春駒日記 吉原花魁の日々 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.84
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022645845

作品紹介・あらすじ

19歳で吉原に売られた光子。絶望し自殺を考えるも、日記を書くことで己を保ち続ける-。「恥しさ、賎しさ、浅ましさの私の生活そのまま」を赤裸々に綴り話題を呼んだ『春駒日記』、約80年ぶりの復刻。婦人雑誌に寄せた手記の他、脱出時の新聞記事なども収録。『吉原花魁日記』第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 『吉原花魁日記』第ニ弾。80年ぶりの復刻とのこと。遊女モノは多く読んできたが、本作は時代小説とは異なり、ノンフィクション。吉原脱出時の新聞記事も収録されている。前作のような日記形式ではなく、エッセイのよう。吉原病院での治療の様子などは貴重な記録と言えるが、その他の話は前作と重なるところがあり、全体としてはイマイチ。

  • 壮絶な実話なのに、本を愛し、自分の人生を見捨てなかった作者。吉原に身売りされ、壮絶な毎日を送る中、日記形式で描かれています。吉原の細かい地図もあります。著書でもある主人公は本が好きで文字も読め、経営者が花魁達の稼ぎを誤魔化している事を見抜き、吉原から自らの力で抜け出します。実話なので、歴史として男女問わず読んでも後悔しない作品。

  • 花魁の苦しい日々の日記。男性達は彼女を通り過ぎるだけ。恋だと言いつつ、自分の思いだけで彼女の牢獄のような日々には気がつかない。 病気になったときに互いを気遣う花魁同士の優しさに、貧しくとも心は踏みつけられない女性の強さを思う。 花魁から脱した後も、夫とふたり、ヤクザに追われる日々だったようだが、幸せもある人生であってほしい。

  • 3.92/197
    内容(「BOOK」データベースより)
    19歳で吉原に売られた光子。絶望し自殺を考えるも、日記を書くことで己を保ち続ける―。「恥しさ、賎しさ、浅ましさの私の生活そのまま」を赤裸々に綴り話題を呼んだ『春駒日記』、約80年ぶりの復刻。婦人雑誌に寄せた手記の他、脱出時の新聞記事なども収録。『吉原花魁日記』第2弾。

    冒頭
    『この「春駒日記」で、主として私の廓生活ー未だ心の目を開き得ず、只借金という大石にひしがれ、鉄より重き鎖につながれている苦しさに、一日も早く自由な身になりたい一念から、浅ましい稼業そのものに、ひたすらいそしんでいた時分の生活を偽らず、ありの儘に描いて見ました。』


    『春駒日記 吉原花魁の日々』
    森 光子(もり みつこ)
    出版社 ‏: ‎朝日新聞出版
    文庫 ‏: ‎352ページ
    ISBN : ‎9784022645845

  • 当時の新聞が記載されていたが、文字が小さくうまく読めなかった…残念

    白蓮さんと多少馴染みがあって訪ねたと思っていたので手紙を送っただけと見て驚いた

  • 大正時代の吉原の花魁が書いた日記。客とどんな話をしたかとか、同僚とどんなことを話したといった内容が中心。当時の吉原は脱出が困難だったらしく、後半にかけて著者とその友人が脱出した経緯も書かれる。
    警官が店側に付く等、現代では考えられないような事柄も多い。性病になった著者が吉原病院に入院する話があり、同じ境遇の花魁も多数入院していて、それぞれの境遇を嘆き合う辺りの描写は悲惨の一言。
    すごい作品だが、著作権継承者が判明しないまま出版されているようだ。

  • 遊郭部さんに教えていただいた本。日記というか、手記、回想録。大正時代の吉原の様子、娼妓のことが知れる。でも春駒(光子)はあまり昔の人のように、遠い人とは感じない。
    もっと他愛のない日記のようなものは残っていないだろうか?

  • 吉原に身売りされ、毎日のように客を10人も取らされる日々。そんな中でも自分を失わないように日記をつけ、歌を詠む春駒。白蓮を知ることによって、自分の置かれている場所から逃げるという道を選ぶ。白蓮夫妻が、彼女を吉原に返さず、親身になって社会運動家に彼女を繋いだことに安堵した。ほんの70年ちょっと前、戦前は女性の地位は低く、貧しさを理由に人身売買が行われていたこと、水揚げの4分の3は遊郭の主人が受け取り、女郎はたった4分の1しか受け取れない。そこから借金を返し、医者代や衣裳代、髪結い代などを引かれたら、いくらも手元に戻らず、いつまでも借金は返せない。ひどい仕組みだったということもよくわかった。

  • 正直に言って興味本位だったわけですが、読んでみてそれだけではない感情を持ちました。
    借金をせざるを得ない環境、今ほども教養のない状況、そういったものから虐げられていた人たちを興味のみで見ることはできないな。
    脇道なのかもしれないけど、教育、教養、知識と言ったものの重要性を強く感じる一冊でした。

  • 大正時代、吉原の遊郭を脱出して、白蓮夫人(大正三美人と言われた、大正天皇のいとこ)の家に逃げ込み、助けてもらった花魁の、日記。先日読んだ「光明に芽ぐむ日」と同じ著者。
    生きながら牢屋の様に逃げることができなかった、吉原の遊女。彼女は文学が好きで、日記をつけていた。
    遊郭における遊女同士の人間関係、お客さんの様子が細かく書かれている。病院でリンパ腺の手術を受ける部分は、壮絶である。
    自分を売った母親の死に目に会うことができたものの、葬式に参列することは親戚が世間体を気にして許してくれない。
    政府ぐるみでこの恐ろしい伝統的な売春が行われていたというのは、日本の恥の歴史だ。
    涙なくしてこの本は読めない。
    ただ、遊女が病気になった時みんなが助け合ったり看病しあったりする様子は感動的だ。苦労している女性たちなのでお互いの痛みがよくわかるのだ。
    この著者は、この後結婚した。夫婦でやくざに追われていたようだ。その後のことは誰も知らない。幸せに一生過ごしたのだろうか。

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