- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022640017
感想・レビュー・書評
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アイルランド人を評する言葉で、「ざっかけない」という表現を初めて知った。
司馬遼太郎がアイルランドを旅行したのは1980年代の終わりであり、「ケルティック・タイガー」と呼ばれる奇跡の経済活況でアイルランドが豊かに生まれ変わる20年前のことなので、現在とは事情が異なる部分が色々ある。
が、イギリスと浅からぬ因縁を持つ歴史をしょったアイルランドという国の概観を、この本と続巻を読むことで得ることができるだろう。
さて、今はもうレプラコーンは見かけないだろうなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本人にとってアイリッシュウィスキー、ビートルズ、移民ぐらいしかなじみが無い、遠い北の島国アイルランドへ旅する紀行文。歴史の中で英国による「支配と差別」という悲哀と辛酸をなめ続け今なおテロ紛争が続き、民族的しこりが残る、素朴で陽気で頑固なカトリック系ケルト民族の国を相変わらずの博識ぶりで紹介してくれる。「愛蘭土紀行」は二冊続きのせいか、アイルランドにたどり着くまでが長いし、話があちこち飛んでいる(笑)まずケルト民族、ロンドンの街、カトリック、新教英国国教会の概要、イギリス史などなどの多彩な前知識が日本からロンドン、そして列車でリヴァプールそこから飛行機でようやくダブリンへの行程で語られる。ヨーロッパは北欧を除いて大抵旅してまわったが、唯一の例外がこの「愛蘭土」いつか今なお色濃く残るケルトや妖精の文化を持つ国へこの本と共に行ってみたいものだ。
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司馬さんの独特の世界観とともに繰り広げられるアイルランドの旅。上巻に当たるこの本では実はアイルランドに入る前のイギリスの話が多かったりする。日本ではあまり語られることのない「負のイギリス」に視点をあてているところはさすがは司馬遼太郎。
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一時帰国を控えて後回しにしようと決め込んでいたはずの前後編もの。数週間が余ったことからエイっと手を伸ばしてみた。その扉が開いた先はブリテン島から始まっており、隣の島に渡るにあたってその体験に厚みを増すためにもシバさんはその海峡の東側に少し滞在することにしている。自分にとってもロンドンは知らない街ではないはずではあるものの10年を越えた古びた記憶になってきているし、そもそもシバさんや漱石のような目でもってその国をみる能力は持っていなかったし今も持っていない。それ故楽しいのだ。
ペアリングとしては「街道をゆく 37巻 本郷界隈」をおすすめ。本巻で扱われる漱石の下りがちょっと面白くなる。とはいえ漱石作品をきちんと読みきっていない自分がいうのもおこがましいのであるが。
なぜ英国編と愛国編と名付けなかったのか?それは後半を読みきった今となってははっきりしている。シバさんはアイルランドが好きでたまらないのだ。 -
世界のどこに行っても司馬遼節炸裂、蘊蓄、脱線のオンパレード。
でも紀行ものってこれで良いと思う。旅、ましてや異国の地では色んな事を感じ、考える。そういう意味で司馬遼の本領はこのジャンルでこそ発揮されるという気がします。
しかし宗教ってもんは何というか厄介な怪物ですなぁ、昔も今も。 -
新書文庫
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【内容】
アイルランドを種にしてあれこれ考える。
撒きちらされる知識。
【類別】
随筆、紀行。
【着目】
要素においてアイルランドも紀行も少ないので注意してください。
あくまでも軸足は日本に置いてあります。
【構成等】
文体についてはとても読みやすく、構成では話が飛びがちなので読みづらく感じました。
本書の末にてようやくその地を踏み、アイルランドの話題が増します。導入として、先に重要な関連性のある英国や米国から触れているのでしょう。
【備考】
以前に希望聴取され贈られていたものを繙読しました。
本書は上巻に該当します。下巻のレビューは下記。
http://booklog.jp/users/70x20/archives/1/4022640022 -
2も続けて読了。20年前って、こんなに世の中、今と違ったっけ?! と、妙なところで驚いてしまった。日本語の変遷も目の当たりにし、日本語の勉強にもなったよ。アイルランドは、某国に留学していたとき、ダブリンに住んでいたアカの他人のブログを読んでいて、なんとなくイメージは持っていたけれども、そのイメージどおりだった。個人的には、アイスランドやスコットランドには行ってみたいけれど、アイルランドはそうでもないかな。
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14/9/21読了 20/5/19再読
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2巻続きのアイルランド1巻目。イギリス本土(ブリテン島)の西に浮かぶ島国。著者はイギリス経由で向かうが、本の2/3ほどはイギリスに留る。支配被支配の歴史、プロテスタント(英)とカトリック(愛)など複雑な両国の関係を語るためである。