中国グローバル化の深層 「未完の大国」が世界を変える (朝日選書)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022630346

作品紹介・あらすじ

【社会科学/社会科学総記】中国は本当に「大国」になったのか? 世界的な影響力の浸透度は? グローバル・ガバナンスへの貢献、ソフトパワーやハードパワーの現状も含め、広範な資料を駆使し、外交、経済、文化、安全保障など多角的に中国を解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  •  中国の対外姿勢は、台湾をはじめ狭い国益に関する事柄を除けば実は受け身、国際社会への影響力も限定的で「未完の大国(partial power)」だというのが本書の趣旨。強気だが及び腰など、アイデンティティーの危機と葛藤の最中にあるともある。中国の台頭への警戒をあらわにする論調が世に多い中、新鮮だった。
     ただ、2点留保をつけたい。1点目は、原著は2013年だが、その後の一帯一路構想や、17年党大会での習近平演説が示した2050年までに世界の大国にするとの構想を見てもなお、対外姿勢やアイデンティティーが本書のとおりと言えるのかということ。また2点目は、たとえ中国がpartial power、地域大国に過ぎないとしても、アジア内の隣国たる日本としてはその影響をもろに受けるということだ。

  • 中国が「大国」として世界にどう影響を与えるかについて、外交、経済、文化、安全保障についてのアメリカの中国専門家が解説した本。随所に著者の中国に関して深い造詣があることを伺わせた。中国の今を理解するための決定版であると思う。

  • 少し情報としては古いかと感じたが、体系的に整理されている。
    中国は経済規模の割には国際的にはあまり目立たない存在、主張しない存在になっているというスタンス。
    経済の成長を最優先で考えている。

  • 中国の現状の拡大戦略について、中から見たときの中国をよくまとめて書かれている。
    分野によって戦略の濃淡があることがはっきりわかると共に、その行動様式などが透けて見えるという意味でなかなか貴重な本だった。
    ただタイムリーな本なので、賞味期限はそれほど長い本ではないと思われる。

  • 中国という国がグローバル化にいかに対応しているかを、政治、経済、文化、軍事などいくつもの角度から深く分析している。これを通じて、発展途上の大国が不器用にグローバル化しようとしている姿が浮かび上がってきた。見事な一冊。

  • 中国の外交・世界に与える影響力にに焦点を当ててそのインパクトについて分析。
    結論は、言われるほどではなく、発展途上である。経済力の伸びが突出しているが、ハードパワー、ソフトパワー共にその伸びには追いついていない。特にソフトパワーは労力注いで入るが、政治体制との矛盾が大きく、他国を引きつけることは全くできていない。ハードパワーは経済成長と共に軍備、特にアフリカへの経済援助を進めており、力は増している。しかし、グローバルな枠組みにおいては、積極的な関わりは少なく、拒否権は発動する点が貢献度合いを少なくしている。
    そうはいっても強力な国が台頭しており、世界は排除することは駅なく統合しかないとする。

  • 中国の建国以降の詳細なデータをもとに国際的な活動(外交・経済・軍事・文化)を分析した良書です。グローバル・ガバナンスという切り口は洞察に富んだ卓見でした。また、世界人口の2割を占める中国が一つにまとまっていることが既に大きな世界貢献だという見方も冷静です。中国を“未完の大国"といい、今後欧米の国際ルールに従うことを前提にされています。ですが、中国はそこにチャイナルールを付加させ自分の居場所を確保すると思います。

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