街道をゆく (35) (朝日文庫 し 1-36)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022640536

感想・レビュー・書評

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  • 日本の鎖国時代にも交流のあった数少ない国オランダ、というと、
    遠い国なのになんとなく近くに感じる。
    技術の国であり、合理的な考えの国であり、本書からはそのさらりとした気風を感じることができる。
    かと思いきや、かのゴッホを生んだ国でもあり、その極端に純化された生への洞察も深い。
    締切堤防見にいきたいなあ。。

  • まず、知識の豊富さに驚いてしまう。
    そしてこの人の周りにいる人がみんな知性に溢れていて上品で・・・
    たんなる旅のエッセイでは終わらない、現代は巨大な歴史の中の続きの中で成り立っているんだなぁ・・・としばし呆然。
    どこかに旅行に行く前に、街道をゆくシリーズは読んだ方がいいのかも。

  • この世は神が創ったが、オランダはオランダ人が創った。のだ。

  • オランダ紀行文ではあるが、それよりは日蘭関係やオランダの文化、歴史、宗教、気質についてまとめられた上質のオランダ案内書と言える。ライデン大学、シーボルト、咸臨丸の建造場所ルーベンス、ゴッホ、レンブラントなどなど聞き覚えのある地名、有名人がいろいろ出てきて非常に興味深い。これからオランダ旅行をする方に是非お勧めしたい。

  • 司馬遼太郎のエッセイは、下手な歴史の教科書よりわかりやすい&面白い!
    17世紀海運国家として世界を席巻するまでのオランダ、同国が生んだ画家レンブラントやゴッホについて、案内を務めてくれた夫婦について……などなど、話題はとびつつも、ユニークなオランダ像が見ることができ、エッセイとして&オランダの歴史の大体を学ぶ書としても良い本だと思う。

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  • この、考察の縦横無尽さをどう表現するべきかはわからない。どんなものでも、「司馬号」に乗せられて旅を・・・、ってかんじ。「事実」が「観念」を突き破るパワーを持っており、その象徴を(時代とシンクロさせつつ)オランダととらえているのが印象的。

  • 街道をゆくのシリーズでオランダを取り上げたところが、司馬さんらしい。興味のあるところしか行かないという姿勢がある意味すがすがしい。美しい自然や街並みだけでなくその背後にある人間の営みを感じさせる一冊

  • 者がオランダと隣接するベルギーを旅したのは1989年の秋。日本の近代化に大きな影響を与えたオランダと日本の交渉史に触れている。また、著者が「人類史上最大の画家の一人」に挙げるレンブラントのほか、ルーベンス、ゴッホにも触れ、ヨーロッパの美術史と時代を代表する画家が有名となった背景を解説。

    商品経済の中心だった17世紀のオランダ美術は徹底的な写実主義だった(レンブラントの「夜警」「トゥルプ教授の解剖学講義」)。
    一方、カトリック世界だったベルギーではバロックの花が咲き誇り、アントワープに生まれたルーベンスが代表的。ルーベンスによる「キリストの降架」は「フランダースの犬」でネロとパトラッシュが最後に観た絵だという。
    19世紀の画家ゴッホはオランダの出身。写真機の登場で写実力では評価されなくなっていた時代、ゴッホは自分の精神を絵画で表現しようとした。当時の固定概念からあまりに離れすぎているため、生前はその作品が評価されることはなかった。

  • 海に乗り出し海上帝国を切り開いた市民によって、植民地から収奪するだけだったスペインとポルトガルの時代を終わらせた、オランダという国を点描する。不便な低地に住むキリスト教"抵抗派"という弱者が、経済は無論、芸術分野にさえ世界最新のスタイルを現出させた逆転現象は面白い。司馬遼太郎が、レンブラントやゴッホを語るのも、小説に馴染んだ身には新鮮。

  • 全巻制覇の大目標を掲げ二冊目に手に取ったのは意表をついての阿蘭陀紀行。自分の中での理由付けをするならば、このシリーズに「ケニア紀行」が含まれていないから(笑) 

    ただしこれは冗談でもなんでもなく昨年のケニア訪問の際その航路の乗り換え地アムステルダムにていろいろと頭の中をよぎったことがあったればこそ。司馬作品を通して再確認した江戸末期から昭和に至る日本という国のさまよう道のその出発点に当たる位置に、司馬氏の言葉を借りて言うなれば「暗箱にのぞき穴を開けるような形で」光を与えた国こそがオランダという国。その国に与えてもらった先見の明をその後の日本人はすっかりと忘れてしまい、危うく国を転覆させそうなところまでもっていってしまった。司馬氏の目をもってすればいかにこの国がヨーロッパの列強の中で独立を保ち、独自性を保ち、かつ並行して将来を見据えて行動をする力を持っているかが手に取るようにみえてくる。自分のような読者はそうした道筋を与えてもらえるだけでも幸運というもの。

    そこに加えて芸術的観点を通してのオランダという国の見かたというおまけまでついている。

    またもや脱帽である。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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