそうは思わない』、『ふつうがえらい』、『シズコさん』、『神も仏もありませぬ』(小林秀雄賞)、『死ぬ気まんまん』などがある。
2010年11月逝去。

「2021年 『佐野洋子とっておき作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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